51センチのビッグサイズも登場!相模湾のライトアマダイ釣り/平塚 浅八丸
今年もアマダイ釣りの季節がやってきましたよ
全国的にみると雪が降り始めた場所もあり、季節はすっかり春夏秋冬で言えば冬。関東近郊の釣果情報を見ても、釣りのターゲットがすっかり変わった感じですね。。
相模湾ではマグロやカツオを狙った船が終わり、入れ替わるようにヤリイカや泳がせでブリを狙う宿が増えてきたけれど、今回私が狙うのは、冬場に現れる魚界のペー・パー子こと、ピンクの魚体が美しいアマダイである。
私はアマダイ釣りのゆったりしたリズムというものが大好きで、この時期になると毎年必ずいきたくなる。船釣りのなかで一番好きかと言われると困るのだが、何が好きか5つあげろと言われたら(このテーマだけで酒が飲める)、きっとアマダイは入ることだろう。
そんなアマダイ釣りでお世話になった船宿は、ライトタックルのルアー釣りでもお邪魔した浅八丸だ。アマダイ釣りは同じエリアでも船宿によって使用する糸の太さとオモリの重さが違うのだが、浅八丸ではアマダイはPE2号以下の糸とオモリ50号と使用したライトタックルを推奨している。水深が70~100メートルとちょっと深いので、小型電動リールを持ってくるのが一番だが、手巻きリールでやる人も多い。
ただし必ずしもライトタックルじゃないとダメという訳でもなく、手巻きはちょっと体力的に厳しいけれど、電動リールは中型しか持ってないという人は、船長と相談して道糸の太さに合わせたオモリを使えばOK。大切なのは周りと同じ角度で糸が出ること。今日もライトタックルになる前からの常連さんは、PE3号とか4号に60号とか80号とかのオモリでやっていたようだ。
ライトタックルアマダイの仕掛け
アマダイ釣りの仕掛けは、ノーマルでもライトでもオモリの重さ以外は基本的には一緒。テンビン仕掛けの2本針という、シロギス釣りの仕掛けをそのまま大きくしたようなシンプルなスタイル。
仕掛けは全長2メートル前後で、ハリスの太さは3号が標準。糸ヨレを嫌う人は4号、食いの良さを優先したい人は2.5号や2号という感じ。私は絡み防止を狙ってテンビンから親子サルカンまでを4号とし、そこからハリまでを3号にしてみました。
ハリはアマダイ専用というのは(たぶん)ないので、ヒネリのないタイプのチヌ3~4号、あるいは軸の長い丸カイズがよく使われる。潮の流れに合わせてハリの重さにこだわる人もいるみたい。チモト部分には飾りのビーズをつけたりつけなかったり。これもまあカラー、サイズなど、お好みで。
私はなんとなくマダイ用とハナダイ用で自作してみたのだが、もちろん釣具屋にいけば完成品の仕掛けはたくさんあるし、船宿にも船長のオススメが売られているので、貸竿もあるし手ぶらでいっても大丈夫。
竿はオモリ負荷にあった7:3調子くらいの2メートル前後を使うが一般的だが、今回はなんとなく2種類持ってきた。1本はこのアマダイ釣りのためにあるような2.1メートルのA-グリップネライという竿で、もう一本が1.5メートルのアナリスターマルイカ用。
普通だったら前者を選ぶところなのだが、今回はあえて短い竿におけるアマダイ釣りの可能性を試すために後者で攻めてみることにした。せっかく買ったマルイカ用竿の出番が全然なくてもったいないというのと、来たるべきマルイカシーズンに向けての練習という意味もある。
リールは小型電動を持っていないので、PE1号がたぶん200メートル巻いてある小型の手巻き両軸リール。バッテリーはたっぷり充電済みの体脂肪である。
アマダイの釣り方のポイント
アマダイという魚は水深70~100メートルくらいの砂や泥の海底に、巣穴を作って潜んでいるといわれている。実際に見た人がいるのかは知らないが。よって狙うべきタナは、エサが底スレスレから1メートルくらいを漂う範囲。船長の話によると、相模湾のアマダイ釣りはコマセで寄せて釣る釣りではないので、このタナ取りがちゃんとできるかどうか、アマダイの目の前にエサを通すことができるかどうかが、一番大切なポイントとなるだそうだ。
仕掛けは潮に流されて斜めに漂うので、仕掛けの長さが2メートルであれば、オモリを海底から1メートル浮かせるくらいが基本となる。潮が速い場合は横方向寄りに流されるのでオモリを低くして、潮が動いていなければ真下に仕掛けが落ちるのでオモリを高めでキープする。
船は少しずつ動くため、水深も少しずつ変わっていく。そのためこまめなタナの取り直しが肝心で、これが誘いにもなってくる。
誘い方や構え方は人それぞれだが、私の場合は竿を水平方向に構えて待ち、たまにゆっくりと竿先を45度くらいまで持ち上げてオモリを1メートルくらい持ち上げ(今思うと、竿が短いのでちゃんと誘えてなかったかも!)、そこで数秒待ってからゆっくりとオモリの重さを感じながら戻すという感じ。
誘う頻度や速度がその日のアマダイの気分と合うかどうかが難しく、積極的に誘った方がいい日もあれば、たまにタナをとりなおす程度の誘いがいい日もあるようだ。
アタリがあったら、竿先をゆっくりと持ち上げて、魚の重さをチェックする「聞き合わせ」をおこなう。合わせのタイミングはアタリがあったら即合わせがいいという人もいれば、ワンテンポ待つべきだという人もいるみたい。フグのカットウ釣りみたいな反射神経は求められないので初心者でも大丈夫。私は、「お!いま当たった!さてどうかな~」という感じで合わせている気がするかな。
ということで、アマダイ釣りは簡単だけれど奥が深く、とても楽しい釣りなのです。
船中一匹目は大型アマダイ!
船長の合図で仕掛けを投入し、着底したら糸がなるべくまっすぐなるようにタナをとりなおし、竿を目いっぱい下げた状態で(竿が短いので)オモリを底につけ、そこから竿を水平方向に持ち上げる。これでオモリが底から1メートルのベストポジションになったはず。
竿が短くて軽い上にリールもコンパクトな手巻きなので、これぞまさにライトタックルという軽さ。これなら一日竿を手持ちにしてアタリに集中していても、肉体的な疲れは少なそうである。まあ疲れるのはだいたい仕掛けの巻き上げなんだけどね。
しばらくすると、船長から船の反対側でヒットのお知らせ。カメラを持って行ってみると、なにやらナイスな魚が掛かった様子だ。
船中一匹目(私が見ている範囲で)に上がってきたのは、40センチ近くはありそうなナイスプロポーションのアマダイ。かっこいいったらかっこいい。やっぱりアマダイは美しいよなあ。なんだかスターの貫禄があるよね。
よし、久しぶりにアマダイと対面をしてモチベーションもアップ。さあ次は私が釣ってやろうと張り切って誘っていると、すぐ目の前にある竿先が、クイクイっという感じでアタリを伝えてきた。竿の感度がよく、また竿先の距離が目と近いので、アタリがハッキリとわかって楽しいぞ。このスタイル、いいかもしれない。きっとマルイカ釣りにも最適!(マルイカ用の竿だからね)
スッと竿を立てるようにして聞き合わせると、クンクンクンという魚の魚信。だがグイーンとくるような重さはない。これは例のアイツですかね。
腕力を振り絞ってリールをグリグリ巻いて上がってきたのは、この竿でもギリギリで魚の重みを感じるくらいのヒメコダイ。ノーマルタックルでゴツめの竿を使っていると気が付かないこともある大きさだが、ライトタックルなら集中さえしていればわかるので楽しい。
このヒメコダイはアマダイ釣りの定番外道で、アマダイと同じタナにいる魚なので、こいつが釣れるということはタナが間違っていないということである。ヒメコダイがいるところにアマダイあり。そしてサイズは小さいのだが、食べるとめっぽう美味しいので、個人的には嬉しい外道なのである。新日本プロレスで言えば、アマダイがオカダ・カズチカ選手で、ヒメコダイが外道選手っていうことですね。外道だけに。
ヒメコダイが釣れれば、本命のアマダイが釣れるのはもう時間の問題。ラーメンとギョウザのセットを頼んで、ギョウザが先に来たようなものである。
仕掛けを入れ直して誘っていると、さっきよりもはっきりとしたアタリがあり、グイグイと俺の竿を曲げてくる。そうそうそう、この力強さこそアマダイ。掛かってすぐのスタートダッシュだけではなく、半分くらい巻いてもまだ抵抗してくるあたりのスタミナはアマダイに間違いないだろう。きっと30センチは超えているな。
この調子なら今日は竿頭とっちゃうんじゃないかなと思いながらリールを巻き続けると、上がってきたのはサバ。そういえばサバも定番外道でしたっけ。ちょっとタナが浮いていたかな。
アカムツ釣りのときもそうだったんだけど、どうもサバに騙されることが多いんだよね。
なんだか今年は赤い魚よりも青い魚の方に御縁があるな。干支が魚オンリーだったらきっと私はサバ年生まれ。そして年齢をサバ読みするわけですね。はー。
なかなか食いが悪い状況でどうにか食わせたい!
こんな感じの立ち上がりだったのだが、どうも潮の流れがイマイチのようで、船長によると「しっかり誘わないと絶対釣れない日」に当たったようだ。
タックルが軽いので誘いを掛けること自体は苦にならないのだが、竿が短い分だけ仕掛けをしっかり上下に動かすのはコツがいるかも。魚の活性、使う道具(竿の調子や仕掛けの長さ)、誘い方の3要素がうまく噛みあうと、潮が流れていなくてもアマダイに食わせることができるのだが、なかなかどうして。釣れるときはボーっとしていても釣れるんだけどね。
カツカツという感じのエサ取りっぽいアタリを感じて上げてみると、尻尾だけになっていることが数回。やはり魚の活性が低いようだ。
こんな時に一番よくないのが、エサがとられことに気付かずに、ボーっと時間を使ってしまうこと。当たり前だがエサがなければ魚は釣れない。感度の良い竿を使って、ちゃんと集中さえしていれば、アタリに気が付かないということはほとんどないのだが(それでもたまにあるけどね)、私の場合は手巻きリールで糸を巻き取ることにだんだんと疲れてきているため、アタリを感じてエサをとられた気配が濃厚でも、「エサはまだ付いているかも?それにハリはもう一個ある!」なんて、ついつい問題を先送りにしてしまうんだよね。はい、最悪ですね。
アタリがあったら必ず、アタリがなくても面倒臭がらずこまめにエサをチェックすることが肝心の釣りなので、やっぱり私のような性格と体力だと、スイッチ一つで巻き上げてくれる小型電動リールにした方がいいんだろうなー。
っていうのを、アマダイ釣りに来ると毎回思うんですよねー。
「次の釣りまでにお金を貯めて小型電動リールを買おう!」と、強く心に誓うんだけれど、これが全然貯まらないんですよねー。5万円貯まる貯金箱買おうかなー。
なんて考えながらヨボヨボと釣っているのだが、どうにも本命アマダイが釣れてくれない。そこでハリスの太さを3号から2.5号に変えて、長さもちょっと短めにしてみることにした。竿が短いので長い仕掛けを操りきれていないような気がしたのだ。
仕掛けを新しく変えると、新しい服でお出かけするみたいに、気分もガラっと変わるのがいい。自分で結べれば50円くらいの実費で気分が買えられてお得である。
これならきっと釣れるだろうと、若干短くした仕掛け(短くしたというよりも元が長くて2メートル半くらいあったものを2メートルにした)で、短い竿を一杯に使って誘い上げると、グググっと竿先を抑え込むようなアタリが到来。ナイス俺!
竿を上げきったところで当たったので合わせづらかったのだが、どうにかリールを巻きつつほぼ垂直まで竿を上げて合わせを入れる。ビシっという鋭い合わせは不要なので、魚の重さを竿で聞く感じ。
来てるね、これはでかいね。リールを巻くと緩めにしていたドラグが滑るくらいの重量感。うーん、素晴らしい。
こういうしっかりとした魚の重さを感じての巻き上げだったら、手巻きでも全然苦じゃないんですよね。何度でもやりたい。苦しいのはエサ取りに齧られたかどうかの確認とか、仕掛けを投入してすぐに「移動しまーす、上げてくださーい」と言われたとき。電動リールだと魚の引きが味わえないという人もいるけれど、魚が掛かった時だけ手巻きで戦えばいいんだし。
そんなことを考えられるくらいに巻き上げに時間は掛かるのだが、これが楽しいのである。果たして水面に上がってきたのは二つの影。一つは暗く、一つは明るい。
ん?なんだ?っと思っていたら、天秤を掴もうとしたときに仕掛けが弛んでしまい、暗い方はハリが外れて去ってしまった。ちょっとちょっと、今のフグじゃないか、しかも一瞬だったけれど、トラフグだったかも。いやきっとトラフグ。憧れのトラフグ。きっとトラフグ―!
なんて動揺していると、様子を見に来た船長から「いいサイズのアマダイだね!」の声。おお、そうだった。明るい方は本命アマダイだったのだ!
逃げていったトラフグらしき奴はもったいなかったが、よく考えたらフグが釣れても捌けないか。フグ釣りの船じゃないから船長に捌いてもらうという訳にもいかないだろうし。
本命のアマダイが無事に釣れたんだから御の字なんだと心を静めなければいけないところなのだが、なぜかこの一件が心に引っかかり、ここからリズムが狂ったみたい。トラフグというものを一回釣ってみたかったんだよねー。
釣れる人は順調に釣れています
まあ逃げた魚は戻ってこないので(取り込の際にハリが外れたヒメコダイはその辺で浮いているけど)、気分を入れ替えて再チャレンジ。
この日の食いは「中の下」という感じで、外道を含めて活性があまり高くない感じ。それでも船長が丁寧に船を流し変えるたびに、ポツポツとではあるけどアタリがあり、それがアマダイなのか、ヒメコダイなのか、あるいはその他の魚なのかで、各自のクーラーボックスの中身は変わったようだ。
アマダイは51センチを筆頭に大型が結構混ざり、さらにオニカサゴ、イシモチ、小型のアラなども釣れていたようだ。私はなぜかヒメコダイに溺愛されて、釣っても釣ってもヒメコダイ。いや好きなんだけどね、ヒメコダイ。
結果としてはアマダイは竿頭が11匹に対して、私は結局あの1匹だけ。竿頭になった方がうまかったのか、私の腕がヘボなのか(後者です!)。
後半戦になると体力と気力が共に切れてきて、ちょっとアタリがあったくらいでは、なかなか手巻きリールの電源を脳内で入れる気にならず、「賞味期限が切れた食べ物をなかなか捨てられない人」みたいになってしまったのが、釣果を下げた一番の原因ですね。
この感想はライトタックルのアマダイ釣りにいくたびに思うことなので、次にまたアマダイ、あるいは深場のマルイカ釣りへといくことになれば、その時は小型電動リールで挑もうと思う。この年になってサンタクロースの存在を信じるのは無理があるので、「忘年会に行ったつもり貯金」でもしようかな。
他の敗因を考えてみると、短い竿は軽くていいのだが、この日は長めの竿でゆったりと誘った方がよかったかも。またチモトにつけた発光ビーズがでかすぎて不自然だったかな。一度大きめのビーズをつけてよく釣れた経験があり、それを引きずっているんだよね。
そういえば沖上がりの直前、お隣さんがなにやら大きな魚を掛けて、「うーん、これはサバかなー」なんて言いながら巻き上げたら、サバはサバでもサバフグで、これを見た瞬間に私が前半に水面でばらしたフグは、これと同じサバフグだということがわかり、なんとなくスッキリした。謎はすべて解けた!みたいな。いやもしかしたら、やっぱりトラフグかもしれないけどさ。
やっぱり小型電動リールとフグ調理師免許が欲しいなー。
ということで、仕掛けや釣り方はシンプルなのに、極めようとすると奥が深く、それでいてビギナーズラックも期待できるアマダイ釣りは、初心者からベテランさんまでおすすめできる楽しい釣りだと思います。アタリのない時間に、脳内で海底に漂う仕掛けの様子をどれだけしっかりと想像できるか、そして仕掛けや誘い方を状況に合わせられるかが、今後の課題ですかね。
さっきから電動リールが欲しい欲しいと言っているけれど、私みたいに面倒臭がりさえしなければ、ライトタックルなら手巻きでも十分楽しめますよ!
サポートいただくと生きていけます。