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「ヘブンズ・ロワイヤル」解説&裏話

こちらはフリーノベルゲーム「ヘブンズ・ロワイヤル」(https://novelgame.jp/games/show/2124)の解説記事です。
ネタバレ全開なのでクリア後に見ることを強くお勧めします。
※とても長いです。1万文字を超えています。


はじめに


「ヘブンズ・ロワイヤル」をプレイしていただき、ありがとうございます。
シナリオとスクリプトを担当した豹牙晃です。
投稿から4か月近く経っていますが、お礼も兼ねて解説と後書きを書くことにしました。
シナリオを書いていたのが2017年7月~2018年3月頃だったので、私も少し忘れているところがあるかもしれません。
かなり殴り書きでつたない文章ですが、よろしくお願いします。

この話を書く前に、最初に思いついたネタは「天国で転生する権利を得るためにギャンブルをする」話でした。
しかしこちらのキャラの設定は天国である必要がないのでは?と思い、転生ではなく「タイムマシンを賭けたギャンブル」に変更しました。
それが個人製作の「READ-MIND -PSYCHIC GAMBLER-」です。
それでも天国を舞台にした話は書きたいと思っていたので、READ-MIND完成後没になった設定をかき集め、「転生する権利を得るためのバトルロワイヤル」という形になりました。
ただロワイヤルに参加させるだけでは個人的に面白くなかったので、悪人らしく卑怯な展開にできないかと考えました。
結果「バトルロワイヤルを利用して主催側の天使を殺す」話になりました。

この作品は元々2つのルートを作る予定でした。
天使を暗殺する”ルーシー悪人ルート”、そしてもう1つはラビと手を組んでロワイヤルでの生き残りを目指す”ルーシー善人ルート”。
自分のやる気が前者に傾いてしまい、後者が全然浮かばなかったので没になりました。
後者はアザゼルがちゃんとラスボスする予定でした。
片方だけでこの長さなので、もう一つルートを増やすと10時間超えそうですね……。

ここからは各章解説です。

1. Heaven to Hell(冒頭~)

意味は「天国から地獄へ」。

冒頭の「自分を殺した人に、恋をした。」はとにかくインパクトを重視しました。
普通ではない恋の話、ある意味ヘブンズ・ロワイヤルを象徴する文でもあります。

天国の描写、レミエルのライブなどは、現実と非現実を混ぜた奇妙な世界観を表現するために入れました。
ルーシーが読んでいる怪盗と探偵の本は、私が昔書いていた小説『INNOCENT STEAL』のネタです。
(余談ですが、この小説の主人公とルーシーが使っている武器は同じです。あちらは両手に8本持っていましたが……)
このシーンは本の展開が飛ぶ=ルーシーの記憶が飛んでいることを表しています。

地獄はカイジの地下労働施設にかなり影響を受けています。
ルーシーがすぐ脱走したいと思えるように、かつ天使を倒したいと思えるように劣悪な環境になっています。
また、地獄での悪人との会話で、ルーシーは「わたしは殺してないわ」と答えていますが、これは殺した記憶がないからです。

サブ1

このメタトロンとサンダルフォンの会話は、クリア後に見たら意味が分かるようになっています。
ここで双子が話している「あの女」はラビのことです。
サンダルフォンの「全員の前であんなことされたんだし」はラビがサンダルフォンを攻撃して、ロワイヤルに出場させたことを指しています。
また、「こいつの正体がバレたら賭ける奴が増えるじゃん」はロワイヤルが天使の賭け事になっていることを表しています。

ナルガはルーシーのロワイヤル参加を知って誘いに来たように見えますが、実は双子の会話を盗み聞きしている時から、陰で見ていました。
この時点の彼は自分が生き残ることしか考えていないので、巻き込まれないようにしています。
「あんたは自分が死んだことも、殺した人間も覚えていないのか」
これはルーシーが自分に殺されたことを覚えているか確かめているセリフです。

ラビはルーシーの顔を見て友達だったことは思い出していますが、どちらも記憶がないので、この会話はすぐ終わります。
地獄でのエリスの動きについては書かれていませんが、この裏でナルガに協力を持ち掛けています。
ナルガは先にルーシーと組むことを決めているので、エリスを騙すつもりで協力し、天使に関する情報を得ています。
この時点では、ナルガはルーシーも利用した後殺すつもりでいました。
ルーシーも怪しいと思いつつ従うしかない状態です。

2. Heaven’s Royale(ルール説明~)

意味はそのままタイトルの「ヘブンズ・ロワイヤル」です。

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このシーンのラビは名前を聞いたら思い出せるかも、と思いルーシーに名前を聞いています。
そこでルーシーが本名ではないことに気づきますが、それ以外はかすかに覚えているだけなので根拠のない発言を繰り返します。
結果ラビはナルガに疑われて言い返せなくなり、ルーシーもラビが怪しいと判断します。
もしラビがナルガより先に接触していたら、また未来は変わっていたかもしれません。

メタトロンが悪人にルールを解説するシーンも、カイジの影響が強いです。
ロワイヤルの勝者について、1章でナルガは「現界に転生する」と言っていますが、このシーンのメタトロンは「転生する」としか言っていません。
天使に転生するとは一言も言っていないので、ほとんどの悪人が現界に転生すると勘違いし、それがナルガに伝わっています。
メタトロンはロワイヤルの敗者が本当の死を迎えると話していますが、二度目の死の先は天使も知りません。

メタトロンがアザゼルに渡している参加者の名簿も、ロワイヤルが賭け事になっている伏線です。
さらに、メタトロンのセリフで参加者の情報を小出ししています。
「例えば、酒を使った暗殺に特化した殺し屋。拳銃の悪魔と呼ばれた殺人鬼。今回の参加者に詳しく、戦闘能力も優れた情報屋」
殺し屋は4章で二人を襲ったモブのこと(ルーシーが泥酔したシーン)。
殺人鬼は銃を買えず出番なし、情報屋はエリス。
「そして、他人に罪をなすりつけ、5年間逃亡し続けたことで有名な詐欺師がいます。あと、元……」
この詐欺師がナルガにあたります。
ルーシーについてはイレギュラーなので話していません。
メタトロンは地獄の看守をやりたくないので、監視役になりたいと遠回しに話しています。
また、ここでもメタトロンとサンダルフォンがあの女=ラビの話をしています。

天使の情報について、ナルガは「地獄にいた下級の天使を殺して確かめた」と話していますが、これは一部嘘です。
ナルガが下級を殺して参加させられたのは事実ですが、天使の数などの情報は地獄でエリスから得ています。

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エリスの初登場シーン。
ナルガはホテルの部屋を抜け出した理由について「煙草を吸っていた」と話していますが、これも一部嘘です。
彼が部屋を出たのは、地獄でエリスと「ロワイヤル前日に会って話す」と約束していたためです。
その時に煙草を買っていたのは事実で、ルーシーも煙草を見たので彼の嘘を疑えなくなりました。
彼から「ルーシーが記憶を失っている」と聞いたエリスは、ルーシーを”野良猫”と呼んでその情報を確かめています。

3. Gambler’s Tactics(ロワイヤル開始~)

意味は「ギャンブラーの戦略」。
この章は解説することが少ないです。

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時計塔の描写はコナンのベイカー街の亡霊を思い出した方が多いかもしれません。
この背景は針が動くので地味に差分が多いです。(この雲だけ豹牙が描いてたりします)
当初はここですぐレミエル戦を入れていましたが、さすがに無謀だったので1日置くことにしました。
同時にエデン区の規模と地理を二人に把握させました。
レミエルの歌「恋してらぶりぃガール」の歌詞は即興で考えました。

レミエルとベリアルの会話では、”アザゼルが先代ルシフェルを卑怯な手で殺したこと”を明かしています。
ベリアルが詐欺師の特集番組について話していますが、これはナルガと戦う伏線です。

4. Lost Memories(レミエル戦~)

「失われた記憶」
ルーシーの夢や、記憶が消えた原因が天使にあることが分かるのでこのタイトルになりました。

「ずっと、同じ部屋にいるの。真っ白で何もない部屋よ」
ルーシーが夢の内容を説明しているシーンですが、ナルガはルーシーを殺した場所だと気づいています。

レミエルのスチル表示時のルーシーのセリフ「はーい、わたしルーシー。よろしくね」
これは3章の「はーい、あたしレミエル。よろしくね!」からきています。
ここも最初から入れようと決めていたシーンで、インパクトを重視しました。

サムネイルこれはラビ関連の記憶を天使が消したことを指しています。
レミエルを倒した際の文「生前も似たような死に方をした女がいた気がする。」はカルラのことです。

ルーシーの夢で助けている女はラビです。
「ごめん……掟を破ったのがバレたみたい」の掟を破った=現界に降りること。
レミエルも「天使でも現界に降りていいのは現界監視役だけ」と話しています。

ベリアルがアザゼルにしていた報告
「それと、ペネム、ラグエル、そしてレミエルの代わりに監視役を任せたアルメンが姿を消しました」
これはレミエル以外の上級が殺されたことを表しています。
前のシーンで「代わりの監視役も用意していないようだ」とナルガが話していますが、天使側はレミエルの代わりにアルメンという監視役を用意していました。
つまり、ルーシーが気絶している間にラビが他の天使を殺していたということになります。

ルーシーたちが尋問していた下級天使のセリフ「早く返せ! 早くしないと堕天使になってしまう!」について
天使たちの言う堕天使は、武器を奪われて人間同然になった状態(=人間ラビ)を指します。
人間同然になった天使は元の姿には戻れません。
堕天使ラビのような黒い天使になるということは、一部の天使に噂だけで伝わっています。

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このシーンのエリスは敵が増えたので逃げたように見えますが、実際は違います。
ロワイヤル前日の裏で、ナルガはエリスに対し「ルーシーにできるだけ近づくな」と言っていました。(自分が殺した相手だとルーシーに知られる可能性があったため)
しかしエリスはルーシーに興味を持っていたので、ナルガがいない間にこっそり接触します。
無断でルーシーに接触したことがバレたので、焦って逃げたということになります。

ルーシーの泥酔シーンですが、プロットではナルガが泥酔する予定でした。
彼は酒を飲むと性格が大幅に変わる設定があったためです。
しかしこの時点で泥酔させるとルーシーの信頼度が下がりそうだったのと、余計な情報が増えてしまうので変更。
結果ルーシーが泥酔し、彼が運ぶという流れになりました。

5. Swindler “Nocturne”(ベリアル戦~)

「詐欺師ノクターン」
ナルガの正体・生前が分かる章なので直球で本名です。

ルーシー視点だけでは描写できないシーンが多かったので、ベリアル戦は視点が変わります。
このシーンのナルガのセリフ「記憶を失ってしまったら、どんな人生を辿るかも分からない。そんな思い通りにいかないギャンブルに、自分の魂は賭けられないな」は個人的に好きなセリフです。
また、ベリアル戦で流れているBGM「intermission-EL」は一番気に入っているBGMだったりします。

ここでルーシーがエリスと遭遇したのは偶然です。
なので、エリスがナルガの本名を話してしまったのは、彼にとっても想定外ということになります。
エリスは天使を殺せる可能性について興味を持っており、ルーシーの戦闘能力を試そうとします。
また、エリスはルーシーに女の仲間=カルラがいたことは知っているので、ラビには「男の仲間がいたなんて聞いてねえぞ……」と言っています。
情報屋のエリスがラビを知らないのは、彼女が元天使である伏線にもなっています。

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エリスは”ナルガがルーシーを騙して殺す”と思っているので、ナルガを信頼するよう言っています。
その後「安心しな。天使に狙われてたことは言わねえからよ。あたしにも事情があるしな」とエリスは言っていますが、これは嘘ではありません。
これを天使に言うとナルガにとっても不利益になるからです。

ベリアルのセリフ「神は我々天使とこの天国を創造した後、力を使い果たして消え去りました」について
ベリアルが神について話していますが、神の存在は天使たちにとっても話で聞いているだけです。
なので実際に存在したかどうかは定かではありません。

このゲームが完成する直前まで、ここはベリアルにナイフを刺して戦闘は終わっていました。
ただナルガが一人でベリアルを倒してしまうと、ルーシーは何もしていないことになります。
彼がルーシーを信頼する経緯が欲しいと思い、ルーシーがとどめを刺す展開に変更しました。
この辺りからルーシーを殺すことは考えなくなり、自身の過去も明かします。
彼はルーシーを試すために、かつエリスを騙すために銃口を向けます。
ルーシーを銃で撃つ=エリスを呼び出す合図になっていました。

6. “Stray Cat”(生前回想~)

「”野良猫”」
ルーシーの生前が分かる章なので。

ナルガと比べると、ルーシーの過去はかなり非現実的になっています。
ルーシーは軟禁に近い状態で育てられていますが、テレビや本には恵まれていました。
なので芸能関係に関してはナルガの方が疎いです。
カルラに嫉妬し始めた頃の文「****と出会ったのはその時だった気がする。」の****=ラビ(ラビエル)です。

ルーシーはラビから逃げるため、無意識にバーに戻ります。
ナルガはルーシーが戻ってきたことで信頼し、ここから二人称が「お前」に変わります。
「お前」と呼ぶのはルーシーだけで、他は「あんた」のままになっています。

ラビが双子と同じ花の機械を持っているのも、元天使である伏線です。
彼女が持っているものは殺した天使から奪ったものですが、使い方は覚えていたということになります。
レミエルもこの機械を持っていましたが、一人でルーシーを倒せると思っていたので報告しませんでした。
ベリアルは下級を呼び出す際に使用し、それ以降は正々堂々と戦うため使っていません。

ナルガのセリフ「やれやれ、まるで嫉妬に狂った男”みたい”だな」はラビを煽ると同時に、性別をはっきりさせる狙いがあります。
このセリフでラビが黙り込んだため、ナルガはラビが女であることを確信しました。
彼の過去を知るとかなりブーメランなセリフでもあります。

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この二つは8章でも言っていますが、”天使に戻ること”と”ルーシーと一緒にいること”です。

ラビが銃で撃たれた後の文について
「時計塔は6を指している。」これはラビが生きているので実際は(ルーシーたちを除いて)残り3人。
「ラビは跡形もなく消え去っていた。」死亡すると武器がその場に落ちるので、これはラビが生きている証です。
ナルガはラビの死を確信できていないので、ルーシーに「ラビは死んだのか?」と聞いています。

7. Rebirth(双子戦~)

「転生」
ロワイヤルの目的が悪人の転生であることが分かる章なので。

「確かに、城に集まった参加者はもう1人足りねーな」
サンダルフォンは計算を間違えていますが、これはラビが城に来ていないことを指しています。
双子対策と地獄の陽動作戦については、ナルガが細かく解説しているので割愛します。

アザゼルの話に出てくる前回のロワイヤルの勝者は、下級天使になり既に殺されています。
なので登場することはありません。
アザゼルは死者を生き返らせることができると話していますが、これははったりです。

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この文ですが、ルーシーはアザゼルに何が起こったのか知らないので、「なぜか」という表現になっています。
実際は、部屋に入ってきたラビが背後からアザゼルを妨害しています。
その隙を利用してルーシーがアザゼルを攻撃したので、ラビが刺しました。
ラビのスチルは全体的にホラー感が出たなぁと思っています(笑)
あと、天使のスチルは不意打ちが多いです。

ラビは武器を取り戻した堕天使がどうなるか知らなかったので、自分の姿を見て驚いています。
「何これ。こんなの、おれじゃない」はその表れです。

8. Fallen Angel(堕天使戦~)

「堕天使」
これもかなり直球。
8章は伏線がほとんどないので解説することも少ないです。

ラビとカルラについて
ラビは前回ロワイヤルの監視役をしていました。
そこで参加していたカルラを見つけて近づき、ルーシーについて聞きます。
しかしカルラが「ルーシーを助けて」と言ったことで、ラビはカルラを刺してからルーシーを助けに行くことになります。
その後はアザゼルにバレて武器を没収されました。

メタトロン戦後のナルガの行動については、セリフがほとんどないので顔グラを表示していません。
ルーシーは橋の上にいる時に銃声に気づき、ラビを時計塔近くまでおびき寄せます。
ルーシーの思惑通り、ナルガはラビに気づいて撃ったという流れです。
ラビ戦のラストでタイトルBGM「flow」を流したのは、あれです。
アニメの1話OPが最終話で流れるあれです。

キャラに関する雑談

ここからはキャラの名前の由来やちょっとした雑談です。
アルファベットで略されているミドルネームが分かるのは、おそらくここだけです。

ルシフェル・C(クレイ)・サンレイズ 通称:ルーシー
名前は堕天使ルシフェルから。
彼女が天使にならないという意味もこめて、人間らしい名前のルーシーが通称になっています。
主人公を全員があだ名で呼ぶ、ジョジョ1、2部のようなものをやってみたかったのもあります。
苗字はサン=太陽、レイズ=蘇生を合わせた造語、ミドルネームはLucyのCを取りました。
年齢は22歳、デザインは先にできていたナルガと対照的にしました。
初期設定は大人っぽい小悪魔キャラだったのですが、お肉の話などを書いているうちに少し幼くなりました。
相方との掛け合いも考えると、結果的には良かったと思います。
シナリオを書いている時は思考回路ぶっ飛んでるなーと思っていたので、彼女の性格がわりと好評でとても安心しています。
ルーシーの両親は同じ組織にいただけで結婚していないので、不義の子という扱いです。
両親はルーシーが幼い頃に死亡したので、地獄にいたとしてもお互い面識がないので気づきません。
殺害に一切抵抗がなく、時計塔からのダイブなど並外れた度胸がある彼女ですが、恋愛経験はないのでちょっとしたことですぐ赤面します。
一人称が「私」ではなく「わたし」になっているのは、他女性キャラと違う印象を与えたかったからです。
ルーシーの身長はゲーム画面だと小さく見えますが、これはナルガの身長が190cmあるせいです。
食いしん坊なところは私が好きな部分だったりします。
(ルーシー天使化ルートも構想としてありました。こちらは記憶を失って天使になり、最終的にナルガに殺されるというエンドだったのですが、顔グラなどの作業が増えそうだったのでやめました)

ナルガ・N・ネビロス 本名:ノクターン・J(ジェイル)・クラウン
本名と関係のある名前は名乗らないと思ったので、彼の名前に意味はありません。
某狩猟ゲームをプレイした方はあれが由来なのでは、と思ったかもしれません(笑)
苗字の由来は悪魔ネビロス。Nはフルネームの頭文字を全部Nで揃えたかっただけです。
本名はノクターン=夜想曲、J=ジョーカー(ジェイル=刑務所)、クラウン=道化師。
蝶の刺青は見た瞬間に悪人キャラだと分かるように入れました。
蝶には「転生」「不死」といった意味があるそうです。(知らずに入れました)
胸や腰にも刺青を入れていますが、おそらく見る機会はありません。
服装は私が好きなアーティストの衣装を参考にしました。
ポーカーフェイスというより表情筋が死んでいるので、ゲームにする際はいつ表情を動かすかで悩みました。
初期は31歳だったのですが、10年刑務所にいたという過去を入れようとした結果年齢詐欺になりました。
煙草は会社員時代から吸っています。
過去は本人の口から少し語られていますが、語っていない部分も多く、かなり重いです。(これに関しては後述)
EDの写真を見ると分かりますが、昔は表情も明るく優しい人物でした。
それなりの年齢なので落ち着いていますが、個人的にはラビとは別の危うさを秘めるキャラでもあります。

今作でルーシーの相棒的立ち位置だったナルガですが、元々違う作品のキャラでした。
実は冒頭で触れたREAD-MINDには続編が存在します。
ナルガはその続編のラスボスとして作ったキャラです。
その続編は完成しましたが致命的なバグがあり、シナリオが個人的に不出来だったこともあり、未公開のまま没という形になりました。
どうにかこのキャラを活かせないかと思い、今作で出すことになりました。
一度別作品で動かしていたことや、過去も考えてあったので一番動かしやすいキャラでした。
今作で「昔ギャンブルに負けて自首した」という話をしていますが、それがこの没続編にあたります。

ラビ・L・アスタロト 本名:ラビエル
由来は天使ラビエルを略してラビ…ではないです。
なんとなく思いついたラビという名前が天使関連だったと知り、使おうと決めました。
ラビエルという天使がいたのも実は偶然です。
Lはルシフェル(Lucifer)から、苗字はナルガ同様悪魔から来ています。
初期設定は人間の男でしたが、ラビを男にするといろいろ不都合があったので女になりました。
性格は初期から変更なしで、ナルガとはできるだけ反対にしました。
彼女は語彙が少ないので同じことを何度も言っていたり、言い返せなくなることが多いです。
天使時代は優等生に見えますが脳筋で、アザゼルの次に強い天使でした。
ラストはいかに頭のおかしい発言をさせるか、ということを考えて書いていました。
ラビに関しては一番好き、報われてほしいといったあたたかい言葉から、やばいやつ、ヤンデレ、サイコなど様々な言葉をいただいています。
どれも正解です。

エリス・V(ヴィスティア)・クレイエル
年齢は25歳で、彼女の名前に意味はありません。
仮でつけていた名前をそのまま採用しました。
私が昔書いていた小説の主人公と同じ苗字ですが、これは特に意味がないです。
彼女はとにかく書いていて楽しいキャラでした。
ナルガに殺されるキャラなので、初期は憎らしいキャラにしようと思っていたのですが、書いているうちに小物キャラになりました。
世界観に比べてかなり楽しいキャラだったせいか、エリスに愛着を持ったという言葉も多くいただきました。
ひょっとしたらかなり人気上位なのでは……と思っています。
また、彼女にはスラム街出身の孤児という裏設定があります。

カルラ・D(ディプシー)・ヴリトラ
由来は自由を意味する人名で、ヴリトラは怪物の名前です。
実際シナリオで出すまでは、ルーシーの憧れの男性を部屋に連れ込むなど悪女を想定していました。
しかしこれではルーシーがカルラを殺しても後悔しないので、出す直前に急遽温厚な女の子に変更しました。
この作品の中では比較的思考回路がまともなキャラなのでは、と思います。
また、他の男に憧れる=ルーシーの初恋相手が変わってしまうのでやめました。

アザゼル
由来は堕天使の名前です。
同じく堕天使の名前を使っているルシフェル(先代)、ベリアル、”???”は天使歴が長いという共通点があります。
彼の印象はおそらく「ふへはへへ」と「お前はあれか?」が強いと思います。
ユーモアのある悪役にしようとしてできたキャラで、個人的に一番好きな天使だったりします。
戦闘シーンが短かったので咬ませ犬感が強いですが、戦闘能力はかなり高いです。
彼も過去を見ると印象が変わるキャラで、先代を殺したことにも理由があります。
(天使たちの過去編小説も存在します。これはいつか公開を考えています)

ベリアル
悪を意味する堕天使の名前が由来です。
なので悪人が好きというセリフがあります。
初期設定は筋肉おじさんでしたが、中盤で年齢詐欺と筋肉おじさんの対決を見せられてもなーと思ったので若くなりました。
サンダルフォンが「おっさん」と呼んでいるのは天使歴が長いことと、元おじさんの名残が入っています。
性格は初期から変わっておらず、ルーシーではなくナルガと戦うことも、戦闘の流れも最初から決まっていました。
彼だけは生前が快楽殺人鬼となぜか決まっています。
ベリアルはアザゼルと天使歴がほぼ同じで、アザゼルも彼のことは信頼しています。
卑怯な手段で先代を殺したことには違和感を抱いていますが、アザゼルより強くなるまでは文句は言わず従っています。

レミエル
レミエルは天使の名前からそのまま取りました。
キャラ設定は初期から”ツインテール腹黒アイドル天使”で変わっていません。
レミたんと呼ばれた時の「は? 死刑」は私も気に入っているセリフです。
レミエルは先代ルシフェルが死ぬ前まで、比較的普通の女の子らしい性格でした。
先代の死とアイドルを強要されたことで歪み、今の姿になっています。
本人は否定していますが、彼女はアイドルという仕事をなんだかんだ気に入っています。
「レミたん」という愛称も、ファンだけは許しています。

メタトロンとサンダルフォン
初期はいなかったキャラクター。
当初冒頭はモブ天使にルーシーを案内させていたのですが、モブ2体しか出てこない冒頭はどうなんだと思い、二人組の天使を作ることになりました。
そこで青年双子を想定して酒を飲ませていたのですが、イラスト担当の要望でショタ双子になりました。
この外見で悪人を殴ったり、酒を飲んだりする絵面はなかなかカオスでした。
名前の由来はそのまま双子の天使です。
初期はいなかったので、当然彼らの戦闘シーンもプロットにありませんでした。
なので7章まで書いたところで詰み、1か月近くシナリオが進まなくなりました。
彼らの戦闘をどうやって終わらせるか迷い続け、ルーシーがメタトロンを倒す案、ルーシーとナルガを共闘させる案など、合計で8つの案が頭の中にできてしまいます。
しかしルーシーはアザゼルとラビを一人で相手しないといけないので、双子も戦うのはさすがに過酷でした。
なので双子をナルガ一人に任せる地獄利用案を採用しました。
この案にしたのは地獄を使えるので冒頭のシーンが無駄にならないで済む、という理由もあります。

ルシフェル(先代)
クリア後おまけ絵の、ルーシーの後ろにいた”???”はまさか先代なのでは…と思う方が多かったと思います。
すみません、別人です。
ルシフェルについてはあえて多く書かず、謎の多い存在にしました。
作中でルシフェルの顔が写ることはありませんが、設定とデザインは決まっています。
実はエンディングのアザゼルの写真にほんの少し写っていたり……

終わりに

私が制作に携わったノベルゲームはこれで4作目になります。
1作目がREAD-MIND、2作目が没になったREAD-MIND続編、3作目は同サークルで作った「メイム」です。
(以前メイムの担当について質問があったので、こちらでもお答えします。メイムはシナリオをリレー形式で書いたので、豹牙が担当したシナリオは一部だけです)
ノベルゲームに手を出してから3年近く経ちますが、ティラノフェスの存在を知ったのはわりと最近でした。
フェスで反省点も多く見つかったので、もっと早く知っておけばよかったなぁと思います。

最後に、おまけ絵とエンディング動画で察したかもしれませんが……
現在、続編『ヘブンズ・ロワイヤル -Frozen Butterfly-』を制作中です。
本編で明かされなかったナルガの過去が関係する後日譚で、話の雰囲気も大きく変わります。
反省点もこの続編で強化したいところです。
この続編制作のため、次回のティラノフェスに完全新作は出さない可能性が高いです。(出せたとしても超短編になります)

完成した際は、二人の旅路を見届けていただけると幸いです。
それでは!

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