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さらに重ねて、リベラル/ラディカルフェミニストについて

 さて、新記事です。
 実は結構以前から書き溜めていた原稿なのですが、何やかやで動画の方を先に発表することになってしまいました。

 そんなわけで、動画で既に「ネタバレ」されているわけですが、ここでは素知らぬ顔のまま、ぼくの調査を時系列に沿って、最初からお伝えしたいと思います。
 では、そういうことで……。

 ぼくは度々、「表現の自由クラスタ」が流した「リベラルフェミニスト」についてのデマを批判してきました。
 彼らは「リベラルフェミニストはポルノなど表現の自由を重視するよいフェミだ」と口を揃えます――いや、それも最近、あまり言わなくなった気がします。ぼくが彼らのウソをしつこく周知させてきたから……ということでは、残念ながらないでしょうが。
 しかしそれは「100%のウソ」とまでは断言できなくとも、かなり事実を恣意的に曲解した、一般的な感覚で言えば「ウソ」としか言いようがないものであり、そればかりかリベフェミというのは原則論として「既に滅んだ」、「非実在フェミ」なのです。
 ともあれ、この件についてはぼくがもう随分以前に決定版とも呼べる記事を書き、前回に再録しているので、未読の方はまずはそれを読んでいただきたいところではあります。

 ……が!
 今回、その「決定版」に修正を加える必要が出てきました。
 少々込み入った話なので、順を追って説明していきますので、恐らく三回くらいに渡る記事になりますが、おつきあいください。

怪奇・何だかよくわからない人

 ……さて、きっかけは最近、この件でまたもめてしまったことにあります。
 そのせいで時間のない中、『ザ・フェミニズム』と、『女のからだ』と二冊のフェミ本を読む羽目に陥ったのですが……。
 ただし、まずはその「もめた」ことの中身をご説明しなければなりません。
 また本件、複数人がかかわっているのですが、面倒なのでメインの一人を除いてはA氏、B氏と表現します。そのメインの人物は、名前を出していいのかどうかわかりませんが、「平安和気」。以降この御仁のことは平安氏と呼称することにしますが、ともあれ彼がリベフェミについて語っていたので、ソース(上の記事にもある『女性学辞典』の引用)を挙げたのですが、彼は狂ったようにこちらを罵倒してきました。
 この方、以前からこちらを敵視していたのですが、簡単に説明をしておくと一応、アンチフェミで、青識亜論のことも敵視しています(以前、動画で青識に恣意的な採り挙げられ方をした人物として、紹介したこともありますね)。
 つまり、本来であればこちらの仲間と考えるべき人物であり、以前は友好的なツイのやり取りをしていたのですが、ある時期からこちらを敵視して、罵ってくるようになりました(きっかけもうろ覚えなのですが、確かぼくの発言を見ていきなり「お前は無知だ」と罵倒して来たような……)
 まあこの人、むやみと保守を自称しているのですが、ピル神を称揚するなど、発言からすると非現実的な認知を抱えたリベラル、という印象なんですけどね。

恐怖・わからないレスをする人

 さて、そんなわけでまともな対話にはならなかったのですが、彼の主張は「リベフェミはいまだフェミの主流派だ」というもの。
 いきなり英字のリプを送ってきたので、( ゚Д゚)ポカーンとなりました。

https://twitter.com/heianwaki/status/1431107880606785537

「英語サイトの引用なら、出典を示してくれ」と告げたのですが、反応なし。
 そこへ第三者のA氏から「ウィキの引用では」と言われ、ようやく合点がいったのですが、ならちゃんとそう書けって!
 さて、調べたら確かに同様の文が英語版ウィキの「Liberal feminism」の項にあり、また日本語訳すれば「リベフェミは主流である」と読み取れる箇所もあります。
 が、言うまでもなくウィキとは万人が自由に書き込みできるもの。資料としては紙資料などに比べれば一歩落ちる、というのが常識です。
 事実、かつてウィキ日本語版の「リベラル・フェミニズム」の項においても(100%間違いだとは言えないものの)ミスリードを誘うような書き方がなされていたことは、既に幾度も指摘していますね。
 もっとも、A氏からも反論がありました。「ともあれ、英語圏でこうした記述がある以上、表現の自由クラスタのデマというのはいかがなものか」というもので、これは大変に筋の通った意見です。
 実はぼくも(書名は忘れちゃったんですが)フェミ本で「(海外では)ラディフェミとリベフェミが争っている」との記述を読んだことがあります。
 これは表現の自由クラスタが言って回っていること一致しており、おそらくその「元ネタ」ではないかと想像できる。
 では、いずれにせよリベフェミは海外にはいるんではないか、との疑問があるかもしれませんが、そんなこと言ったって、僻地で絶滅寸前の生き残りのリベフェミが、併合しようとしてくるチェーン店に抗う個人商店くらいのレベルでラディフェミと争っていても、不思議はない。
 そしてフェミを延命させようとしている左派が、少数派のリベフェミを「我々の味方だ」と詐称している、リベラルサークルの姫になりたいフェミが、「リベフェミ」だの「ネオリブ」だの適当な名前を名乗っている、つまりは海外でも日本と近しい状況があるということは、充分に考えられる。
 つまり、「リベフェミは(現存しており)よいフェミ」という主張は「表現の自由クラスタ発の」デマではなくとも、海外の書籍か何かを持って来て、「表現の自由クラスタが日本でも広めた」デマである、といった可能性は充分にあり得るわけです。
 もちろん、これらはあくまで想像であり、裏の取れている話ではありません。
 そういうわけで、先に書いたようにこの件について再調査することになったわけですが……。

怪異!リベフェミの代表

 何より、そこまでリベフェミが主流なのならば、そのリベフェミの具体例は誰なのか。
 この問いに、表現の自由クラスタは何年もかけて答えを出せませんでした*。事実、先のウィキでもやはり過去の人物の名前ばかりが挙げられておりました。
 ところが!
 このフェルマーの定理並みの難問に、何と今回、平安氏は最終解答を出しました。
 エマ・ワトソン
 本当です、この人、真顔で「エマ・ワトソンがリベフェミの代表だ」などと書いていました。

https://twitter.com/hyodoshinji/status/1431135239133220866

 彼には令和の爆笑王、の名を冠するのがふさわしいでしょう。
 ここで彼についてはおしまいにしてもいいくらいですが――まあ一応、ツッコミを入れておきましょう。
 別に学者でも作家でもなく、フェミについての著作があるわけでもないただの女優が代表を務めるフェミの一派って、それどんだけ実体がないんですか。
 言っとくけど石川優実師匠だって著作(形ばかりのものとは言え……)もあれば、フェミ雑誌の編集をしてもいる。ぶっちゃけ彼女の方がフェミとしての格は上でしょう。
 正直、平安氏が一体どっからこんな珍説を仕入れてきたのかが、判然としない。白饅頭の著作を読んで、自分の中で勝手に解釈しちゃったのかなあ?
 もう、本稿はここで笑い話として終えてもいいんですが……。
(ここはちょっと平安氏をからかいすぎです。彼の名誉を多少なりとも回復したいと望む方は動画をご覧になるか、次々回までお待ちください)

* ただし、ストロッセンの名前が唯一、挙がることはありました。ストロッセンについてはぼくも著作を読もう読もうと思いつつなかなか時間が取れないでいるうち、昨今ではその名を聞くこともすっかりなくなってしまいました。
 一応、ストロッセンは「ポルノに擁護的」らしいのですが、以前も採り挙げた牟田和恵師匠の『実践するフェミニズム』によれば、その主張は「(ポルノへの)検閲を実地すれば、女性のための表現も検閲されかねない」というどうでもいいようなもの。この、ポルノを全否定した牟田和恵師匠の著作を表現の自由クラスタの代表とも言うべき青識亜論、白饅頭が絶賛していたことを考えると……。

上野千鶴子とラディフェミ大軍団

 いや、本件、この辺で終わる話だと思っていたのですが、B氏が資料をうpしてくれました。
 それが上にも挙げた『ザ・フェミニズム』。上野千鶴子師匠、小倉千加子師匠という、日本のフェミの二大巨頭と言っていい人物の対談です。
 そこに、「リベフェミが主流」といった一言があったのです。

【悲報】兵頭新児完全敗北【平安大勝利】

 まあ、そう慌てないでください。
 そこで挙げられたページは以下の通りです。

https://twitter.com/porcini16/status/1431149309131509766

 どう思われるでしょうか。
 ここを読む限り小倉師匠は「リベフェミは敗北した」と言っているわけで(上野師匠はそれに反対しているわけですが)、平安氏は「本から自分の好みの字面だけセレクトしてドヤっている」だけです(し、同じ方法論許されるならば、こっちだって「大勝利」なわけです)。
 また、彼女らは「リベフェミが体制側に取り入った」ことに憤っています。これは当たり前の話で、リベフェミの目標は均等法を通すことで達成された。そこに対して彼女らは「うまくやりやがって」と妬んでいるだけではと想像できるのです。
 逆に言えば、リベフェミはそこで目標を達成し、消滅したというのがぼくの指摘です。仮に「リベフェミのC子さん」というのがいたとして、その存在が均等法以降、物理的に消えたわけではないでしょうが、フェミニストとしてはもうやることがない。いや、それでも仮にフェミニストとして活動を続けるとしたら、例えば「ジェンダーフリー」とか、理念としては「ラディフェミ」に近づいて行かざるを得ないわけです。しかし、肩書としては「リベフェミ」を名乗り続けることもありましょう。上野小倉両師匠の憤りを見てもわかる通り、フェミというのは派閥争いの好きな人たちですから、「宗旨替えしました」と別な名を名乗り出すことはしにくいと思います。
 しかし思想としてはもう、消えてしまったという他はない。
 いや、第一、この「日本を代表するフェミ」二人がリベフェミをdisってる時点で「リベフェミがフェミの主流」って、何かおかしいと思うのが普通じゃないでしょうか。
 いずれにせよ本の数ページの、さらに一部分を恣意的に「切り出し」ているだけでは、一応、事典として書かれた書籍をソースにした主張を覆すには全然足りないわけです。
(本書については次回述べますので、気になる方はそちらに飛んでみてください)

よくわからない人・リベフェミ教室

 さて、さらにもう一人キーマンが登場します。
 D氏としておきますが、ぼくと平安氏のやり取りに割って入り、「リベフェミはこれこれで……」と延々自説を述べ始めた方。この方は、完全にフェミ寄りの御仁のようです。
 こっちがそのソースを聞いても答えもせず、独り言のごとくに滂沱のリプをよこしてくるのに対して少々キツく言ったら、何だか拗ねたようなことを言い出しました。それが「これだけ言ってもわからないあなたはジェンダー史に深いかかわりを持った方ではないのでしょう(大意)」というものだったのには参りました。
 そりゃソースを求めても応えず、ただただお題目を唱えてそれを受け容れよじゃあ、ただのカルトでしょう。まあ、フェミだからカルトで正しいんですが――と、そうした主旨のリプを返すとまた「カルト呼ばわりされた」とお冠。
 もっともこの方は「今までの見聞をまとめて書いているので、特定のソースを、と言われても言いにくい」とも言い、また一応、上にもある『女のからだ』をタネ本として挙げてくれたので、最終的にはこちらの質問に答えてはくれたわけです。「ネット論客」としてはかなりまともな部類です。
 今までこの種の「ネット論客」様の99%までは、ソースを出すということを頑なに拒否し続けるタイプの人たちでしたから。もっとも、その1%の挙げてくれた本を読んでみても、別にそのようなことは書いてない……といったことも多いのですが……。

 ――というわけで、前振りの説明だけで終わってしまいました。
 本件のオチについては次回述べますので、どうぞもう少々お待ちください。

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