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穴の中の神様(409文字)ショートショートnote杯

青年は地面に井戸を掘っていた。
4メートル掘ったところで横の岩肌から声がする。

「私は神だ。出してくれ」
「神なら、簡単に出れない?」
「神は専門分野に分かれていて、穴の中は、専門外で動けんのじゃ」
「じゃあ、あんたは何が専門なんじゃ?」
「助けてからのお楽しみじゃ」

青年は声のする方向に掘った。
穴を横方向に掘っているので、今は、Lの字になっている。

中にいた和服のような服を着たおじさんを助け出した。

穴の中では、本当に動けないみたいで、動かない。

横穴から引っ張り出して、たて穴の底についた。
上から光が降り注ぐ。

「はははは、われこそは、天災や疫病あるいは戦乱などのわざわいをもたらす邪神なり。これより…」

青年は、慌てて這い出し、上から土をかぶせた。

注意喚起が必要だと考え、広い範囲にロープを張り、ここを掘るなの立看板をした。

それを見た者が、宝があるに違いないと、ロープの中を広範囲に掘り出した。

その形は凹地で、もはや穴ではなかった。

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