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オーストリア/黄金の秋のシュタイヤーマルク州と古城ドイチュランズベルク城

オーストリアで山がカラフルに色づくこの季節、「緑の州」シュタイヤーマルク州が黄金色に輝く秋を楽しみに、旅行に出かけました。
今回の目的地は古城ドイチュランズベルク(Deutschlandsberg)。以前立ち寄った時に古城ホテルと知り、それ以来泊まってみたいと思っていた古城です。

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ドイチュランズベルク城。塔に絡まるツタが炎のよう

ワイン畑を見下ろす丘の上に建つ中世の古城、ドイチュランズベルク城。2つの塔に堅牢な外観を持ち、ホテル、レストラン、セミナー施設、ウェルネス設備、結婚式場、ケルト人の歴史を紹介する博物館を兼ねるだけではなく、裏山に美しい渓谷のハイキングコース、目の前にはブッシェンシャンク(ワイン居酒屋)が何軒かあります。

場所はウィーンから車で南へ3時間強。グラーツの南西約一時間。南シュタイヤーマルク州の「シルヒャーワイン街道」と「かぼちゃの種オイル街道」上にあり、南シュタイヤーマルクの楽しみが凝縮されています。

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典型的な南シュタイヤーマルク州の秋の風景。風車のように見えるのは、この地方の風物詩クラポテツ。風車が回るとカタカタと音が鳴る仕組みで、農作物の鳥除けになります。

この城の周辺は紀元前5世紀ごろから定住が始まり、最初はケルト人、続いてローマ人が入植しました。この土地がオットー一世からザルツブルク枢機卿に寄進されたのが970年。その後11-12世紀に塔が建設され、城主の変更や戦争を経て、再び15世紀にザルツブルクの所有となります。1532年にはトルコ襲来に耐え、その後1803年にハプスブルク家の所領となりますが、1820年にリヒテンシュタイン公が城を買い取り、1932年に市の所有となり、古城ホテルに改装されて今に至ります。

画像3結婚式なども開かれる大広間。中世の雰囲気を残しつつ、近代的で居心地も満点。

客室の窓から眼下に広がる景色がすばらしく、息をのみます。城の前の斜面にはブドウ畑が、遠景にはグラーツ辺りまでくっきりと見えます。黄色に染まった山々と小さなかわいい農家。この景色だけでも泊った価値は十分にあります!

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城からの眺め。眼下には秋の色合いのワイン畑が広がっていて、遠景にはシュタイヤーマルク州の州都グラーツも。

古城周辺には自然保護地域の渓谷と森があり、ハイキングを楽しむことができます。特に黄葉が上からかぶさってくるようで、木漏れ日まで黄金色の光と葉に包まれて自然を体感できます。

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黄金の秋を肌で体験できる山歩き。

ハイキングコースは山のふもとの渓流から始まり、黄葉のトンネルを抜けて1時間半ほど山を登っていくと、ちょうど古城の裏手が終着点です。

ハイキングの後は、せっかく南シュタイヤーマルクに来ているのですから、シルヒャーシュトルムを楽しみに、ブッシェンシャンクに立ち寄ってみました。

ブッシェンシャンク(Buschenschank)とは、ホイリゲに似たワイン居酒屋。ウィーンのホイリゲとの違いは、ブッシェンシャンクは夜もKalte Speise(冷たい料理)しか出さないこと。典型はハムやベーコンの盛り合わせで、パンに載せて食べます。質素なようでいて、ハムもベーコンも農家の出来たてだからとてもおいしいんです。

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「冷たい料理」盛り合わせ。農家直送の分厚いハムやベーコンが山盛り。

シルヒャー(Schilcher)は高品質と高評価で有名なシュタイヤーマルク原産のロゼワイン。シュトルム(Sturm)は以前ご紹介しましたが、この季節限定で出回る発酵途中のワインで、ぶどうジュースとワインの中間の飲みもの。アルコールは弱めで、ジュースのような甘みがあり飲みやすく、女性にお勧めです。

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シルヒャーのシュトルム。季節も地方も限定されるので、なかなかありつけない飲み物です。

こんな風に田舎で秋を満喫してみるのもなかなかいいものですね!

(2012年11月執筆)

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