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穴の中の鬼(410文字)ショートショートnote杯
失敗した。よそ見をして歩いていたら、穴に落ちてしまった。深い穴で、登ることはできない。スマホは充電切れ。そして目の前に先客の鬼。
「出られませんね、鬼さん」
「ああ、まあ、とりあえず俺は食料が手に入ったから安心しているが」
「食料って、私ですか」
「他に何がある?」
「ですよね」
こういう状態だ。
「鬼さんが棍棒を持って手をあげているところを僕が這い上がって、先に出て、鬼さんを助けるというのはどうですか?」
「お前一人逃げるのだろう」
「絶対逃げません」
そして、今、棍棒の上に立っているが上には届かない。
「手を縮めて、一気に棍棒を持つ手を伸ばしてみてください」
僕は棍棒により、ミサイルのように飛んで、外に出ることができた。
近所の家でロープを借りて穴の中にロープを垂らす。
鬼が上がってくる。
地上に現れた瞬間、鬼は、美しい人間の娘に変わった。
「あなたのおかげで助かりました。ご恩返しをさせてください」
いや、正体知っているから……無理だわ。
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