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大雪山を望む~~新宿余丁町・弁天湯

ある冬の初め「大雪山系旭岳,今季初冠雪」―― 

こんなニュースを聞いて,すぐに銭湯が頭に浮かぶボクは何者。
ところは,新宿余丁町の弁天湯
ここのペンキ絵は特徴があります。

(「弁天湯」ホームページ

浴槽上部に広がるは「大雪山系旭岳と池に映る逆さ旭岳」
これは珍しい!「大雪山」は都内唯一では?
しかも,標高や池の名前まで書き込んである念の入れ方。
ご主人がご当地出身だったのでしょうか?
 
旭岳の向かって左には雷神,右には風神がおわします。

(「弁天湯」ホームページより)

ちなみに,弁天湯は男女が奇数偶数日で入れ替わり。
偶数日はフロント向かって右が奇数日は左が男湯です。

弁天湯のペンキ絵は浴室入口側にも描かれています。
そして,こちらもマニアの間では秘かに有名(変な日本語だ・・・)。
偶数日には富久さくら公園,奇数日には西向天神と,
地元の景色が描かれている。


富久さくら公演(「弁天湯」ホームページより)
西向天神(「弁天湯」ホームページより)

地元の風景が描かれている銭湯,ボクはここしか知りません。
皆さんはどうですか?
他にもこんなペンキをご覧になったことがあったらぜひ教えてください。  

弁天湯の特長はまだまだあります。
(その1)煙突が立派。

字体がまたすばらしい

新宿区内でこんなにド~~ンとぶっとく,上から下まで全身を拝める煙突は珍しい。 

(その2)浴槽が充実。
カランの数は22と中規模。
その割に洗い場が狭く感じるが,仕方がないんです。
弁天湯は「浴槽が豊富かつ広い」。
薬湯,水風呂に大浴槽。ジャグジー系がたくさん(電気風呂がないのは嬉しい)。露天岩風呂もいい。岩は本格。
広くはないけれど,空は都会らしく四角く抜けている。
湯船の底に腰掛ける平たい石が置かれていて,客同士の距離感を保つ配慮がいい。
風呂の周りが岩むき出しではなく竹(プラスチック製)で覆ってある。
身をもたれるときの肌,ゆったり感への配慮がいい。
いずれも細やかでお見事です。

 湯温はすべて40度程度のぬる風呂。水風呂も21,2度でこちらもぬるめ。
長風呂にはぴったり。
これら浴槽の全部を合わせると「カランの数を超える人数が湯に浸かれる」くらいの広さ。このサイズは23区内ではかなり珍しい。

(その3)「サウナ」そして「オスマン浴」がある。
向かって右の浴室に「サウナ」,左に「オスマン浴」。
「オスマン浴」?ボクはまだ入ったことがないけれど,その名はここでしかお目にかかったことがない。一度は入るべきか否か思案中。
 というわけで,弁天湯は,左右両方の浴室を楽しむことをおすすめします。
いや,楽しまねばもったいない銭湯です。
 
最後に,ある夏の終わりのちょびっと心温まるお話を。
弁天湯の薬湯に先客あり。5歳くらいの子どもとお父さん。
お父さんが親しげに声をかけてきたので,しばし言葉を交わす。
どうもここは初めての様子。
風呂上りに暖簾をくぐって出ようとしたら,同じ年頃の父子が入店。
息子「ここ来たことあるの?」父「う~~ん,多分ね」。
おやおや,こちらも初見参か。二組も珍しいなぁ・・・
 
ふと,壁の貼り紙に目が留まる。
「早稲田鶴巻町,山吹町の皆さん,本日は無料です」

ガス管トラブルで地域全体でガスが供給されない事態に。
家の風呂が沸かせない。この夏場にそれは困るでしょう。
そこで,弁天湯が?新宿浴場組合?東京ガス?新宿区?が,
どなた様かわかりませんが,どなた様かが立ち上がった。
銭湯無料とは,これまた太っ腹。
粋な計らいじゃあありませんか。
 
弁天湯さん,ありがとうございます。いいお湯でした。
 
「困った時の銭湯頼み」。
どことなく人情を感じる貼り紙に,
身体ばかりじゃなくて心までポカポカになりました。

「弁天湯」ホームページはこちらからどうぞ。
https://bentenyu.jimdofree.com/
 

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