とある幸せな種継家の話※シナリオバレあり

私はここ2年半ぐらい、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)というものにハマっている。

テレビゲームやアプリゲームとは違い、人と人がコミュニケーションを取り合いながら、一定のルールの中ではあるが自由に言葉を選び、行動を起こすことができる、とびっきり楽しいごっこ遊びだ。(特に私は自分の作成したキャラクターに成りきる行為に重点を置いて遊んでいるため「ごっこ遊び」という言葉を使わせてもらう)

その中で丁度昨年遊ばせてもらったシナリオに「とある幸せな家族の話」(さんとなな様:作)がある

基本的にKP(進行役)とPL(プレイヤー)が揃って初めて成立する遊びなのだが、このシナリオを遊ぶにあたって私はKPを務めることになった。
(なんならこの記事のメインである種継家の前には別のPLさんたちに同シナリオをKPとして回させて※いただいている)
※KPとしてシナリオを進行することを界隈では「回す」と言う

このシナリオを知ったきっかけは友人に「このシナリオ好きそう!」とおすすめされたことだ。
シナリオの概要を調べた私は「なるほどな、友人の言う通りこれは私が好みそうな雰囲気のシナリオだ」と思った。しかし、当時は自身の周囲でこのシナリオをKPできる知人がおらず、また野良(Twitterなどで募集している知人関係がなくても遊んでくれる公募式のセッション※に飛び込むこと)で募集している直近の卓※も見つからなかったので、私は自分がPLとして遊べる機会を待つことができずに友人お勧めの該当シナリオのセッション配信を見ることにした。
※TRPGで遊ぶことを“セッションする”、“卓を囲む”と言う

つまり、私はこのシナリオをPLとしては通過せず、配信で見てしまっている所謂未通過KPというやつだ。

(上記は友人にオススメされて視聴した高生紳士さんKPのセッション配信)

そんな中、TRPGをきっかけに交友関係を持った友人もこのシナリオを好みそうだと思った私は、「〇〇さんはこのシナリオ好きそうなので、回ってほしいです~!PLさん集めてくれればKPは私がやりますから!」とお声がけし、そんな話をした半年後にようやく集まったのがこの記事のメインのお話になる「種継家」のPL4名である。

これは余談だが、私がお声がけさせていただいた方が「家族」をテーマにしたシナリオを回るにあたって、自分と同じ温度感でTRPGを全力で遊んでくれる人を選ぶのに、半年間もPLさんを厳選していたらしい。
それを聞いた時、このシナリオのセッションを楽しみにしてくれている本気度を感じて、背筋が伸びたことを覚えている。
※TRPGの楽しみ方は人それぞれなので、こういう「本気」で挑むことを推奨しているわけではないです。私やその周りはその心持ちで挑むことを楽しんでいる人たちが多いというだけ。

「とある幸せな家族の話」というシナリオは秘匿HO(ハンドアウト)というものが存在するシナリオだ。
秘匿HOというのは、事前にKPから配られる、他PLに公開されないそのシナリオで遊ぶにあたっての行動指針やキャラクター設定に影響する情報のことである。
当該シナリオの公開HOには「HO父」「HO母」「HO兄(姉)」「HO弟(妹)」というものが設定されており、つまり端的に言ってしまうと4人家族のキャラクターをそれぞれのHOの役割に沿って作成して、家族のロールプレイングを行い、それを楽しむシナリオである。

そんな種継家のPLのみなさんは、大手Vtuber事務所の「にじさんじ」がお好きな方たちだ。特に「元SEEDs一期生」に推しがいるということで、一家のファミリーネームを相談して決めるときに「種(たね)」が入る苗字がいいよね!となり、いろいろ調べて候補を挙げた「種市(たねいち)」「多禰(たね)」「種継(たねつぎ)」の三択からダイスで決まったのが「種継家」。

ココフォリアのお部屋のバックに大きな木を置いた「種継家」専用デザインのお部屋。

そんな種継家が「とある幸せな家族の話」を全生還で終えて、2023年3月18日で1年を迎えたらしい。
当時のことを思い返しながら、私にとって特別な種継家の話をしようと思う。


※ここからは「とある幸せな家族の話」の重大なネタバレを含みます

TRPGは基本的にネタバレがあると楽しめなくなる遊びのため、通過予定がある方やPL通過したい方は閲覧しないことをお勧めします。















ようやく本題に入れた。
前説が長すぎる。こんな身内宛てにしかならない壁打ちの記事なんて読む人が限られているのに、懇切丁寧に経緯を語ってしまった。

先述した通り、種継家は全生還でシナリオを終えている。

つまり、あの火事や厳しいダイスを切り抜けて生き延びた家族である。

セッション中は家族団欒のRPが入るたびに「でもこのあと現実世界に戻るなら過酷な状況が待っているんだよな……この幸せな家族が一人でも欠けたらPLさんにとっても傷になりかねないセッションになっちゃうだろうな……」と思って胃が痛かったのを覚えている。
特に種継家はそれぞれのキャラクターが何か欠けたところのある不安定で未完成な人間たちで、それを家族と補いあって一つの“幸せな家族”として成立している一家だと感じていたので、余計に。
家族内での父や母や兄や弟という役割が彼らのパーソナリティーやアイデンティティを形成する必要不可欠な要素になっていたと思う。
だからこそ一つでも欠けたら、この家族は崩壊しかねないと思ってハラハラしていた。
特に、フレーバー要素の設定で「HO母」のキャラクターが海で自殺しようとしていたところを「HO父」のキャラクターに止められたことが夫婦のなれそめって聞いていたので、一番ロスト率の高い「HO父」が死んでしまったら「HO母」はどうなってしまうんだろうってことを考えるたびに胃が痛かった。

だから本当に全生還してくれた時は飛び上がるほどにうれしかった。

このセッションは種継家PLさんたち全員が思い入れのあるセッションに上げてくれるほど良いもので、中には「種継家は人生」なんて言ってくれる人もいるほど。
それだけ楽しんでくれたのも嬉しいし、ただの娯楽以上の意味をPLであった彼らが受け取ってくれたのは、想定外だったけど嬉しいな~と思っています。
本当に全員で同じ温度感で遊べると、PLさんの誕生日にPCからPC宛てとしてプレゼントが送られるし、種継家の共用ツイッターアカウントも生まれるし、1周年記念にオリジナルMVだって制作される。

それってすごいことだと、しみじみ感じる

先日PL通過シナリオが100シナリオを迎えて(未通過KPの卓とかは除く)、そのどれもがかけがえのない思い出で楽しかったけど、ここまで擦る……というか同卓者全員で同じ温度感でずっとあのセッション楽しかったね、とかシナリオ後のこの家族はこうして暮らしてるのかなって話をし続けられることって早々ないことなので、こういうセッションに関われたことがとても嬉しいし誇らしいなと感じています。

それと、誰よりも一番近い特等席で種継家の人生の1シーンを見届けられたこと。なんならシナリオ後に産まれた設定になった新しい家族の命を私に預けてくれたこと。「KPも種継家(自陣)だよ」をほんとうにしてくれたこと。何もかもかけがえのない唯一の経験で、ごっこ遊びであるTRPGを超えた新体験をさせてもらえたと思ってる。

こういうただの娯楽で得られるものを超えた感情を抱くことができたり、絆を結ぶことができるときがあるし、なんならPLの価値観をひっくり返されたりすることすらあって。
そういう“瞬間”がとても好きなので、TRPGってやめらんねぇな!と思った一つのきっかけ。

種継家のみんなが大好きです。
これからも5人で幸せでいてね。


種継家のセッションのエンドカードに使った前景


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