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「中庸の魅力」~~大田区・はすぬま温泉

伝統の良さがあれば,革新の良さがある。間をとった中庸の良さもある。
はすぬま温泉の魅力はそこにあるのかもしれない。

蒲田駅から東急池上線で一駅の「蓮沼駅」すぐ近く。ここらの駅の案内板には,銭湯の名がしっかり記載されている。東急電鉄,いい仕事していますねぇ。

でも,ボクは,街探検も趣味の一つなので,蒲田駅から徒歩で来てしまいました。煙突が見えてきました。

爽やかな夏景色

落ち着いた雰囲気の外観。

「温泉」の名に違わず,お湯の内容が充実していそう。

伝統の「わ板」が,しっかり掲げられているし

下駄箱の上には温泉の認定証が貼り出されています。

期待感がどんどん上がってきます。いざ入店。

ロビーを飾るステンドグラス。

(「東京銭湯」HPより)

他にもいろいろと,なんだか「はすぬま温泉」は美のかほりが漂う処

脱衣所もおしゃれ。

(「東京銭湯」HPより)

浴室へ。カランの数は18とやや小ぶり。
ビル乗っけサバイバル型なので,天井が高いとは言えないが,
狭さは感じない。これも採光の妙なのでしょう。

中央手前から奥に湯舟が配置され、両脇にカランが並ぶ形。ボクの目にはけっこう珍しい。湯舟は奥から三槽に分割されている。

一番奥が一番大きい「天然温泉」。黒いわけではなく透き通った茶褐色ですが,成分は黒湯です。真ん中が「炭酸風呂」。手前が水風呂。

湯温は天然温泉と炭酸風呂が40℃前後。水風呂が26℃前後。
入らなかったけれどサウナが80℃未満(この界隈では珍しく有料)。
全体的にぬる湯。

(「東京銭湯」HPより)

当然長湯になる。
まったりしながら,ぐるりと見渡すと,浴室も美にあふれている。

正面は一面のタイル絵。どこぞの深山幽谷をイメージしたものだが,
どかんとアップの構図なので重厚感がある。
入口側は日本アルプスの連山風。白雪が爽やか。

(「東京銭湯」HPより)

右手の窓側はステンドグラス。ここからの光の入り具合が良い。
そして左手,女湯との仕切りが板絵。これは珍しい。
5枚に分かれていて,奥から椿・蓮・紅葉・水仙・白梅?。

(「東京銭湯」HPより)植物の素養がゼロなので花の名前は違っているかも。

本当に「美しい」お店です。
ちなみに,「東京銭湯」HP掲載の写真は,いずれもボクが撮りたかったものばかり。いやぁツボを心得ていらっしゃる。

給水しながら,たっぷりまったりの1時間。
居心地の良い時間でした。
そうそう,入店時フロントで小さい木札を渡された。
何の札か言われなかったし,何だろうと思いつつ早く汗を流したかったので,スルーしていた。湯上りに返しながら伺ってみる。

すると女将さん
「あぁこれはね。整理札なの。今,人数制限しているから。
でも何人入ったかなんて,私覚えていられないから」と笑う。

な~るほど。
で,この木札なんですが,これもさりげなくカワイイ造りになっている💛

帰宅後に調べたら,
はすぬま温泉は2017年にリニューアルオープンしたばかり。
東京銭湯HPには「大正ロマンをコンセプトに,道後温泉を意識した内装になりました」と書かれていました。

「リニューアル銭湯」というと,多くの人が,あるタイプが頭に浮かぶと思う。ペンキ絵やタイル絵を排したスタイリッシュなデザイン。自然光よりも色とりどりの人工光に浮かぶ空間。いわゆる「デザイナー銭湯」。

それはそれで,ボクも好き。
でも,はすぬま温泉は,そうした方向とは違うリニューアルに踏み切った。伝統と現代の間をいく「中庸」。湯温のぬるさも何だか似合っている。

はすぬま温泉さん,ありがとうございます。いいお湯でした。

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