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【実験】全国各地のフリーランサーが集う街づくりプロジェクトに参加した地元出身者は、「既知の未知化」を体験するか?

本記事は、ランサーズ新しい働き方LABの「研究員制度」に参加する過程で、わたし個人が行う「働き方実験」についてまとめたもの。


◆実験の目的と背景

今は住んでいない地元に何かしら関わりたい・貢献したいと思う中で、最大の障壁はなんだろうか。わたしにとって、それは「のっぺり」の感覚だ。「のっぺり」は、凹凸がない状態、自明のことで塗り固められて新しい発見の余地がなく、ワクワクが生まれない状態。わたしが高校まで過ごした掛川市には、好ましい、楽しい思い出だけではなく、重苦しい、苦々しい思い出もある。また、地元の家族が語り続ける掛川の姿は決してバラ色ではなく、灰色で悲観的だ。どれだけ地元の可能性を思い描いても、帰省してしばらくすれば、それらの「過去」や「悲観」が容赦なく襲いかかる。蓄えていたはずのワクワクが消え、「のっぺり」が侵食してくる。「のっぺり」が君臨すると、地元への試みの支えは「何とかしなきゃ」という義務感のみになる。短期的には義務感だけで十分かもしれない。でも、長く共に生きようと思う場合、義務感だけで続けていく自信が自分にはない。地元という舞台上で、探求心や好奇心に息を吹き込んでくれる何かが絶対に必要だ。

タイトルに入れ込んだ「既知の未知化」は、Takram コンテクストデザイナー渡邊康太郎氏の言葉。

あえてわからなくするもの、新たな切り口によってむしろ無知に気づかされること。暗闇や謎の存在を明らかにすること。「語りきられたもの」を未知化する。すでに自明と思われているものに潜む謎をあらわにする試みは、見えているものの自明性を突き崩す。(中略)本来知っていると思っていたことがわからなくなる知的興奮がここにある。

出典:渡邉康太郎『CONTEXT DESIGN』(Takram、2021)p28-29

知っている、当たり前だと思っていた風景が、ふと違ったものに見える。面白みが顔を覗かせる。「のっぺり」を撃退するために、この「既知の未知化」が有効なのではないかとわたしは睨んでいる。

今回参加するプロジェクトは、地元掛川の街を学びのキャンパス化しようという試み。掛川という地を、自分のネットワークではめぐり合えなかったであろう方々と、これまでに自身が経験したことのない協働の中で扱うことになる。この掛川との新しいかかわりは、「既知の未知化」を引き起こす絶好の機会だと信じている。

◆検証したいこと

  • プロジェクト参加は、地元での「既知の未知化」を引き起こすだろうか?

  • 引き起こす場合、どのような「既知の未知化」が引き起こされるのか?

  • 「既知の未知化」を引き起こす要因は何か?

  • 上記は、どのような時系列で引き起こされていくのか?

  • 自分にとって、最も重要な既知の未知化は何か?

  • 地元で「既知の未知化」を引き起こし続けるために、何が学べるか?

◆活動の概要

  • 週3回以上、プロジェクトに参加する

    • プロジェクト活動はもちろん、Slackの情報を見る、他参加者のことを知る等の行動も含む

  • 上記を行う中での、自分の行動や考え、感情、それらの変化について観察日誌を作成する(オートエスノグラフィー)

◆アウトプット・成果

  • 観察日誌(Notion利用想定)

  • レポート(PPTもしくはmiro利用想定)

    • 生じた「既知の未知化」(+自身への影響度)

    • 「既知の未知化」を引き起こした要因

    • 上記を時系列で整理したジャーニー

  • 上記レポートのコミュニティ内での報告

◆実験の測定方法

  • 生じた「既知の未知化」の自身への影響度を測定

    • 「影響度」を測る指標は検討中

◆スケジュール・進め方

  • 7~12月

    • 観察日誌作成

  • 10~11月

    • レポート構成検討・決定

  • 11~12月

    • レポート作成

  • 12~1月

    • 結果報告

◆その他

本実験は自身を対象としたものであるものの、今回参加する「掛川の学びのキャンパス化」というプロジェクト内容にも重なるものだと思う。掛川に住む人々、訪れる人々が、自身の生活の営みにいつもとは異なるまなざしを思わず向けてしまう、「既知の未知化」が起こるような仕掛け。自身の観察日誌と、プロジェクトでの試みの相互作用によっても、一人では得られない発見があることを期待する。

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