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「届かない手紙」コンテスト結果発表! (大賞)

大賞(ナガサワ文具センター賞)

『中学生の私へ』

 勝谷 こころ さん 学校教育学部1年



中学生の私へ
18歳の私です。突然のお手紙ごめんね。びっくりしたよね笑。
今日は何をしたの? ララの散歩に行った? 神社までランニングした日かな。15時まで寝た日かもしれない笑。時計みた瞬間焦るよな笑。
今さ、大学の宿題で“届かない手紙コンテスト”っていうのに応募しないといけんくて、絶対に届かへんって分かっとる相手に手紙を書くんよ。
周りの子は亡くなった親せきとか、ペットに書く子も多かったかな。
まあそんな感じなんやけど、私は誰に書こうってめっちゃ悩んだんやけど、やっぱりあの頃の自分しか思いつかんくて、大それたこと言うつもりはないけど、まあ少しだけ話きいてよ。
毎日朝起きてさ、家族が出かける準備しとる音とか、女子高生が楽しそうに話しながら登校する声とか、そういうの聞くだけでもう疲れるよな。
それから、皆が出ていって、やっと1人になれる時間!って思っても学校から電話きてさ、“ちょっとだけでもいいから学校きなよ。将来困るよ。皆待ってるよ”の言葉にヘラヘラ笑うしかなくてさ、ほんましんどいよな。
周りに迷惑かけとる自分が嫌で嫌で仕方ないよな。周りの人の優しさも厳しさも、もう聞きたくないよな。もう死んじゃいたいよな。
毎日怒られるしさ、お母さんには無視されるし、お父さんには汚い気持ち悪いっていわれるし、自分なんかいらんって思っちゃうよなそりゃ。
何も間違ってへんよ。気持ちに間違いなんかないんよ。
もう死のうと思ってさ、遺書まで書いて、窓ぎわに足かけて、それでも勇気がでんくて飛びおりるのやめて。そんな自分がまた嫌いになって。
生きてんの辛いよな、苦しいよな。でもな、酷いこと言ってるかもしれんけど、ほんまに生きとってくれてありがとう。あの時、思いとどまってくれてありがとう。あんたのおかげで私今生きててよかったって思えとるよ。
あんまり全部言っちゃうとさ、今後の楽しみも苦労もなくなっちゃうから
全部は言わんけどさ、あんたのおかげで私めちゃくちゃ充実しとんよ。
先生になろうと思って。中学校の先生。せっかく不登校っていう貴重な経験
持っとるからさ、それを武器に、誰か一人だけでもいいから救えたらいいなと思って。そのために受験勉強めっちゃがんばって、ちゃんと教員免許とれる学校入ったんよ。まだまだ道のりは長いけどね。がんばるよ。
あんたのがんばり、絶体無駄にせんから。未来の私が約束したる。
最後に一つだけ。“何も頑張れてない”って思うかもしれんけど、あんたはめっちゃくちゃ頑張っとんよ。私が言うから間違いないわ笑。だから、今よりちょっとだけ自信持ちな!
14回目の誕生日に死のうとした私へ。誕生日おめでとう。
この宿題の期限は、明日の5月31日なんよ。無事19回目の誕生日迎えれそうやわ。たのしみや。
数時間後に19才になる私より


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