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さながら「街のプラットホーム」~~北区・十條湯

JR十条駅。かつての赤羽線,現在は埼京線が通る。生れてはじめて降りた。
ちょっとした用事を終えるともう午後2時。
十条銀座で腹ごしらえをして十條湯に向かう。
…はずが,満腹になりすぎた。
十条銀座から東十条銀座まで街探検。
『アド街ック天国東十条』ゆかりの店々をマーキングする。
十條湯の前に立ったのは午後4時。

おぉ,銭湯(ふろ)と喫茶店が並ぶ店構え。
これはただモノではない。

せまい玄関を入るとフロントに若女将がいた。

右手が銭湯で,左手フロントのすぐ脇に喫茶「深海」
コーヒーカップなどを背負ったカウンター,落とし気味の照明,濃茶の木造りの内装,そのすべてが調和している…往年のジャズ喫茶の雰囲気かな。
でもBGMはなく,カウンターの中には気難し気なマスターではなく,さっぱりした感じの若い女の子がいる。お客さんも若手が多い。
「お風呂を出た後の待ち合わせにもつかってください」と若女将が笑顔で。

男性だけロッカーキーが渡されるおもしろいしくみ。
さて,脱衣所へ。格天井と床板に年季を感じる。
特徴は入って左手,2階へ上がる階段。「サウナ専用休憩室」へ続く。
そう玄関にも「サウナ 十條湯」とあった。
ここは相当のサウナ推しだなぁ(ケロリン桶にも「サウナ」の文字あり)。湯上りに2階で寛ぐというのは,江戸の湯屋と同じ仕組み。
ちょっと上がって見たくなる。

浴室へ。壁面いっぱいタイル絵が目に飛び込む。

「東京銭湯マップ」より

日輪へ向かって翼を広げる2羽の鶴。向かって右がオスで左がメスか。
なかなかお目にかかれない絵柄と構図でおめでたいし,気分が晴れる。
これはいいなぁ。
まだ新しい感じもする。
一緒に来た奥さんによると女湯は「お魚」だそうです。

(「東京銭湯マップ」より)

カランの数は21と中規模。
だけどビル銭でないので天井が高い。
東京銭湯に多い浅葱色の壁や,タイル絵の絵柄もあわさり開放感たっぷり。

湯舟は,正面向かって右から「あつ湯」(ジェットバス1基),「ぬる湯」(ジェットバス3基),左手奥から水風呂立ちシャワー(鏡がついているのは珍しい),一番入口側にサウナ

「ぬる湯」は体感40℃,「あつ湯」は42℃,帰宅してから読んだブログにはかなり熱いとあったけれど,体感の違いか昨今の燃料高騰の影響かは分からない。

ジェットバスはやわらかめ,ぬる湯側は浅いので座風呂のようにすると腰,ふくらはぎ,足裏の3点刺激,足を延ばして湯に沈めば肩甲骨,あごまで浸かれば肩口をほぐしてくれる。
水風呂は20℃前後,地下水をくみ上げていると張り紙あり。

そうそうこの十條湯,ポイントは掲示物の多さ
水風呂には「日曜日朝風呂 8時~12時 午後は15時~」,さらには曜日ごとのサウナの種類「月はミントサウナ」「火・木は森林浴」「水はヴィヒタサウナ」の案内が貼られている(男湯は脱衣所に入ってすぐ左上に「森林浴発生装置」を発見!)。

あつ湯の背には,喫茶深海の看板メニューが写真入りで紹介されている。
そういえば浴室の入口にTシャツが3枚,喫茶深海」柄,「十條湯」柄,
3900円也がぶらさがっていた。
楽しいけれど,ぐいぐい来るねぇと苦笑

だがしかし,です。
十條湯さんはただの宣伝強め銭湯ではなかった。
あつ湯の背にはさらに「喫茶店巡りの記事」あり。
書いたのは若女将かカウンターのた女の子か。
自分の店のことじゃなく,全国の推し喫茶が書かれている。
近眼のボクはロッカーからメガネをとってきて読んでしまう。

さらに,洗い場に座るとこれまたビックリ。
鏡1枚おきに広告が貼られている。
讃岐うどん,喫茶店,レストラン…
えっ「俳優」「イラスト。仕事募集」,これはレアだなぁ。

がんばってね若者。
そういえば年末に訪湯した熱海駅前温泉や廃業前に思い出湯した銭湯のいくつかにもホーロー看板が脱衣所や浴室に張られていた。
十條湯,おもしろい💛

風呂上りの奥さんも「ここおもしろい💛」
「おばあさんたちが背中の流しっこしているの,それも3組も。こんなの初めて見た」

ふ~~む。
十條湯のおもしろさ,
それは銭湯を舞台にさまざまな人たちをつなぐおもしろさなのかもしれない。さながら「街のプラットフォーム」

あっそうか,お江戸の昔から,銭湯ってそんな場だったのかもしれない。
一風変わった感じの十條湯の佇まいは,実は銭湯がもつ本来の姿なのかも。

十條湯さん,ありがとうございます。いいお湯でした。

次回は,入浴前に深海ゼリー,湯上りにビール,
喫茶深海を満喫させていただきますね。


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