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「クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-」あとがき

はじめに

こちらはフリーゲーム「クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-」のネタバレ有り後書きです。
初めての方はプレイ後に読むことを推奨します。



「クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-」(死神FD)をプレイしていただきありがとうございます。
前作と比べると敷居が高い作品になると思っていたので、一人にプレイしていただけるだけでめちゃくちゃ喜んでいます。

今作は制作に1年以上かかりました(前作は約4ヶ月)。
続編はメインキャラや世界観の設定も定まっているので個人的には書きやすい部類だと思っているのですが、まさかシナリオに1年かかるとは思いませんでした。(同じ続編で文字数も近い「ヘブンズ・ロワイヤル -Frozen Butterfly-」はシナリオ初稿で3か月ぐらいだったと記憶しています)
そして前作の2倍以上という、続編とは思えないボリュームになってしまいました。
新キャラのヴィンス、マルセル、オリーブを出して画面が賑やかになった反面、前作より洋画っぽさは減った気がします。

タイトル

レオと殺し屋の対決を書くというのは初期から決めていたので、当初のタイトルは「死神と紺碧の処刑人」でした。
ただ続編なのでやっぱり「クリムゾンレッド」は入れるべきだと思い、この長いタイトルになりました。
個人的に好きな単語でもある「Instinct」=本能は使おうと決めていました。
(「Instinct」は豹牙が昔から好きな某アーティストのアルバム名になっていまして、いつか使おうと思っていました)
サブタイトル「KILLER INSTINCT」は最初「Battle Instinct」と「Fighting Instinct」で迷ったんですが、この二つはバトルだけの内容に見えるのでボツ。
最初は処刑人が薬漬けとか考えていませんでしたし、ドラッグの名前も決まっていませんでした。
終盤のマルセル戦でレオが気を失ったシーンで「コイツと同じ本能」と出てきていましたが、実はそこから取っています。
この戦闘狂自覚シーンだけは作業序盤からもう考えてありました。
KILLER INSTINCTは、私なりにレオの死神としての部分を英語で表したものです。
そして後半ドラッグの名前で迷った時にこのサブタイトル「KILLER INSTINCT」を使うことにしました。

タイトル画面

前作にはなかった動画演出を取り入れました。(スマホだとタイトル画面の動画は再生されない仕様になっています)
クリア後BGMが変わるのも今回で初めて取り入れました。
サムネは一番よく見ることになる絵だと思っていたので、普段より時間をかけて描いた記憶があります。
元々マグショット風の絵にする予定でしたが、捕まったわけではないのにサムネ詐欺では?と思えてきたのと、マグショットは「地下監獄ESCAPE」で一回やっていたのでボツにしました。
その後、後半の集団戦を意識してレオに大量の武器を突きつけるのも案としてありましたが、ごちゃごちゃしたのと集団戦がメインではないのでやめました。
でも刃物ではない鉄パイプを突きつけても命を狙われているようには見えなかったので、大鎌の影にしました。
これは鎌=死神のイメージがあったので、ニセ死神が現れることと、仮に本物の死神に命を狙われても余裕そうに見せたかったのもありますね。
マルセルのセリフ「死神の鎌を突きつけられる気分はどうだ?」はその時に浮かびました。
キャロルがいないので恋愛要素は皆無なサムネになりましたが、そこは前作で担ってもらう感じで…。

ロゴはサブタイトルを除けば前作から変えていませんが、前作の時に語らなかったのでここで語ります。
タイトルロゴのモチーフは、物騒さが伝わるように破壊と血にしました。
こちらも恋愛要素は一切ありません。
「クリムゾンレッド」は怪力キャラらしくヒビと、キャロルの色を少し取り入れて、「死神」は返り血と刃物という感じです。
「ッ」の部分に血が滴っているんですが、これは私服キャロルのネックレスにもなっていたりします。
続編のロゴはヘブンズ無印と続編のようにがらりと色を変えるのも考えましたが、この作品はタイトルにレッドが入っている以上赤は変えるべきではないと思いました。
代わりに、サブタイトルに青色のグラデーションを入れました。これはもちろん紺碧色です。

舞台

前作はマグゼラのみでしたが、今作は新しく隣町の「ラムツェル」を登場させました。
マグゼラはサラマンダの印象が強く、前作とは違う雰囲気を出したかったからですね。
それもあって移動が多く、背景素材探しにはめちゃくちゃ苦戦しました。
マグゼラの海は日本ですし(笑)
前作はレオの家での会話シーンが大半だったので…
実は「マグゼラ」も「ラムツェル」も昔書いていた小説に出てくる地名なのですが、特に関係はありません。

BGM

語りたいことが多いので、別記事を書きました。
今作は自作の中でも特にBGMに関する感想が多く、それだけ印象に残っていただけたのかなと思います。
私が作ったわけではないですが、選曲には好みをいっぱい詰め込みました。

キャラと関連シーンの雑談

キャロル・リーパー
主人公ですが戦えないので、前作より影が薄くならないか気を配りました。
前作はレオと結ばれる過程があったので空気にはならなかったのですが、今回は既に結ばれた状態なので…
逆にレオはどうあがいても目立って主人公化するので、キャロルはレオ(非戦闘時)との会話やヴィンス関連で存在感を出しました。
あと今作で初めて彼女の私服姿を出せたのが個人的にも嬉しかったです。
私服はツインテールの時より大人っぽく見えるよう意識しました。

シナリオで苦戦したのは、キャロルがさらわれてから先で迷ったのが大きいです。
当初のプロットだとキャロルはすぐ救出されて、その後恋愛シーンを入れて、レオが単独でアジトに乗り込む(集団戦→マルセル戦までノンストップ)でした。
キャロルはアジトについていかず、店で残ってハーヴィーやロキと会話させる→ロキがオリーブの元に向かってとどめを刺すのを想定していました。
ただマルセル戦でキャロルがいないと本当に空気化してしまうので、戦闘の邪魔はしないようにその場に置くことにしました。
その変更でロキの立ち回りも大きく変わりました。

今作で個人的に気に入っているキャロルのセリフは「私は死神を好きになった時点で、地獄に落ちる覚悟はできてるのよ」です。
この作品や、キャロルの生き方を象徴するセリフでもあるような気がします。
あとは最後の戦闘の前に入れた恋愛シーンですね。
さらわれた後にもスチル無しのキスシーンがありますし、エピローグに入れるのも考えたんですが、戦闘直前の不安と緊張感が欲しかったのでここに入れました。
ここは過去最大級の糖度をR15で収まるように入れました。
キャロルは前作からずっと「レオ」としか呼んでいないのですが、ここは唯一「レオナルド」と呼ぶシーンでもありますね。

レオナルド・クランツ
前作は戦闘シーンをキャロル(第三者)視点で書いていたので、今作は彼の視点から書くようにしました。
そのため今作では戦闘中に彼が考えていることや、隠れ戦闘狂な部分などを描写できたのが楽しかったですね。
終盤一瞬しか表示しなかった戦闘狂顔(「意識がブッ飛ぶまで~」の時の表情)や、集団戦は個人的にも気に入っているシーンの一つです。
あとレオ本人が気づいていないのでシナリオでも言及していませんが、集団戦での「たまにギャングよりしぶとい奴がいる」=ドラッグを使った人間です。
実はドラッグ(殺人本能)を使った人間はマルセル以外にもいたのですが、マルセル程は適合しておらず、アジトでほぼ倒されています。
彼は前作以上に人間扱いされていないようなセリフが増えましたが、扉を投げたりと本当に人間をやめたシーンが多くなりました。
あと前作よりキャロルに対する言動が穏やかになっていたり、彼視点の話が増えたり、照れ顔を追加したりスチルの表情が豊かになりました。

ラムツェルで挟んだ彼の過去回想ですが、最初はもっと長いものでした。
初期は家庭の描写がかなり生々しく、少しだけ学校に行っていた描写もありました。
これは背景素材の用意が難しかったことと、シナリオ上余計なシーンが多く伏線のように見えるのでカットしました。

マルセルのスチルを最後に描くまでスチル皆勤賞だった彼ですが、個人的に気に入ってるのは戦闘前に髪を下ろすスチルですね。
ここの表情は好みを詰め込みましたので好評で嬉しいです。
髪を下ろすのとパンケーキを食べるのは前作でも似たようなシーンがあったのですが、前作にはスチルがなかったので入れようと決めていました。
元々かなり引きの構図だったのですが、マルセルのスチルと対にするためにアップにトリミングして大きく傾けました。
逆に嫉妬と添い寝のスチルは当初入れる予定はなかったんですが、嫉妬は宣伝用に使いたかったのと(キスシーンはできるだけ未公開で1枚残しておきたいので2枚用意した)、添い寝は立ち絵で表現したくなかったので。
スチルを描いた順番は、嫉妬→添い寝→パンケーキ→髪解き→ハグ→海辺→キス→ラスト→マルセル とかなりバラバラです。
それもあって添い寝スチルを描いた半年後にそのシーンを組み込むことになり、修正したくなったりしました。
おそらく気づく人がいないと思うのでここで白状すると、レオの首筋と胸元にさりげなく入れた赤い痕は傷ではなく…。

ハーヴィー・カーマイン
前作より保護者感が増したと思います。
レオにクラブハウスサンドを奢るシーンが気に入っていますね。
元ギャングだけあって裏社会には詳しいので、シナリオ的にもハーヴィーの設定には助けられました。
オリーブと会話させるか迷いましたが、レオやヴィンスたちに加えてハーヴィーまで加わると戦闘前の会話が長引いてテンポが悪くなるのでやめました。
あと印象に残りそうなのは彼の拷問シーンですが、これは物騒すぎてボツになったセリフがたくさんあります。
ハーヴィーはシナリオ上戦闘シーンを入れられないので、どこかで怒らせたら怖いシーンを入れたかった結果です。
おそらくレオが一番敵に回したくない人だと思います。
ロキ程ではないのですがケンカはそれなりにできるキャラなので、いつか戦ってほしいですね。
キャロルが危険な目に遭いそうな時はレオが傍にいるので、ハーヴィーが戦うことはほとんどなさそうですが…
あと個人的なこだわりですが、ハーヴィーのセリフはレオに対しては「馬鹿野郎」、キャロルに対しては「ばかやろう」と使い分けています。

ロキ・ドレイク
彼を終盤で登場させることは最初から決めていました。
当初はオリーブにとどめを刺すのは彼にやってもらうつもりでした。(初期シナリオはマルセルがいなかったので)
ただロキが急に現れてもオリーブを殺す理由としては少し薄いと思いました。
彼はオリーブから買ったクスリで戦ったわけですし、ヴィンスとも無関係で、負けてからオリーブを殺すのは情けなくなってしまうと思いボツにしました。
結果的にレオとは会話させずに落とし前をつけるという役割になりました。
前作で彼を好きになっていただいたというご感想も結構あったので、これでいいのかは最後まで迷いました。
ロキとマルセルの会話は結構気に入っています。

ヴィンス・ランチェスタ
一番設定が変わったキャラです。
というのも、初期はヴィンスが紺碧の処刑人でしたし、マルセルは存在しませんでした。
髪色が紺碧色なのは既に決まっていて立ち絵もできていたので、同じ紺碧色として兄マルセルを作りました。
マルセルが初期から存在していたらヴィンスは女性キャラになっていたかもしれません。
ただヴィンスを女性にすると処刑人=ヴィンスでは?というミスリードやレオの嫉妬がなくなりそうですね。

ヴィンスといえば、キャロルを人質にした後のシナリオが浮かばず2ヶ月ぐらい詰まり苦しんだ記憶が強いです。
「刑事のフリをしてレオに致命傷を負わせる」、「自ら処刑人を名乗る」などいろいろな案がありました。
あと非戦闘キャラなのにやたら殴られたりメガネが割れるシーンが多いです。
眼鏡を取った差分は1種類のみで、しかも一瞬しか表示されないので、レオの戦闘狂顔と同じぐらいレアです。
今作の中では目が大きく悪人顔ではないキャラなので、キャロルと二人で会話しているシーンをスクショするとメイン攻略対象に見えてしまったりしました。
FDからの新キャラでは唯一の生存者なので、店でクリームばかり食べてキャロルに怒られていてほしいなという気持ちがあります(笑)

マルセル・ランチェスタ / 紺碧の処刑人
上でも書いていますが、シナリオ途中までは存在しなかったキャラでした。
そのためキャラデザを急遽考えたものの、ポット出感がすごくてキャラデザも中々決まらず、設定も定まりませんでした。
「病気で動けなかった兄がドラッグで動けるようになる」や「処刑人がマルセルを含めた複数いる」などいろいろ案が浮かんで、登場した時に一番驚くのが「死亡したはずの兄が現れる」かな?と決めました。
キャラデザはかなり迷走しましたが、最終的にヴィンスに少し寄せつつ目にクマを入れたり好みを詰め込みました。
タトゥーなど見るからに悪そうなロキとは対照的に、服装はシンプルでカジュアル寄りですが、少しアングラ感も欲しかったので裾をボロボロにしました。(ウインドウでほぼ見えませんが)
髪も服も紺碧ですが、過去に死神に憧れていたので、それを少し匂わせるのに裏地にクリムゾンレッドを使っています。
キャラデザで好みを詰め込むことで彼の過去が浮かび、愛着も沸いた記憶があります。
名前の由来は昔実在した処刑人から。
表情は目を見開いていたり少し狂気を感じさせるようなものが多いですが、真顔と口を閉じた笑顔はヴィンスと似せています。
シナリオが想定の数倍長くなった理由の大半が「マルセルの呪い」を序盤から出したりヴィンスに兄の話をさせたり、回想を入れたからですね。
急に出てきた影の薄いラスボスになってしまうのは避けたかったので。
鉄パイプは構想初期レオに持たせる予定でしたが、レオが素手になったのと、ロキがナイフだったので違う武器を持たせたいという理由でマルセルに持たせました。

マルセルは最後まで生存させるか迷いました。
ただ寿命を削っている分、仮に生存しても療養→近いうちに亡くなっていたと思います。
もし彼が何ともなく生存してもロキがドラッグを使った意味も薄れますし、あの散り方が一番彼を引き立てられるかなと思いました。

オリーブ / オリバ・ローズ
豹牙の悪役あるある、ピンク髪です。
目と襟・ベルトは名前の通りオリーブ色にしました。
彼(彼女?)がラスボスになるのではと疑った、という感想はテスト時からいただいていました。
オリーブ戦がない理由として、これ以上戦闘シーンを入れるとダレると思ったのと、オリーブが処刑人や大量の殺し屋を雇っているのは自身では戦えないからですね。
自分から危険な目に遭わず指示するだけ、ロキと比べて同情できない悪役にしたかったのもあります。
オリーブのマルセルに対する言動は少しパワハラ上司感ありますね(笑)

オリーブの過去は本人も詳しく語りたがらず、レオにも嘘をついています。
ただ整形を繰り返したことと、レオとの会話とマルセルの回想両方に出てきた「貧乏だ、汚いと罵ってきたクソガキどもを見返す」は嘘ではないです。
他にも細かい設定がありますが、ゲーム中ではほぼ明かされないのでいつか供養したい気持ちがあります。
立ち絵は女性?と疑われるようガタイ良く描いたのですが、気づいていただけて嬉しかったです。

マルセルを追加したことで、オリーブは少し影が薄くなるのが懸念されました。
それと最後までレオとの会話がほとんどないことが気になり、レオの帰省イベントにオリーブを介入させ、喫茶店「エライオン」での会話を追加しました。(そしてまたシナリオが長くなった)
このシーンはレオが屈強なマスターを気にしているだけなんですが、オリーブが毒を警戒していると勘違いしていたりと、結構シュールで気に入っています。
オリーブがエライオンで話していた「借金まみれでお酒に逃げた子」はマルセルのことです。
「エライオン」はギリシャ語で「オリーブオイル」です。

いただいたイラスト

今回は自分がシナリオ担当しているサークル「わらび餅ぴざ茶」のメンバー二人にテストプレイをお願いしました。
本編もそうだったのでクレジットで気づいた方もいるかもしれません。
イラストをいただいたのでこちらに貼っておきます。
今作は私服キャロルと海の印象が強いのかも?と思いました(笑)

(イラスト:夕涼)
(イラスト:黒乃)

最後に

今作はとても愛着が強い作品になったと思います。
そしてOP動画の制作やグッズの制作販売、スマホアプリとしてのリリースなど、今までやってことなかったことに挑戦した作品でもあります。
未だに新作を書く気力が沸かず、この作品の過去編を書きたい気持ちのほうが大きいという状態です。

OP動画(ゲームには収録していません)↓

あと挑戦したいのは、この作品を小説化して文庫本にすることです。
昔小説を書いていた人間として文庫本制作がずっと夢だったことと、キャラの過去など書きたい部分があるので小説に収録できたらいいなと考えています。
過去編を小説にしようと思った理由は暴力表現が本編より増えるので、ゲームだとR18になる可能性が高いからです。
何もかも未定ですが、もし完成した時はよろしくお願いします。

また、サークルのほうで3年前から制作していた「イモータル・ブレイブ」が来年リリース予定です。
豹牙はシナリオを担当していますので、よかったらよろしくお願いします!
ではでは!

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