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「クリムゾンレッドの死神」あとがき

こちらはフリーノベルゲーム「クリムゾンレッドの死神」の後書きです。
(URL:https://novelgame.jp/games/show/6543
ネタバレ満載なのでクリア後に見るのを推奨します。


はじめに

「クリムゾンレッドの死神」をプレイしていただきありがとうございます。
好み全振りな作品でしたが、楽しんでいただけたのなら嬉しいです。

なぜこの話が浮かんだのかというと、まず豹牙はアメリカンダイナーの雰囲気が大好物です。
同時に、乙女ゲームの好みもフリーには少ない物騒なものばかりでした。
なので現在サークル「わらび餅ぴざ茶」で制作しているファンタジーノベル(イモータル・ブレイブ、略してイモブレ)のシナリオを書きながら、いつかダイナーを題材にした物騒な乙女ゲームを書きたいと考えていました。
結局書いていたらダイナーはちょっとでてくるだけでスラムの方が関わってしまいましたが…(笑)

サークルメンバーの多忙につき、イモブレが2022年に完成しない&豹牙が比較的暇になるのは2021年時点で分かっていました。
なので、イモブレのシナリオを終わらせたら物騒な乙女ゲームを短編で出そうと決めました。
無論これをサークルでやっている暇はないので、約5年ぶりに自分で立ち絵・スチルを描くことにしました。
そうしてイモブレのシナリオが2021年11月に終わったので、12月に死神を作り始め、即告知しました。
タイトル画面しかない状態で告知して、その後大幅にシナリオを変更したので今思えば1月まで待っても良かったなと思います。

自分の絵になったことでクオリティが落ちるのは分かっていたので、逆にサークル作品の綺麗さとは違う、男キャラ多め+大人で危険な臭いが漂う、ハードな雰囲気を全面に押し出そうと思いました。
最終的に乙女ゲームというよりはアクション寄りなジャンルになったと思います。

タイトル

カーマイン・ラットはメニューしかダイナーっぽさがありませんが、最初はタイトルも「ダイナー」を入れるつもりでした。
あとは何ダイナーにするかで悩み、物騒といえば血の色=赤ということで「クリムゾン」「カーマイン」「スカーレット」など赤系の色を列挙していましたが、いざシナリオを書いてみると、ダイナーが出てくるのは序盤だけになってしまいました。
なのでダイナーを入れるのをやめ、レオを表す言葉として「死神」を入れました。
「赤い死神」を英語にした「レッド・リーパー」は同名の映画があったのでボツ、リーパーはキャロルの苗字に残しました。
最終的にインパクトを重視して「クリムゾンレッド」になりました。
結果略しにくいタイトルにはなりましたが、個性は出せたと思います。
UIや背景の加工、血の色、演出、スチルにもこの色をアクセントとして使っています。

初期設定

初期は主人公が先代の死神で、レオとの殺し合い(殺し愛)を書くつもりでした。
死神と呼ばれていた主人公が殺人鬼をやめる→レオが復讐を始める→代わりにレオが死神と呼ばれるようになるという感じの話です。
タイトル画面の折れたナイフはその名残です。
しかしこの作品のプロットで主人公に元殺人鬼設定をつけると、設定の説明だけでグダグダしてしまい、風呂敷を広げるだけ広げて畳めない作品になるのは目に見えていました。
ロキをラスボスにするストーリーだと戦うのはレオだけで十分でしたし、無関係のキャロルが戦う必要性がなかったんですよね。
なのでシナリオ半分ぐらいで急遽キャロルの設定を変更しました。
(余談ですが、2019年に「Diner ダイナー」という小説原作の映画がありました。登場人物がほぼ殺し屋で、いかにも豹牙が好きそうな物騒な作品です。サムネでキャロルがナイフを向けているのはあの映画の影響もありますね。)

BGM

制作中のイモブレがファンタジー系BGM中心なので、こちらは少し懐かしさのあるロックやハードボイルドっぽさを意識して選びました。
タイトルBGMはジャズか80'sロックで迷っていて、そこで見つけたジャズBGMの曲名が「Moon Crimson」だったのでこれだ!と決めました。
ロキ戦で流れていた「Chaos」は好みドストライクな曲です。
ヘブンズ・ロワイヤル」のシナリオを書いていた時からずっと、戦闘シーンがあるノベルゲームを作ることがあったら使いたい!と思っていた曲ですね。
ヘブンズのように場面転換の多いクールな戦闘には向かなかったので、今作でようやく使うことができて嬉しかったです。

舞台

港町マグゼラという地名は私が昔書いていた小説にも何度か出てきますが、特に関わりはないです。
最初のイメージは80年代のアメリカに近い都会の街で殺人鬼の男女が殺し合う予定でしたが、舞台は背景素材の兼ね合いもあって変わっていきました。
最終的にスラム要素を入れた治安の悪い街で、ギャングに復讐する話になりました。
ロキの薬物とタトゥー設定はその時に決まりました。

今作のコンセプトは「洋画っぽい乙女ゲーもどき」でして、洋画に出てきそうなキャラ名と、洋画っぽいセリフ回しを少し意識しています。
このセリフ回しに関しては全員ですが、特にレオのセリフに強く出ていると思います。
「ボスに子守唄でも歌ってもらったらどうだ」「こいつをなんとかしてくれ」など今思いついただけでも結構ありますが、「オーバーヘッドで蹴り返したくなるだろ」とロキの「レッドカードだろ」が特に印象に残っています。
あと「お前の“家族”は、クソ野郎になる方法は教えても、死神の殺し方は教えてくれなかったようだな」は個人的にも気に入っているセリフですね。

エンド

元々BADエンドを作るのが得意ではないので一本道にしようか最後まで迷いましたが、キャロルが逃げた場合の分岐を作りたくなったので即死BADを2種作りました。
復讐を果たした後自殺するエンドは案にありましたが、キャロルが逃げた後ロキに殺されるエンドが似た終わり方なのでボツにしました。
今作のバッドはどちらも「復讐する相手がいなくなる」エンドなのが特徴ですね。

キャラ雑談

キャロル・リーパー
名前は特に由来はないですが、強いて言うならダイナーの店員なのでアメリカ系の名前にしようと決めていました。
そこでキャラデザを考えていたらなんとなくキャシーなどキャ〜から始まる名前ばかりが浮かびました。
キャシーはルーシーと響きが似ていたのでキャロルに落ち着きました。
リーパーは日本語にして死神です。死神はレオの方ですが(笑)
彼女はフルネームを名乗るシーンはないのですが、BAD ENDでロキから聞けます。

豹牙の書く主人公は男女関係なく肉体的に強く、自ら道を切り開くタイプが多いのですが、今作はレオが強すぎて戦う必要がないので守られるヒロインにしました。
あとツインテールは、なんとなくダイナーのコスプレにそういうイメージがあったからです。
髪型で年齢より幼く見えるので、表情とスタイルは大人っぽく描きました。
最後のスチルなんかはこれキャロルを攻略するゲームだっけ?と思いつつ描いてました。あのスチルは特に密着感を意識した記憶があります。
キャロルはめちゃくちゃ肝が据わっている女の子という印象で、感情移入しにくいタイプだろうなと思っていましたが、落ち着いた大人の女性という感想をいただくことが多かったです。
昔は痩せていたのですが、料理修行の際に大量に食べたことで現在の体形に落ち着いています。

レオナルド・クランツ
名前の由来はleo=ライオンから。
ある意味年齢詐欺な18歳で、ケーキ好き=地下監獄と過去作を思い出すような設定があるキャラでもあります。
元々金髪の予定でしたが、タイトルに『クリムゾンレッド』という単語を入れたことで赤に変更、代わりにキャロルとハーヴィーが金髪になりました。
戦闘時に髪を下ろす男キャラを作りたい!という理由だけで、髪を縛っている設定になってしまったキャラです。
初期は武器として鉄パイプを持たせる予定でしたが、店の帰りに大きい武器を持っているのも変ですし、怪力で鉄パイプを折りそうだと思ったので素手になりました。
私の創作はバトルものがとにかく多いですが、彼は唯一能力なしの素手格闘キャラだったりします。
これだけケンカしていれば手も殴りダコだらけだと思いますが、さすがにそこまで生々しくするのも…と思って手は普通に描いています。

意識したのは年下要素と恋愛に不慣れな部分ですね。
最初から好感度が高いのでキャロルを守ろうとしますし、恋愛関連になると照れたりリードされるという感じです。
彼が昔から好意を抱いていたという設定は、短編だからこそ思いついた気がします。
長編だったら相手を信頼する過程を書いていたと思います。
最初は彼を初心にするつもりはなかったのですが、復讐に生きてきたことと、昔からキャロルに好意を抱いていたので、逆に経験があると違和感があるので初心になりました。
ヘブンズのナルガさんと似ているようで反対な部分も多いキャラです。

彼の表情は基本的に年齢より上ぐらいのイメージで描いていますが、キャロルとのスチルは目つきの鋭さを控えめに、少し幼めに描いています。
特にキスシーンはキャロルを上に置いて、年下であることや弱さを意識した構図にしました。(ここでレオを泣かせるか悩みましたが、彼の性格上ここで泣くのも違和感があったのでやめました。「まだ、離れたくない」は彼の弱さを最大限出したセリフですね。)
逆に終盤の戦闘スチルは吹っ切れて別人かってぐらいイキイキしてますね。
ロキよりお前の方が薬キメてるじゃん…と思った方もいるでしょう(笑)
終盤まで思いつめていただけで元々ケンカ自体は好きという戦闘狂です。

スチルで彼を一番多く描くことになるのは分かっていたので、立ち絵は唯一全身描いていましたし、細かい設定資料を作っていました。
他は載せられるクオリティではなかったので、彼だけここで供養。

Re設定

シェリー・クランツ
レオの妹で、立ち絵があるキャラでは唯一の故人です。死亡時9歳です。
元々レオの話で名前だけ登場のつもりでしたが、シナリオ加筆でレオの回想を追加したことで急遽立ち絵を用意しました。
髪と目の色はレオと全く同じですが、前髪を対照的にしています。
立ち絵があった方が悲劇感が増すのと、妹の顔が気になると言われそうな気がしていたので追加してよかったと思います。
ただ彼女の立ち絵が出たことで、「実はシェリーが生きていて黒幕なのでは?と疑った」という感想もいただきました。
実はシェリーを黒幕にする案は少し考えていましたが、シェリーがレオを恨む理由がなく唐突すぎる(展開に無理がある)ことと、ハーヴィーとロキの存在が薄れるのでやめました。
あと似たようなことをヘブンズ無印でやっていたので、今回はどんでん返しなしでロキをそのままラスボスにしました。

ハーヴィー・カーマイン
私のシナリオでは貴重な立ち絵有のおじさんキャラで(年齢だけおっさんなキャラはいる)、個人製作だからこそ出せたキャラという感じがします。
ハーヴィーの立ち絵を描くためにおじさんの描き方を調べたのはここだけの話。
苗字カーマインは店の名前にもなっていますが、作中でフルネームを聞けるシーンが一切ないです。
カーマインは赤系の色でして、店名だけではなくネクタイの色にも使っています。
(ハーヴィーのエプロンとキャロルのスカートはクリムゾンレッドを使いました)
ロキには中途半端なクソ野郎呼ばわりされていますが、ハーヴィーがいなければキャロルとレオは出会わないので超重要人物ですね。

目が細いので非常に分かりにくいですが、実は怒ると目のハイライトが消えています。
これは元々私のミスだったんですが、怒ると怖いという設定や、ギャング時代のアンダーボスの面影を残すのに消えた方がいいなと思ってそのままにしました。
ハーヴィーの若い頃を想像するのは結構楽しいです。

店名「カーマイン・ラット」のラットはネズミから取りました。
サラマンダにちなんでこっちも生き物の名前を入れようと思い、暗い場所にいるイメージが強いラット=ドブネズミを選びました。
マウスではなくラットなのが個人的こだわりで、アングラな世界観にありそうな店名を目指しました。

ロキ・ドレイク
苗字の由来はサラマンダーと同一視されているファイアードレイクから。
デザインは前髪で目が隠れたりくせっ毛などいろいろな案があったのですが、最終的に"ちょっと小物感のある悪役"という外見に落ち着きました。
豹牙がプレイヤー側だったら「ロキルートください」って言ってそうです。
ヤク中設定がなければルートは作れたかもしれませんが、ロキの性格上難しいですね。
キャロルは最初からレオに好意を抱いていますし、レオがキャロルに敵意を向けることもないので。
フードとタトゥーはギャング感を出すためですが、こいつの方が死神みたいだな…と立ち絵を描いていて思いました。
デザイン的にレオより目立ちそうだったのと、スラムっぽさを出すために色合いは少し地味めに調整しています。
目の色やロキ視点時の文字色は、クリムゾンレッドを反転させた水色を使っているのが個人的ポイントです。
タトゥーはどうしてもナルガさんがちらつきそうだったのでなくすか迷いましたが、結局あった方がしっくりきたので肩と頬にがっつり入れました。
ロキという名前は元々ヘブンズの悪人キャラ(快楽殺人鬼)として出す予定でした。
ただこれ以上悪人キャラを出す必要がなく初期段階でボツになったので、名前と性格だけ再利用しました。
彼は初期のシナリオになかったロキ視点の過去を加筆してから、愛着が沸いたキャラですね。
今作はセリフに「クソ」が多いですが、彼が特に多く使っている気がします。
あと冒頭にあった「7年前、家族を奪われた」というモノローグ、これはレオの視点ともとれるような書き方をしましたが、死神と名付けたのはロキなのでロキ視点の方がしっくりきますね。

おわりに 告知

今作の恋愛シーンに関しては審査落ちを恐れて省いた部分があります。
それをSSとして改めて書き直しましたので、こちらで供養します。
ゲームだとceroD(17歳以上)がつきそうな内容ですので大丈夫な方のみどうぞ。↓
https://poipiku.com/938766/7054150.html

最後に……
この作品は元々1時間以内の短編で終わらせると決めていました。
ただ、制作後想像以上にこの作品のキャラに対する愛着が沸いたこと、そしてこの尺が普段10万字超の長編を書く自分には足りなかったこと…いろいろあってまだ書いていたいという気持ちがありました。
15分ぐらいのおまけFDならありかも!と試しに思いつくネタをまとめていたのですが、どう見ても15分で終わりそうにない新キャラ・プロットができてしまいました。

というわけで、FD「クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-」のシナリオを書き始めました。
本編後の話で、あまり描けなかった二人の日常を入れたり、好みを全く自重せずハードに作っていきたいです。
現在本編を読んでいない人にも分かるよう配慮はしていますが、これは諦めて完全続編になる可能性の方が高いです。

現時点では完成するか分かりませんし、ゲームではなく小説になるかもしれませんし、方向性を大幅に変えるかもしれません。
これはエタらないと判断したらスクショを載せて告知しますのでよろしくお願いします!

長くなってしまいましたが、改めて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今年はこれ以上新作を出しませんが、サークルで制作しているイモブレもよろしくお願いします。
※9/19追記 新作RPG「機械毒」リリースしました。(すみません新作出しませんとか嘘つきました)


ではでは!


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