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空飛ぶクルマ3月の注目ニュース深掘り

マンスリー「空飛ぶクルマNews」の着目点から業界同行を深掘りします。

空飛ぶクルマに関しては機体に関するニュースが目立ちますが、実用化に向けて注目すべきは「バーティポート」と呼ばれる離着陸ポートの存在です。

個人所有のAAMというのは少し先になると想定すると、公共スペースとしてどんな場所がポートになり、どのような搭乗ニーズに応えるのかが気になるところ。

そこで着目したのがこのニュース。

4.ANA、イオンモールと連携して空飛ぶクルマの離着陸ポートを設置へ(3/18)

空飛ぶクルマの運用に欠かせない離着陸ポート(バーティポート)。これまで都市部のビルなどを想定して開発が進んでいましたが、皆さんのより身近な場所でも、空飛ぶクルマに乗降できるようになるかもしれません。

https://www.anahd.co.jp/group/pr/202403/20240315-4.html

ショッピングセンター屋上エリアにバーティポートが設置されるという未来から考えられるのは、マイカーなどと連携したMAASの仕組みでしょう。

サービスとしての移動産業を意味する「MAAS:Mobility as a Service」は様々な公共交通機関をICT(情報通信技術)を活用してシームレスに結びつけ、複数の交通手段による移動を1つのサービスとして捉える概念です。

日本における旬の話題でいうとライドシェアのモデルも密接に絡んできそうです。
郊外に暮らす人々が地元のショッピングセンターを中継地にライドシェア型の空飛ぶクルマサービスを利用すれば都市圏の交通渋滞の緩和と移動時間の短縮が可能になりますが、UBERが2017年に発表した話題となった以下のイメージ動画で描かれていた世界観そのままといえます。

Uber Elevate - Uber's vision for urban air mobility

世界各国のバーティポート計画

では各国における離発着場整備計画がどのように動いているかAIに質問したところ、以下のような情報を得ました。

●英国
バーティポート開発企業Urban-Air Portは、2028年までに英国全域に200以上のポートを建設する計画。

【NEWS】

●フランス
2024年までにパリ・シャルルドゴール空港にバーティポートを建設する計画。
開催がせまった今年のパリオリンピックにおけるタクシーサービス開始のニュースはよく聞きますが、2021年にはこんな記事が出ていました。

●ドイツ
Lilium社は2021年の段階で米国フロリダに10か所以上のバーティポート(eVTOL用の離発着ターミナル)を開発すると発表していました。

●米国
最近にニュースでは、Joby Aviationはドバイの道路交通庁(RTA)と2026年初頭までにエアタクシーサービスを開始する最終契約を締結、

ANAはJoby陣営ですから、冒頭のイオンモール連携ビジネスに繋がる事業と考えることができます。
記事内に以下の記述がありますので注目しましょう。

今日の画期的な合意は、エアタクシー・サービスを成功させるために必要な3つの要素、すなわち、運行への明確な道筋、献身的なパートナーに支えられた整ったインフラ、有意義な旅を提供する能力と航続距離を備えた航空機のすべてを実現するものです。
早ければ2025年に、ドバイの住民と観光客に素晴らしい体験を提供できることを楽しみにしており、アラブ首長国連邦全体にサービスを拡大するための基礎固めができることに興奮している。

国土交通省のバーティポート整備指針

各国で公開されるニュースを見ると、日本はやや遅れている感がありますが、バーティポートに関しては昨年の令和5年12月に国交相が「バーティポート整備指針」なる文書を公開しています。

https://www.mlit.go.jp/koku/content/001711020.pdf

70ページ強に及ぶ専門的な資料ですが、ここまで具体的な指針が決定していることは、なかなか表に出ていませんので、是非ご一読いただきたいところです。

バーティポートの整備なくして空飛ぶクルマサービスの実用化があり得ないのは間違いのない事実です。
HAAMではこの分野の最新ニュースも追いかけていきます。

HYOGO空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。スタートした2024年度も大学生と高校生向け探究プログラムを推進します。


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