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海のピ、毎週ショートショートnote
人魚を食べると不老不死になるという言い伝えを聞いた王様は、人魚の捕獲を命じました。
王国には海軍があり、十隻の船で人魚が住むという岩礁に向かいます。青空が広がり、雲ひとつない晴天でした。
陸を離れしばらくすると、見渡しても陸が見えないほど海が広がる沖に出ていました。風は爽やかで、波も穏やかです。
船員たちは、この天候なら難なく人魚を捕まえられるかもしれないと、笑い合いました。
目的の岩礁に近づくと、急に霧がかかり始めました。
『ピッ』
「おい、今、ピって音がしなかったか?」
「いや、聞いてないぞ。だいたい、こんな海の真ん中で、そんな音がするわけないだろ」
『ピッ』
「今のは聞こえただろ!」
「ああ、聞こえた」
「俺にも聞こえたぞ、いったいなんなんだ!」
『ピッ』
「まただよ」
「人魚が警告を発しているんじゃないのか?」
『ポーン』
「おい、時報じゃないのか?」
「時報ってなんだよ。正時じゃないぞ」
『みなさん、お休みの時間です』
その言葉で船員は全員眠りにつき、船と船は衝突し、座礁し、すべて沈んでしまいました。
人魚は、歌声を聞かせ、船員を眠らせ船を沈めるという言い伝えの対策は立てていたというのに。
歌が聞こえてきたら、大音響のサイレンを鳴らして妨害する予定だったのですが、スイッチを入れる間もなくみんな眠ってしまったのでした。
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