見出し画像

館山の大物オニカサゴ専門船で真剣勝負/真澄丸

※掲載終了の「@niftyつり」から2010年11月中旬の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。ここの船長、独特で最高。こういう個性的な船宿だと書くことがたくさんあって楽しいです。今になると船長の教えはいろんな釣りに通じるものだと理解できます。おかげさまで驚きの釣果に恵まれました。カメラマンとしてオカダタカオ先生が初登場する記念すべき回ですね。

ぜんぜんゆるくないオニカサゴ釣り

当サイトの編集長と次の取材先を相談していたら、館山でのオニカサゴ釣りを提案された。私にとってオニカサゴというと、アマダイ釣りでたまに掛かる嬉しい外道というイメージで、専門に狙ったことは一度もない。

いまいちピンとこないオニカサゴ釣りなのだが、編集長が「オニカサゴ専門の船宿があって、玉置さんが取材したらおもしろそうなんですよ。アハアハハ」となぜか笑いながら強く勧めてくる。

オニカサゴ専門の船宿って初めて聞いた。これはなにかあるなということで、友人のカメラマンを連れて真澄丸までいってきた。

画像1

遠いと思って早めに出たけど、早く着きすぎて真っ暗。館山ってイメージより近いね。

館山というと房総半島の最南端ということで相当遠いイメージだったが、館山自動車道を木更津で一度降りなくてはいけなかったのは昔の話。今は富浦インターまでつながったため、それほど時間はかからなくなったようだ。アクアラインも通っているしね。

しばらく車で仮眠をとり、船宿の電気がついたところで中に入る。初めての船宿というのはいつでもドキドキするものだが、当サイト編集長の笑い声を思い出して、さらに不安が高まってきた。

まずは船長の高橋さんと、この日一緒にさせていただく去年の横綱(一番の大物を釣った人)にご挨拶。笑顔で迎えてくれた二人だが、船宿内にどこかピーンと張りつめた緊張感がある。なんだこの喉が乾いてくるような感じは。なんというか賭場っぽい。

画像2

右が高橋船長、左が昨年の横綱。ちなみに真澄丸の「真澄」はおかみさんの名前。

画像3

横綱が釣った去年一番の大物はなんと2.9キロ。最高の笑顔ですね。

この船宿は一年中オニカサゴを狙っている数少ない専門船。オニカサゴというと鍋に入れたら最高な冬の魚というイメージがあるが、ここでは春夏秋冬オニカサゴ。しかも数を狙うのではなく、極端な大物狙いの釣りである。

狙うのは50年以上を生き抜いた大物。船長はオニカサゴ歴15年のベテランだが、「長年生き抜いたオニカサゴに比べれば初心者です」と言い張っている。年間100日、10年間通った常連さんが「やっと私も初心者になれました」というような釣りなのだ。編集長が笑っていた理由がなんとなくわかってきた。

船長や常連さんが初心者なら、私は胎児以下だな。オニカサゴ釣りだけに鬼胎児、なんてな。

そんな大物オニカサゴ釣りだが、この船宿では4つの独自ルールを設けている。

1、800グラム以下はリリース。
2、持ち帰りは4匹まで。
3、針の数は2本まで。
4、魚がかかったら外道だと思っても口に出さない。

1と2は資源保護のため。800グラムというと普通だったら喜んで持ち帰る大きさだが、この船宿ではリリースサイズ。オニカサゴは成長が遅く、持ち帰りOKの大きさになるまで10年掛かるらしい。キープサイズを釣るのに3年かかった人もいるとか。ということは、今日の夕ご飯はハンバーグかな。

3は三本針より二本針のほうが釣れるから。私が説明できるレベルの話ではないので、詳しくは船長に直接聞いて欲しい(ほら、釣りにあまり詳しくない釣りライターだから)。

4はサメやフグなどの外道だと思うと、リールを巻く手がが雑になってしまうから。オニカサゴの引きはハリの掛かった場所や口の開け方などによって様々。魚が掛ったらすべて大鬼(大きなオニカサゴをそう呼ぶ)だと思って慎重にやりとりをし、タモに収まるまで決して気を抜かないこと。

30回掛かっても1回しか上がらないのが大オニカサゴ釣りなのだという。底物の魚は針に掛かったらまずバレないイメージがあるが、この話の正しさは後ほど海の上で実感することとなる。

そんな船宿だからハマる人はどっぷりとハマり、合わない人は二度と来ないそうで、ここに通っている常連さんは、いろいろな釣りを経てオニカサゴにたどり着いたという人が多いそうだ。

午後船ではゆるい感じでアマダイやカイワリの乗合をやっているが(本来なら私はそっちに乗るべきだよね)、船長は基本的にオニカサゴにしか興味がない。オニカサゴ釣りっていうと「食べるための釣り」というイメージがあったのだが、それだけではない何かがあるようだ。

どうやら大鬼はちょっときてパッと釣れるような魚ではないようだが、ここまできたのだから今日は船長の流儀を最大限に吸収して、真剣に大鬼を狙ってみようと思う。正直、「ゆるゆる釣り部」としては場違いな釣りにきてしまったなと思ったけどね。ああ、胃が痛い。

画像4

大鬼釣りの魅力をアツく語る船長。真剣にやるのなら釣り初心者も大歓迎。

カメラマンにきてもらいました

さて私は釣りの取材は一人で行くことが多いのだが、どうしても自分が釣っているシーンの写真が撮れないので(無理に撮ろうとして魚をばらした経験多数)、今回はカメラマンをやっている友人のオカダタカオ氏に同行してもらった。

画像5

好物は炭水化物。ご飯を炊かせたらかなりの腕前だとか。

見た目がほのぼのしている彼なのだが、実は釣り師のバイブルである開高健の「オーパ!」で撮影を担当した高橋曻の弟子であり、今日のようなアドベンチャー(私にとっては)な釣り取材にふさわしいカメラマンだったりする。

そして私はというと、オーパ!は全シリーズ読んでいるが、もちろん開高健の弟子でもなんでもない。

画像6

別角度からもう一枚。

彼は高橋曻の弟子なのに釣りへの興味がなかったのだが、私と一緒に釣りに行ってくれる友人を増やそうと、数ヶ月前からカワハギやアマダイなどの食べておいしい釣りに引きずり込み、ようやく「やっぱり高橋曻の弟子としてはAbuかな」とリールを購入するくらいまで洗脳に成功したところ。

高橋曻の弟子が撮影するのにふさわしい大鬼が釣れるといいけれど、釣れる自信は全くないよ。

画像7

船は船宿から少し離れたところにあるので車で移動となる。

画像8

船長からいただいた「鬼閃流の大鬼釣り」の、裏面にある鬼カサゴレシピを熟読中。読むところが間違っているな。

画像9

真澄丸を見送る真澄さん。

道具と仕掛けについて

今回の釣りでは全面的に船長の流儀に従うため、自分の道具は一切使わず、すべて船宿で調達。竿は船長がいつも使っている船宿オリジナルのオニカサゴ専用竿を特別にお借りした。グラスソリッドでとてもしなやかな竿だ。

リールはアタリがあったときに糸をすぐ送り出せるように、親指でクラッチが切れるダイワ製が船長のお気に入り。仕掛け投入時の糸の出方がちょうどよくなるようにブレーキの強さが調整してある。ドラグ調整は大鬼が掛かった時、根にもぐられないようにきつめが基本。糸はPE6号。

画像10

今までに船長が何匹もの大鬼を仕留めてきた道具をお借りしました。鬼ヶ島から持ち帰ったような竿だな。

仕掛けは船宿で売っている、船長が長年の経験から編み出した2.6メートルと長めの仕掛けを購入。自作する場合は仕掛け図をサイトで公開しているのでこれを基本とするのがおすすめ。

画像11

人数制限をしている船だからできる2.6メートルと長めの特注仕掛け。他の船宿で経験があっても、まずは船長の教える通りに釣ってほしいとのこと。

画像12

天秤の形にもこだわりアリ。オモリは150号。潮の早い日は200号を使う。

画像13

エサはサバの切り身。針を掛ける場所、タコベイトの使い方など、船長のこだわりは細部に渡っている。

一投目からオニカサゴさんがこんにちは

大鬼を狙う釣り場はいくつも船長の頭にインプットされているのだが、その中から潮や風の向きにあわせてセレクトした場所を、だいたい一日16ヶ所回る。大鬼が狙えるポイントはとても狭いので、一か所に対して1流し1投のみ。16ラウンドの真剣勝負だ。

投入のタイミングが遅れればその分ポイントからずれて不利になるので、万全の準備をして船長の合図を待つ。仕掛けの入れ方は、エサの付いた針を用意された磁石マットに丁寧に並べ(適当に並べると投入時に引っ掛かって切なくなる)、竿を竿掛けに置いた状態でクラッチを切り、オモリを海へと落とす方式。水深は100~200メートル前後。

仕掛けを海へと入れたらリールのメートル表示をよく見て、オモリの着底前にクラッチをいったん戻し、そっと着底させるのがポイント。オモリがドスンと底に着くと、大鬼はびっくりして隠れてしまうそうだ。それだけ神経を使う釣りなのである。

着底後の釣り方は細かいことをいえばいろいろあるそうだが、船長が釣り人の力量に合わせた指導をしてくれる。私の場合、とりあえずは置き竿でいいからオモリが底で立った状態をキープするのに注力することを勧められた。オモリって立つものなのか。

画像14

置き竿といっても常に手を離さずに、手持ちと同じ状態でかまえてアタリに備えることが肝心。大鬼ほどアタリは小さいらしい。

オモリを底に立てておく。それくらい簡単なようだが、船長が狙う場所は極端なカケ上がりかカケ下がりのポイントであり、そこをゆっくりと流しながらオニカサゴを狙うので、カケ上がりだったら常に少しずつ糸を巻いてやり、逆にカケ下がりだったら糸を出していってやらないと、オモリが立った状態をキープできない。

ここまで真剣に棚をとったことなんてないなあと思っていたところで、竿先にククッと小さなアタリを感じた。竿を手にしていなければ気がつかないレベルのアタリである。オニカサゴはエサをとるのがヘタな魚なので、すぐにクラッチを切って親指でサミングしながら糸を微妙に出しつつ(オモリの位置を動かさないようにする)、竿を手持ちに切り替えて、エサがオニカサゴの口から離れないようにする。この次のアタリを待つ間の人間関係にも似た緊張感がたまらない。

※実際にオニカサゴがどういう捕食行動をしているのかは想像するしかないけれど、郷に入れば郷に従えで船長の流儀で楽しみましょう。

画像15

アタリがあったときにクラッチを切って糸を送り込む作業が楽しい。

相手が大鬼の場合、三度目のアタリでソフトに聞き合わせるのがここの流儀だが、二回目のアタリがけっこう強かったので、すぐに合わせてしまった。こういうアタリは小物か外道が多いらしい。

ちょっと手でリールを巻いてみると、オモリ以上の重さがあるような気がするが、肝心の引きが感じられない。魚が掛かっているような、いないような。

しかしここで「外道かな」とか「ゴミかも」なんて口に出すのはご法度なので、きっと物静かなオニカサゴだと信じて、竿を竿受けに戻して電動リールでゆっくりと巻いていく。適度な柔らかさの竿であれば、初心者以下の人は置き竿にした方がバレが少ないとか。

あと20メートルとなったところで船長に声を掛けて竿を手で持ち、船べり停止装置が作動する前からリールを手で巻く。急に巻き上げが止まると、それだけでオニカサゴがばれてしまうことがあるためだ。

水面下に天秤が見えてきたところで巻くのはストップ。竿先を上げて天秤を掴み、ハリスが緩まないようにすばやく手繰る。

唇にギリギリ針が掛って上がってきたのは500グラム程のオニカサゴ。船長にタモですくってもらい、「やったぜ本命ゲット!」と一瞬思ったが、この真澄丸では残念ながら「10年早い」リリースサイズの小鬼だった。

画像50

オニカサゴは深い海の魚だが、ゆっくり釣りあげれば内臓や浮き袋が飛び出したりということはまずないようで、元気に海へと潜っていった。

画像16

オニカサゴの体は毒針だらけなので、ハリはずしは船長に任せる。唇の皮一枚に刺さっていたので、もうひと暴れされていたらハリは外れていたな。

画像17

これが最初で最後の一匹になる可能性が高いので、一応記念撮影。ちなみに毒針が怖いのでオニカサゴを持っているのは船長だ。

掛かるけれど釣れない

小さいながらも一投目からオニカサゴが釣れてしまった。もしかしたらこの釣りは自分に合っている数少ない釣りなのかもしれない。なんて軽率に思ったが、オニカサゴ釣りの奥深さはここからだった。

一つのポイントに対して一投しかできないので、次の場所へ移動したところで再投入。二回目からはせっかくなので竿を海面と水平に手持ちしてアタリを取ってみることにした。

ここは急なカケ上がりなので、少しずつ糸を巻きながらオモリが立つイメージで海底をトレースしていく。集中集中。しばらくしてまたアタリらしき竿の動きを感じたが、オモリが底に引っ掛かったのか、魚がエサをついばむアタリなのか、その違いが慣れないと難しいんですよ。アタリかなと思って一回巻き上げてしまうと、このポイントでの釣りはもう終わりなので、微妙なアタリの対処に迷う。

とりあえずこのアタリは見送ると、またすぐに竿先に引っ張られるような違和感。やはり竿は手で持っていた方が興奮するね。今度こそはとクラッチを切ってオモリが引きづられないように糸をそっと出すと、すぐにググっという二回目のアタリ。これも合わせずにもう一呼吸二呼吸と呼吸を止めて待つと、教わった通りに三回目の強めな引きこみがきた。なんだかマゴチかヒラメでも釣っているような気分だが、アタリの大きさはその数分の一という繊細さ。ものすごい緊張感だ。

リールを巻きながら竿を上げてみると、さっきの小鬼よりも明らかに重い。ニヤニヤしながら竿を竿受けに戻して電動リールのスイッチをオン。巻くスピードは「ゆっくり巻いて悪いことは一つもない」という船長の言葉をうけて、ちょっとイラっとくるくらいスローに設定。

画像18

今度はキープサイズのはず!

残り10メートルで竿を手持ちに切り替えて手で巻く。さあ天秤が見えてきた。続けて赤いオニカサゴが浮かんでくる……かと思ったら、ちょっと齧られたサバの切り身のみ。あれー。

画像19

船長に構えてもらったタモが虚しい。こんな写真を撮ってもらうためにプロカメラマンを連れてきたのではないのだが。

途中まではしっかりと魚の重さを感じていたはずなのだが。恥ずかしながらどこで魚が逃げたのかわからなかった。船長の話だとオニカサゴは口が固く、針の掛かりどころが悪いと、ひと暴れされたり、糸がちょっと緩んだだけで外れてしまうそうだ。

出船前に「30回掛かっても1回しか上がらない」といわれたのは、こういうことか。

画像20

こちらは横綱が釣ったミズフグ。こんな魚はじめて見た。

この日は低気圧が近づいていて風や波がそこそこあったが、魚の活性自体はかなり高いようで、仕掛けを入れるたびになんらかのアタリを感じることができた。しかし巻き上げてみると空振りの繰り返し。

魚が途中で外れているのか、あるいは海藻などが引っ掛かったのをアタリと勘違いしているだけなのか、頭の中がモヤモヤしっぱなし。なんだこの謎だらけの釣りは。でもなんだか楽しいぞ。

画像21

釣れそうで釣れないモヤモヤを楽しめないと、この釣りで一番重要な集中力を保つことができない。

画像22

操船の合間にいつの間にか船長がキープサイズを釣っていた。

一生に一度の大鬼一荷釣り

道具は完璧。仕掛けも最高。指導者も一流。それでも空振り10連発。だんだんと弱気になってきたが、アタリはあるのだから針掛かりさえしっかりすればオニカサゴは釣れるはず。

いつもの釣りならダレてくる頃だが、今日はずっと集中力が続いている。この釣りがおもしろいからなのはもちろんだが、きっとオカダカメラマンに撮影を任せることができている上に、車の運転も彼に押しつけているため余力を残す必要がないためだろう。ありがとうオカダさん。でも持ってきてもらったクーラーボックスは最後までたぶん空のままだよ。

なんて思っていたところで本日12回目のアタリがきた。小さくククっときたところですぐにクラッチを切って糸を送りだし(この動作だけうまくなっていく)、しばらく待つと二度目のアタリ。さらに三度目のアタリがきたがこれまた小さい。

どのタイミングで合わせるべきかと迷っていたところで、ちょっと遅れてグググっと今日一番といえる大きなアタリがやってきた。ここだと自信を持って竿先を頭上まで上げてみると、ずっしりとした重量感。なるほどこれが大鬼の重さなのか(だと信じきることが大事)。

画像23

今度こそ、今度こそ。

画像24

途中からは気持ちを込めて祈りつつ、置き竿で電動リールにお任せする。

画像25

途中で何度もガンガンガンと激しい抵抗をされて、そのたびに心臓が止まりそうになる。ギャ!

画像26

さあ、あと10メートル。今度こそオニカサゴがついているはず。

画像27

二匹の魚が見えてきたと同時にオマツリしていることに気づき、なにをしたらいいのか今年一番頭がこんがらがる。

画像28

オマツリをほどいている余裕はないので、横綱に糸を出してもらい、そのままハリスを引っ張る。まさかのオニカサゴの一荷!

画像29

魚が近づいてきたところで、船長がすかさずダブルキャッチ!

画像30

タモに入ったのは二匹の大鬼。常連が何回も通って狙うサイズのオニカサゴが一気に二匹。自然とガッツポーズが出たのは人生初かも。

画像31

ハリはほっぺたの内側に浅く掛かっていただけ。よくばれなかったな。

画像32

こちらはしっかりと針が貫通していた。口がとても堅いので、 針がちゃんと刺さるのは二か所だけらしい。

いや本気でびっくりした。キロオーバーが一匹でも釣れれば恩の字と考えていたのに、みたことのないような大きさのオニカサゴがまさかの一荷で釣れてしまった。合わせたのタイミングでもたついたからこそのダブルかな。

これで運を使い果たし、ポックリ死んだらどうしようと本気で不安になって、しばらくおとなしい生活を送っていたけれど、この記事を書いている段階でまだ生きているのできっともう大丈夫。

画像33

2.3キロと2.1キロの一荷。両腕の重みがうれしい。毒針が怖いけど。

画像34

船長は写真の撮り方にもこだわりがあるようだ。オニカサゴの顔がカメラに見えるようにするのがポイント。

画像35

この大きい方は今年四番目の大きさだそうです。「オーパ!」っていったほうがいいのかな。

画像36

サンキュー、船長!

ザ・ビギナーズラック。これぞ磨き上げた初心者力だな。私でもこの大きさのオニカサゴを釣ることができたのだから、船長の教えをきっちりと聞いて、教わった通りにしていれば、誰にでも大鬼を釣るチャンスがあるということだ。

しかし坊主覚悟の釣りであることは間違いないので、釣れない釣りを楽しめない人には、やっぱり向かない釣りだとは思う。ちなみにこの日は不発に終わった横綱だったが、数日後に2.3キロを釣ってリベンジ達成したそうだ。

オニカサゴ釣りは、やればやるほど自分の課題が見えてきて(一回しかやっていないけど)、次はもっとこうしようと反省する箇所が多々ある奥の深い釣り。この奥の深さが常連さんを何度も通わせる理由なんだろうね。

画像37

そのあとはまたアタリはあるけれど釣れないモードに。奥が深い。

毒針はカットしてもらえます

心の中で大漁旗を掲げて港に戻り、釣ったオニカサゴを安全に持って帰るため船長に毒針をカットしてもらった。恥ずかしながらオニカサゴの毒針は背びれだけだと思っていたが、いろいろなところに毒針が隠されていてびっくり。

「そういう中途半端な知識が一番刺されるんだよ」と船長に笑われたが、今まで刺されなくて本当によかった。

画像38

せっかくなので毒針を切る前に防水カメラで記念撮影。なるほど、こりゃ泳ぎがヘタそうだ。

画像39

真横からの一枚。なんだか情が移ってしまいそうだ。

画像40

まず左右のほっぺたに数本。

画像42

お尻に一本。

画像41

左右の胸鰭に一本ずつ。

画像43

そして背びれ。刺されたら救急車コースなので、船長に任せるのが無難。

画像44

二匹釣れたので、我が家と岡田カメラマンに一匹ずつ。めでたい。

オニカサゴは市場でもなかなか出回らない超高級魚。しかも2キロオーバーとなればオニカサゴ専門船の真澄丸でも年に数人しか手にできない大変貴重なものである。うはうは。

船長は「大リーガーの剛速球をホームランしたくらい価値があるよ」と笑うが(真澄丸の真澄は桑田真澄のことだっけ)、ならばそれは船長が教えてくれたフォームでバットを振ったからこそのホームランなのだろう。自己流でやっていたら三振か自打球で終わっていたな。

たのしかったー!

画像45

持って帰って捌いてみたらイカが丸ごと出てきてびっくりした。今度はイカをエサにしてみようかな。

画像46

オニカサゴの刺身。ムッチムチ!

画像47

アラと半身は贅沢にも甘辛く煮付けてみた。

画像48

胃袋をよく洗って湯がいてポン酢でいただく。おいしいのでぜひ捨てずに食べてほしい。

画像49

こちらは岡田カメラマンから送られてきた画像。胃袋や肝をちゃんと食べているところがいいね。また一緒にきてくれるといいな。

■真澄丸

サポートいただくと生きていけます。