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東京湾奥の船で狙うカレイ釣りで46センチ!/伊藤遊船

※掲載終了の「@niftyつり」から2011年1月10日の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。船からやる堤防釣りみたいな、独特ののんびりとした釣りです。真冬なので寒いけど楽しいよ。

東京湾奥のカレイ釣りに初挑戦

一部の釣りファンにとっては冬の風物詩となっている東京湾奥のカレイ釣り。前から気にはなっていたのだけれど、寒い中で一日頑張っても坊主覚悟というストイックな世界にビビってたじろいでいたのだが、釣果情報をみていると、どうも今年は調子がよさそうなのである。

最盛期まで待ってもいいのだが、そうするともしこの釣りが気にいってリピートしようとしてもシーズンが終わっていたりするので(よくある展開ですね)、初チャレンジするなら今かなと、できる限りの厚着をして江戸川放水路の伊藤遊船から乗船してみることにした。

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ハゼのボート釣りや夜アナゴで有名な伊藤遊船。東西線の妙典駅から歩いてこれます。

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ムムヒフト。いや、マゴカレイ。

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仕掛けは船宿にて購入。キス用を一回り大きくした感じかな。オモリや天秤の販売、レンタル竿ももちろんあります。

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ライフジャケットも無料貸し出ししてます。さかなクンが着ろといっているので着よう。

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午前船の出船は7時。冬場は風がないというだけで、もう釣れたような気になる。

今の時期のカレイ釣りは桟橋からポイントまでが30分程度と近いので、伊藤遊船では午前船、午後船に分かれた半日船をおこなっており、両方に乗る場合は午後船が割引となる。今回はどうにか一匹でも釣りたいので、一日通しで乗ることにした。ちなみに伊藤遊船は基本的に予約乗合なので、カレイ釣りは前日までに要予約。

この日は平日ということで、午前船のお客さんは私を入れて四人。弱い北風の予報だったので、日向側となるであろう右舷(船は基本的に風上を向く)のミヨシに席をとった。確か太陽は東から昇るはずだ。「西からのぼったお日様が~」っていうバカボンの歌で覚えて理科のテストでバツをもらった記憶があるぜ。

東京湾奥を船から狙うカレイの釣り方

さて船でカレイを釣るのは初めてなのだが、船長に話を聞いた限りでは基本的に仕掛けや釣り方に難しいことは一つもないようだ。東京湾奥のスタイルは、天秤仕掛けの竿を3~4本出して待つというもの。船釣りにしては竿数が多いね。防波堤での投げ釣りを船の上からやるようなイメージだろうか。

難しいことはない釣りなのだけれど、当然こだわる余地は大いにあるようで、この時期を楽しみにしていた常連勢は天秤やオモリに趣向を凝らしたり、お手製のスペシャルな仕掛けを作ってきたり、こっそりと特エサを持ち込んだりしているようだ。

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キス用の天秤に20~25号のオモリをつけ、その先にカレイ用仕掛けを接続。このオモリはナス型だけど、置き竿の釣りでは潮に流されやすいので、小田原型(ナス型がカクカクしたやつ)やスパイクオモリがオススメ。

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船宿が用意するエサはアオイソメとイワイソメ少々(ない場合もあり)。匂い担当のイワイソメは小さく切ってハリのチモトに付け、動き担当のアオイソメは5~8センチの長さにカットして房がけにする。人によっては活きの良さ優先で切らずに付ける場合も。

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竿は船の揺れを吸収してくれる柔らかめのキス竿などが基本。私はキス竿、バスロット、アナゴ竿とでたらめのラインナップ。投げるのが基本なのでリールはスピニング。※この頃の私はベイトリールでまったく投げられなかった。

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船のスペースに余裕があったので、ライトゲームタックルにベイトリールというライトアジ釣りみたいなセットで船下も狙っておく。まさかこれが救世主となるとは……

仕掛けが準備できたら、アンダースローで竿ごとに方向や距離を変えて広く投げていく。そして置き竿にしてちょっと待ち、アタリがなくても竿をゆっくりと立てて魚が掛かっていないか聞いてみて、釣れていなければリールをちょっと巻いてポイントをずらす。それを繰り返して仕掛けが船下まで来たら、回収してエサを確認して再投入。

アタリははっきり出る場合もあるけれど、アタリに気づかず聞いてみたら釣れていたという場合も多いそうだ。聞き合わせの時に早くシャクるようにすると、カレイの口から針がすっぽ抜けることがよくあるそうなので、合わせは必ずゆっくりと。アタリがあった場合も同様で早合わせは厳禁。

私の場合、持ってきた4本の竿を全部投げるとオマツリ必至なので、二本は最初から真下に下ろして船下を狙うことにした。どうせ一本はベイトリールだし。このときのコツは、船の揺れで仕掛けが浮かないように、ちょっと糸を弛ませてやること。

しかし沖釣りで竿を3本も4本も出すなんて、なかなかめずらしい釣りである。もし抵当な竿を何本も持っていなければ、カレイに最適な柔らかめのキス竿が貸し竿で用意されているので、無理に買わなくても大丈夫。

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竿数が多いので竿受けはやっぱりあった方が便利。私の沖釣りはボート釣りからスタートしたので「受太郎」を二つ持っている。

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さらには二本の竿を受けられる「受二郎」も。いま「受け痔ろう」って変換されたぞ。これに竿を二本置く場合は、竿の長さが違うほうが絡みづらいよ。

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長靴を持ってくるのを忘れてしまい、今年になって買ったばかりの白いスニーカーで挑むこととなった。地味につらいぜ。

釣れるカレイのサイズがでかい!

午前船のポイントは、浦安の水深6メートル前後の超浅場。ここは産卵を終えたカレイが集まってくる場所で、まだちょっと時期が早いため数は期待できないけれど、釣れればサイズはでかいらしい。こんな浅場に大物がいるとは思えないのだが。ちなみに現在の潮は艫からミヨシ(後ろから前)に流れていく感じ。

船でのカレイ釣りって初めてなので、でかいというのがどれくらいのことを指すのかわかっていなかったのだが、釣りはじめてすぐに私の後ろの方が釣りあげたカレイを見てびっくりした。いきなりの38センチである。

ジャイアント馬場の足のサイズが34センチだったといわれているが(十六文ではなかったらしい)、それより4センチもでかいのだ。まさにジャイアント・カレイである。あるいはカレイ・ザ・ジャイアント。ジャンボ・カレイでも可。ってどうでもいいですね。

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私が竿をようやくセットした頃に早くも船中一匹目が!

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こちらの方は茨城や神奈川までカレイを釣りに行くマニアだそうですが、「湾奥でこんなの釣れるなら、もう遠くにいかなくてもいいな」だって。

船長の話だと、カレイ釣りは上げ潮と下げ潮が入れ替わるタイミングが時合いで、この日は9時と15時半。その前後以外はポツポツ釣れる程度ということだったが、時合いを前に幸先のいいスタートである。

ただやはりそうポンポンと釣れる魚ではないので、その後はしばらく沈黙が続いたが、船長が海を見ながら「そろそろ雰囲気がでてきたね」とかっこいいセリフをつぶやいた8時半頃に、右艫の方が35センチを釣り、そして最初に釣った後ろの方が今度は39センチとさらにサイズアップの一匹を釣りあげた。わかりやすく時合い到来である。

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ナイスカレイ!ナイス笑顔!

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さっきが38センチで今回が39センチ。ほぼ40センチのアラフォーカレイを連発!

よし次は私だろう。もうそろそろ私だろう。順番でいったら私だろう。年功序列でも私だろう。私じゃなければ誰なのさ。でーも釣れない。まあ釣れないときはそんなものか。

頭の中ではさっきから延々と筋肉少女隊の「日本印度化計画」が替え歌でループしている。

「俺にカレイを釣らせろ―、俺はいつでもサイズにこだわるぜー」

そしてそのまま時合いが過ぎて行った。

このように湾奥のカレイ釣りは基本的に待つ時間が長い釣りなので、退屈といえば退屈なのだが、実はこういう釣りが嫌いではない。竿を何本か並べて、たまに釣れていないか聞いてみたり、エサをチェックしてみたり。傍から見ているとボーっとしているだけなんだけれど、心の中はドキドキしっぱなしという感覚が性に合っているのだ。これで大物がポーンと最後に釣れれば最高なんだけどね。

最後の最後にきた特大カレイ!

結局一度もアタリがないまま、もう少しで沖上がりの時間となった。あまりにも釣れないので、すでに二匹の大物を釣っている後ろの方にコツを聞いてみたところ、「特にないんだよね~」という答えが返ってきた。

これは一言で言えるような簡単なコツはないぞという意味で、釣っている様子をしっかり見ていると、私よりも短い間隔で仕掛けを入れ直したり、こまめに竿を聞いてみたり、エサを新鮮なものに変えたりしているようなのだ。

手を抜こうと思えばいくらでも抜ける釣りだからこそ、その中でどれだけ忙しい釣りをするかが釣果に大きく影響するようである。それはわかっていても、ついついボーっとしちゃうんだよね。

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時合いも過ぎて潮が止まり、湖のような海面に。

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厚着し過ぎて、誰だかわからないですね。

さあ残り時間はあと10分少々。これは午後船の時合いに期待だなとウトウトしながら白旗を上げていたところで、粘り強い釣りをしていた後ろの方が、本日三匹目にして最大となる堂々の46センチのカレイを華麗に釣りあげた。でかい!

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やっぱりちゃんと釣りをしている人に魚は掛かるものですね。

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このポイントはでかいのが釣れると聞いていたが、ここまででかいのがいるのか。

はじめてみる特大サイズのカレイに驚きながら、自分には決して釣れることはないだろうなと思いつつ写真を撮らせてもらっていたら、船長から「この竿、来ているんじゃない?」というまさかの声が私に掛かった。

船長が指差す竿は、せっかく場所が空いているんだからと出していた、船下狙いのライトゲームタックルにベイトリールの組み合わせ。同調子の竿なのでアタリがわかりにくいのだが、よく見ていると確かに船の揺れとは違った動きをしているようだ。

カレイ釣りに強い合わせは厳禁。そーっとそーっと竿を上げてみると、ゴンゴンゴンと下に潜っていくような強烈な引き。なにか大物が掛かっているのは間違いない。船長がタモを構える横で、これがカレイであってくれと祈りながらリールをゆっくり巻く。写真とか今は無理。久しぶりに心臓の鼓動を感じているぜ。

そこに掛かっていたのはお約束のアカエイ……と一瞬見間違うほど大きなカレイだった。やったー!

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最後の最後、一番期待薄だった竿でカレイが釣れた。

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針は唇に薄く刺さっていた。強くあわせたら切れていたな。

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アフリカ土産の木のお面みたいな、46センチの特大サイズ!

最後の最後、諦めきっていたところでまさかの46センチ。一番期待をしていなかった船下狙いの竿で、しかもアタリを船長に教えてもらってようやく釣りあげたという幸運。

「釣った」というよりも「釣れた」、いや「釣れていた」、もはや「釣らせていただいた」という感じだが、それでもやっぱり嬉しい一匹だ。だって46センチだよ!

今日はまだ産卵の直前直後でカレイはあまり口を使ってくれなかったが、今後は体力回復のために荒食いを始めるそうで、そうなれば身もどんどんと厚くなる一方。置き竿の釣りなので好き嫌いが分かれるとは思うけれど、私はこの釣りにハマりそうである。

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午前と午後の通しで乗ると、船宿でお昼にカップラーメンがでてきます。

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「どうせ釣れてもくれないんだろ?」という顔で見つめられた。

午後船は数狙いのポイントへ

初挑戦の東京湾奥でのカレイ釣りだが、午前船での釣果は一匹だけ。しかし特大の46センチだったので大満足。この釣りは一匹釣れた時の喜び指数が、かなり高めの設定なのかもしれない。

いったん船宿に戻って新たなお客さんを4人乗せて向かった先は(午前船に乗った人も全員午後船に乗った)、水深8メートル程の幕張沖。さっきの場所はひっかかりのない砂泥だったが、ここは海底はオモリを引っ張ると貝殻がゴロゴロしている感じが伝わってくる場所だ。

このポイントはこの時期になるとオスのカレイだけが集まっているそうで、サイズよりも数が期待できるらしい。常連さんはニヤリとしながら「男祭りポイント」と呼んでいたのだが、この言葉の本当の意味は後ほど身を持って知ることとなる。

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午後は片側4名、全部で8名での釣り。あまり人数が少ないと寂しいので、これくらいがちょうどいいかな。

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太陽がまぶしいのでサングラスをしたら、さらに誰だかわからない人になってしまった。

この釣り場では、私が座る右舷側だと潮が前へと払いだしていく流れとなり、糸がまっすぐ前に張ってくれるのでチョイ投げの釣りがやりやすい。

逆に左舷は投げてもすぐ仕掛けが船下へと流れてしまうので、広く探るには不利なようだ。こういう場合はスパイクオモリなどの流されにくいオモリが有効なのだろう。ただこれは15時半頃に潮が変わると流れが逆になり、風向きが変わらなければ夕まずめまでに左舷側が有利になるはず。って船長がいっていたよ。

釣れる可能性が高いタイミングは、もちろん潮が変わる3時頃から夕まづめにかけてなのだが、さすが数が狙えるポイントだけあって、早い段階からポツポツとカレイが釣れていく。

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せっかくアナゴ竿があったので小突いてみたのだが、アナゴが釣りたくて仕方がなくなるだけなのでやめた。

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最初の一匹目は伊藤遊船でよく一緒になる右席の方。しばらくスタッフさんだと思ってた。

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そして左艫でもナイスなカレイが上がった。

これがカレイの男祭りなのか

午後船になって人が増えたこともあり、船でカレイが釣れる間隔が短くなった。こうなるとたとえ自分が釣れていなくても、なんとなくワクワクしてくるものである。

午前船では一匹釣ったといっても自分でアタリを感じて釣りあげた訳ではないので、今度こそは竿先のアタリに気づき、そして食い込むまで待って、「釣れた」のではなく「釣った」といってやりたい。まあ自己満足の世界なんだけどね。

そんな願いをカレイが知ってか知らずか(絶対知らない)、もう少しで時合いを迎えそうな15時に、一番左のバスロッドがビクビクっと竿先を動かした。そしてすぐにまた止まる。しばらく見てるとまたちょっと動くという「だるまさんが転んだ」状態がしばらく続く。

置き竿のまま穂先を見つめて、ちょっと大きめのアタリがあったところで竿を手にして、ゆっくりと大きく聞いてみる。よし、乗った!

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バスロッドだとちょっと硬すぎて、アタリがわかりにくかったかな。

釣れたのは37センチのカレイ。タモですくう時にあまり大きくないなと思ったのだが、午後から乗ってきた隣の方に「立派だね!」といわれて、これが大きくないのではなくて、午前中に釣れたカレイが大きすぎたんだなと考えを改めた。そう、37センチは十分立派なのだ。なんといってもジャイアント馬場の足より大きいのだし。

ちょっと合わせるタイミングを待ちすぎたのか、飲まれてしまった針をどうにかはずそうとしてもがいていたら、指でお腹を押してしまった。すると白い液体が勢いよく飛び出てきた。まさかの白子の液状化現象である。チーズでいえばブッラータだ。

イカを釣ってスミを吐かれたという話はよく聞くが、カレイを釣って白子を掛けられるとは思わなかった。この時期、カレイのお腹には気をつけようね。

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なるほど、これが「男祭り」といわれる所以か。

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釣ったカレイは鰓ぶたの下から脊髄を断ち切って血抜きをしました。

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写真を撮らせてもらおうと思ったら、カレイを持った途端にピュー。
ごめんなさいね。

夕まづめに爆釣とはならず

このように船上各地で男祭りが繰り広げられたが、潮変わりの前くらいからピタッと流れが止まってしまい、潮が流れずに期待された夕まづめの爆釣は不発。それでもどうにか2匹追加をして、午後船だけで合計3匹のカレイを釣ることができた。

潮のいい日だとトップが10匹以上という今シーズン絶好調のカレイだが、この日は午前船が1~3匹、午後船が0~4匹。残念ながらもう一息という感じの一日だったが、天気が良かったし、初挑戦で4匹も釣れたので個人的には大満足だ。

カレイ釣りは産後の荒食いが始まるこれからが本格シーズン。二月頃には身もしっかりと厚くなって、食べて最高のマゴカレイが釣れるはず。平均年齢高めのマニアックな釣りであることは間違いないけれど、我慢の末に釣れた一匹がうれしい釣りなのである。

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二匹目は32センチ。これも例のライトゲームタックルで釣れた。船下を狙うのなら柔らかい胴調子の竿がいいみたい。

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そこを持つと男祭りが……

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潮が流れなくて、アメリカの湖畔みたいな景色になった。

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後半は潮先の左舷側があたったようだ。

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最後に子孫を残し終えたお腹ペッタンコの28センチを釣って終了。それにしても見事にだんだんと小さくなっていくな。これが今年の運勢を表していたりして。あー、ヤダヤダ。

東京湾のマコガレイってうまいのね

釣れたカレイは産卵時期のため、卵や白子に栄養を取られて身が少し薄い感じだったが、それでもやはり東京湾のマコガレイだけあって、船長が「ヒラメより俺は好き」というのがわかる味だった。

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飴色の刺身をポン酢でいただく。さっぱりしてかなり好きな味。昆布で締めてもおいしそうだ。

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皮はウロコをとってから湯引きにしてポン酢とおろしショウガで。見た目が ウミヘビの皮みたいだが、コリコリしたゼラチン質でうまいのだ。

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背中側を刺身にしたのだが、中骨に身が残ってしまったので、腹側はそのままバターでムニエルにしてみた。まだ時期的に脂が少ないので、油を使った料理と相性がいいのかな。

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もちろん煮つけにしてもおいしい。

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カレイのアラで出汁をとったうどん。カレイウドンといいたいだけのメニューですな。

今の時期でこれだけおいしいのだから、二月の脂が乗った肉厚のマコガレイだったらどれだけおいしいのだろう。次は話し相手でも連れて、またカレイを狙って乗船しようかな。

■伊藤遊船

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