「2割8割の法則」
社会科の授業で話したことを載せます。
●働き者はいつも2割
ある科学者が,アリの生態を研究しました。
その結果,どのアリの集団にも〈働きアリ〉がいるが,〈働きアリ〉はどの集団でも全体の2割ほどしかいない,ということを発見しました。
100匹のアリの集団があれば,〈働きアリ〉は20匹いる,〈そうでないアリ〉は80匹いる(60匹はあまり働かない,20匹はまるで働かない)という法則性があるというのです。
その科学者はさらに,〈働きアリばかりを集めた集団〉と〈そうでないアリばかりを集めた集団〉を,わざと作りました。
そうしたら,驚きべきことが起こりました。
前者の集団では8割のアリが働きものではなくなり,後者の集団では2割のアリが働きものになってしまったのです。
この研究をしたのは,長谷川英祐さん(北海道大学勤務)です。
そして,この2割8割という数字が,19世紀の経済学者パレートが発見した「会社で働く2割の人が,会社の利益の8割を稼いでいる」などの法則と似ているので注目を浴びるようになったのです。
「会議では,2割の人の発言で8割の決定が下される」なんて法則性には「あるある」なんて,思わずにやりとさせられます。(ただし,どれだけ科学的正当性があるかについては議論が分かれているようです)
●1組の働き者は?
さて,この話を教室でした時に,「このクラスの人も,2割は働き者,8割の人はそうじゃないなんてことになるのかもね」なんて,付け加えてみたら,さっそく,「そんなことはない」といった声が上がりました。
ほ~お,なかなか頼もしいではないかと思ったのですが,さて,それから10日余り。クラスの現状はどうでしょう。
あなたは,どう思いますか。
―― 給食当番(〇〇班,〇〇班)は初日から給食開始のチャイムに間に合って配膳ができました。
教室・廊下,ボクが監督する清掃当番(〇〇班,〇〇班,〇〇班)もテキパキと自分の分担をこなしています。
昨日の平和学習では,学習チーム(〇〇さん,〇〇さん,〇〇さん,〇〇さん)や,〇〇さん(食事レク係クラス代表),班長たちが次々と前に立ち活躍。時間が少し余ったら〇〇さんや多くの人が黙々と鶴を折っていました。そして放課後,広報儀式チームが鶴に糸を通し続けています。〇〇さんは毎日ノートにクラスの記録を書いてボクに見せてくれています。
ここには書ききれないくらい,ボクには見えていない所でも,毎日多くの人が働いてくれているはずです。一人ひとりが,自分にやることがあることを張り合いにして,毎日を過ごしているようにも見えます。
―― 「2割8割の法則」は,1組には通用しない!
そう思えてしまうほど,今の1組はステキな集団です。
―― 以上です。
これは中学3年生向けに発行した学級通信ですが,どの学年でも,小学生にも通用する内容だと思います。ちなみに,こうした通信を出すのは「ほめる」時に限ります。けっして「叱咤」するためには出しません。ボクは基本的に,学級通信は「ほめる」ために出していました。「ほめる・叱る」の話はいずれ書きますが,まぁボク自身が「ほめられて伸びる」タイプですから(笑)なお,文中に「平和学習」「折り鶴」などが書かれているのは,当時の勤務校の修学旅行先が広島だったからです。修学旅行で子どもたちが多くのことを学んできましたが,そのことをまとめた学級通信もいずれ紹介したいと思います。