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復刻記事

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阪急交通社で連載していた記事を復刻します。
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#ウィーン

ウィーンの宮殿内にある、ヨーロッパ最古のオークションハウス「ドロテウム」

音楽の町ウィーンは、美術品好き、骨董好きな人にもとても魅力的な街です。ウィーンのオークションハウス「ドロテウム (Dorotheum)」は、世界的に見ても最古かつ最大のオークションハウスの一つとして数えられ、ドイツ語圏最大、中欧では最も規模の大きなものです。 今回は、意外に誰にでも開かれていて、豪華でノーブルな雰囲気を味わえる、ドロテウムの内部をご紹介します。 この「ドロテア宮殿」そのものがオークションハウス「ドロテウム」です。 女帝マリアテレジアの叔父ヨーゼフ1世の時

ウィーンの街歩きのお供に、美味しいアイスはいかが?お勧めアイス屋さんと注文方法

オーストリアは、実はアイスクリームがとっても美味しいことでも有名です。夏の日差しが暑いウィーンでは、この時期多くのアイス屋さんが軒を並べ、お客さんがテラスやベンチでアイスを食べています。 ウィーンで食べられているのは、国境を接するイタリアから持ち込まれたジェラートで、本場イタリア人が働いている店も多くあります。それなのにオーストリア人は、もうアイスは国民食と言わんばかりに、アイスが大好き。ランチ帰りのビジネスマンから親子連れまで、欲しいと思ったらすぐにアイスを買って、その場

春の到来!イースターの時期に食べる、オーストリアの焼き菓子

冬時間が夏時間に切り替わり、春らしい陽気になってきたウィーンです。春と言えばイースター。クリスマスの次に重要な祝日です。 キリストの復活を祝うお祭りとされているイースターですが、本来はキリスト教の伝来の前から、春の到来を祝う土着のお祭りでした。日が長くなり、緑が芽吹き、花が咲き始めるこの季節、日本人がお花見を楽しむのと似たような感覚で、オーストリアではイースター前後の時期に、春を満喫します。 イースターのシンボルと言えば、卵とニワトリ、ウサギ、ネコヤナギの木などがあります

凍りついた美しき「白き」ドナウ!寒波のウィーンの氷と雪景色

近年珍しく寒波に見舞われたウィーン。3週間近く気温が氷点下を超えることのない日々で数年ぶりにドナウ河が凍り、スケートができるようになったというニュースが世界中で報道されました。 凍ったアルテドナウ 流れているはずのドナウ河がどうして凍るの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は、ウィーンにはいくつかの「ドナウ」があります。今回凍ったのは、その中でも人工的に川から切り離した三日月湖アルテドナウや、洪水対策のために川をせき止めたノイエドナウです。ドナウ本流のほうも寒波

ここでもベートーベンとクリムトに会える!元宮殿内のウィーン演劇博物館

ウィーン市内には50以上の美術館・博物館がありますが、その中から今日は、観光に便利な好立地にあるのに、なかなかマニアックな響きのする「演劇博物館」をご紹介します。 よほどの演劇好き、オペラ好きでなければ足を踏み入れない専門的な博物館のように見えますが、実は内部にはベートーベンが指揮棒を振ったコンサートホールと、クリムトの絵画があり、演劇ファン以外が素通りしてしまうにはもったいない建物です。 演劇博物館はオペラ座のホーフブルクの間に位置する貴族の元宮殿内にあります。17世紀

金ピカ御殿!オーストリアの英雄オイゲン公の冬の宮殿

ウィーンの中心部シュテファン大聖堂から徒歩3分の便利な場所に、新しく豪華な宮殿が最近公開されました。2007年までオーストリア財務省のオフィスとして使われていたこの建物は、大規模な修復工事を経て、2013年から「冬の宮殿(ヴィンター・パレ)」として公開されています。 この見事なバロック建築は、夏場はベルヴェデーレ宮殿で過ごしていた17-18世紀のオーストリアの英雄オイゲン公が、冬の住居として作らせたものです。フランスのサヴォイ家の貴族の血を引き、レオポルト一世、ヨーゼフ一世

皇帝も訪れた?!ウィーンの歴史あるアイススケート協会のスケートリンク

ウィーンでは、1月になり、クリスマスマーケットの時期が終わると、市庁舎前の広場で仮設のスケートリンクが作られ、夢のように美しい景色の中でスケートを滑ることができます。市庁舎前のリンクは観光客が多かったり、入場料が高めだったりと言うことで、もっとガッツリ滑りたい地元民は、常設の「ウィーンスケート協会」に滑りに行く人も多いようです。 ウィーンスケート協会のスケートリンク。背景はお隣のコンツェルトハウス。 この「ウィーンスケート協会」のスケート場は、市民公園の裏手、ウィーンで二

プレゼントやデコレーションに大活躍!オーストリアのクリスマスクッキー

クリスマスと言えばクリスマスケーキ。ヨーロッパ事情に詳しい人なら、フランスのブッシュドノエル、イタリアのパネトーネ、ドイツのシュトーレンなどのご当地スイーツもステキですよね。 ところが、ウィーンではこれといった典型的なクリスマスケーキはありません。クリスマスの時期は、ケーキよりクッキーが主役。クリスマスクッキーは11月後半から街にあふれ、子供の工作イベントや、クリスマス前のミニプレゼントなど、いたるところで登場します。 クリスマスマーケットのクッキーを売る屋台 今日はそ

ザルツブルク方面の列車の発着駅、ウィーン西駅の今むかし

ウィーンからザルツブルクやザルツカンマーグート方面への旅にお勧めの、ウェストバーン鉄道が発着する主要駅、ウィーン西駅の歴史と今日の姿をご紹介します。 しかし第二次世界大戦で、その美しかった駅舎は破壊され、戦後新たに駅舎が建てられました。その後、2008年から2011年の間に大幅な改修工事が行われ、今の形になりました。 2013年には「オーストリアで最も美しい駅舎」を受賞するなど、改修後の駅舎の評判はよく、発着ホールが明るく近代的になっただけでなく、巨大なショッピングモール

レトロな雰囲気が地元民に人気!ウィーン大学キャンパス内のクリスマスマーケット

毎年ウィーン市内で開かれる様々なクリスマスマーケットをご紹介してきましたが、今回は観光客にあまり知られてない、地元民に人気のマーケットをご紹介します。 ウィーン大学は学科ごとに複数の建物に分散していますが、その中でも最も大きく人文系の学部が入っているのが、アルテス・AKH(旧総合病院)と呼ばれるキャンパスです。その名の通り元総合病院だった敷地を大学として使用していて、敷地内にはあの映画『アマデウス』の冒頭でサリエリが収容されていた精神病院とされる建物もあります。 外から見

季節のオーストリア料理とドナウの景色を一石二鳥で楽しめる「ツァ・アルテン・カイザーミューレ」

ウィーンで美味しいスペアリブを食べたくなったらここ!というレストランが、ドナウ沿いにあります。 地下鉄でウィーンの中心シュテファン広場から10分、駅からすぐの便利な立地ながら、目の前のドナウの景色も季節の味も楽しめる、一石二鳥なレストラン「ツァ・アルテン・カイザーミューレ」です。 ウィーンの人にとってドナウは4つあります。19世紀までドナウ河は氾濫を繰り返し、毎年流れが変わっていました。その流れを整備して三日月湖として本流から分断した部分が「アルテドナウ」(旧ドナウ)と呼

ウィーン人に人気のハイキングエリア、ラックス高原のロープウェイ

夏が近づき、山歩きが気持ちの良い時期になってきました。今回は「ウィーンの裏山」とも呼ばれ、ウィーンから車で1時間と便利な距離にある、「ラックス高原」をご紹介します。 シュネーベルク山と並んでウィーン人に人気のハイキングエリア、ラックス高原。アルプスと言うと近寄りがたい感じがしますが、ここではケーブルカーに乗ると、一気に標高1,500メートルまで連れて行ってくれます。山頂駅付近は高原になっていて、気軽な散策が楽しめる山です。 オーストリアで一番古いロープウェイの乗り場。

ウィーンのど真ん中で田舎気分を満喫!市庁舎前広場のシュタイヤーマルク祭り

毎年春になると、ウィーン市庁舎前では様々な無料野外祭りが開催されます。今日ご紹介するのは、そんな市庁舎前のお祭りの中でも特に雰囲気の良い、シュタイヤーマルク州祭り。 多くの人でぎわうウィーン市庁舎前広場 グラーツを首都とするシュタイヤーマルク州は、ウィーンからの気軽な旅行先として人気です。自然とフレンドリーさがウリのこの州が、州おこしイベントとしてウィーンで毎年開催しているのが、このお祭りです。広いウィーン市庁舎前広場が、緑と自然いっぱいになるこのお祭りは、町のど真ん中で

広大な敷地でたっぷり遊べる!ウィーンのオアシス、ドナウパークの魅力

前回の記事で、ウィーンで最も高い建物ドナウタワーをご紹介しましたが、今回はそんなドナウタワーが建つドナウパークをご紹介します。 桜並木が美しいドナウパーク ウィーン中心部から地下鉄で10分で来れてしまう、ウィーンのオアシスともいえるこのドナウパークは、市民の憩いの場として親しまれています。 国連都市やドナウ河、アルテドナウに挟まれ、元ドナウ河流域の湿地帯だったこの場所は、埋め立てられ、陸軍演習場、ゴミ捨て場などを経て、1964年のウィーン庭園博覧会で、巨大な公園としてオ