地味モンハン The Axis Unseen
FO4とかリムとかタフィーとかに参加なさってた元ベセスダの人が1人で作ったメタルホラーハンティングゲームって言われたら買わずにはいられないじゃん。
はい、買いました。日本語あります。
結論から言うと、私は好きです。なぜなら私がおぶりでもリムでもタフィーでもステルスレンジぴちゅマンだからです。ステルス弓ぴちゅプレイが好きならたぶん好きだと思う。しょっぱなからステルス弓ぴちゅし放題だし。でも開発ひとりということもあり、モンのハンみたいな規模ではないことは最初にお知らせしておきます。
The Axis Unseenはこんなゲーム
あなたは狩人で、世界各地の伝説の怪物たちが生まれるという世界の謎を探りながら化け物を狩ります。研鑽を積み、世界を探検して新しい能力、新しい武器を手に入れ、各地に散らばる誰かのメモを集めて、この世界の秘密を解き明かすのだ!
シンプル!だがそれがいい!NPCも皆無のオープンワールドでひたすら黙々と探索して弓矢(進行で属性矢が増える)とナイフ(進行で変わる)を駆使して敵をしばき倒すFPS狩りゲー。ホラーみは薄い。でもジャーナルを読むといい感じにぞわぞわするからホラーで間違ってない。
MH的あるいはダクソ的ボスみたいなのは出てきません。どっちかというと質量作戦で攻めてくるやつ。進行でめっちゃ嫌かつエリアをまたいで入手する何かが必要になる特殊な倒し方が要求される敵が出てくる上、それについてはノーヒントのため、違う意味でやりがいがありました。敵はあなたの足音を聞き、風に乗って流れてくるあなたのにおいを嗅ぎ、足跡を追ってきます。小旗で風向きを確認しながら、優位な立ち回りでがんばろう。
でもどっちかというと狩り自体よりも(この辺は高難易度でがんばりたい人とは意見が分かれるかもしれないが)、ジャーナルを集めて世界とストーリーをよく知るために探索するのがメインかなーと思います。ということがわかってからは難易度最低にしてひたすらウロウロした。
キャラクリはありませんが、設定で画面に見えるおてての性別(染色体分類でもいいからはっきり書いてほしいわかりにくいんだよもう)と肌色の濃淡は決められます。手だけやんキャラ属性関係ないやろと思ったらそうでもない。油断できない。
決して親切なゲームではないため、初めはちょっとこの世界の歩き方とか楽しみ方がわかんなくて戸惑うかもしれません。でも、各種ログを読んだり新スキルを手に入れたりするうちになんかわかってきて楽しくなってくるので大丈夫です。楽しくならん人もいるかもしれないが私はなるので問題ない。
The Axis Unseen、ここがいい
・ストーリーテリング
すぐ上で書きましたように、最初はお供してくれる猫もおらんし勝ってもほめてくれる受付嬢もおらんしお肉も上手に焼かないしで(ミリしら知識)、えっ何ここどうしたらいいの面白いのかこれ?ってなるんですが、少しずつ見えてくるナラティブや、新スキルによって広がる世界でゲーム自体が物語を語る、実に達者な構成になっているのがよい。孤独な上にじんわり不穏でいろいろ心配になってくるナラティブも素晴らしい。ここはマジでとてもよい。さすがベテラン。
・白骨死体芸
ベセスダ時代は白骨死体芸担当だったんですか?ぐらい白骨死体がある。惑星ニルンタムリエル大陸スカイリム地方の巨人とは比べ物にならない巨人がいた設定のため、TESやFOではできない大胆骨エクステリアがあるのも楽しいです。
・敵を倒した時の景気よさ
敵が死ぬ際の血の飛び散り具合が景気よくて好き。そんなことある?ぐらいばしゃー!ってなる。なんかさわやか。
あっあとね、
・UIカッコいい
弓と弓を持つ手に入ったタトゥーがステータスのインジケータになってるのがかっこいい。画像の弓の四角いやつは数字で、オレンジの四角とか点とかがまだ使ってない確定した経験値。青いのが死ぬと落とす新鮮な経験値。あと魔法の種類と残り回数、自分が立ててる音の大きさ、しゃがんでるかしゃがんでないかがわかる。光の使い方上手。
・怪物図鑑
一度倒した怪物は、本拠地に像が立ち、ジャーナルに記録されます。倒すヒントもこの時に書かれるのですが、いやそれもうちょっと早く言ってほしかったなあと思ったりはする。でも楽しいからコンプ欲が刺激されます。
・メタルみ
メタルと銘打っているだけあって、戦闘時や節目に流れるサントラのメタルみカッコいい。とはいえ、敵の足音を聞いたりせねばなりませんのでMetal: Hellsingerみたいにずーっとドカドカ鳴っているわけではありません。戦闘以外はデスペラードを思い出す乾いた感じのギターサウンドが鳴ったり鳴らなかったりする程度。なのでMetal: Hellsingerを期待するとコレジャナイになるから気をつけてね。ところであのゲーム未プレイだけどタンキアンさんのあれカッコいいよね。
・ソロ開発
こう、グラフィック的な点とか後述する残念ポイントで、もう少し予算と人手があったらもう少しパーッとした感じになるのかなあと思うところは正直あります。あるのですが、1人でこの世界を作って1本のゲームに仕上げて自分で多国語展開含む各種手配もパブリッシュもして、その作品がちゃんと自分で物語を語ってくれる力を持っていて、そして極東のすみっこで私が遊んでてちゃんと楽しいっていう事実が、すげえ!と思います。パッチのスピードも1人開発ならではのスピード感だし、パッチノートも丁寧。ユーザーの要望も真摯に受け止めていらっしゃって、いいアイデアには前向きに、譲れないところも丁寧に説明してこれでいくと返答しておられてとてもよいです。
レビューにEAの方がよかったのではって意見があるし、私もそれはわからんでもないんだけど、出さずにクオリティを高める同人誌より勢いがあるうちに出す同人誌の方が尊い論者なので私は正解だと思うよ!
The Axis Unseen、ここが残念
・オープンワールドにありがちなアレ
広いけど探索ポイントが少ないというOWに実によくある問題は感じる。特に回復アイテムとかバフ用アイテムとか金すらもない世界だから、この辺になんかあるんちゃう?からのあったー!という報酬系がなくて少々退屈さがあることは否めない。
・EDもうちょいkwskしてほしかった
まあでも想像力勝負のゲームなんで、ログとかゲーム内に見える変化とか獲得した実績のタイトルなんかを重ね合わせて、こういうことかなあいやこうかもみたいな考察で正解がない感じがいいのかもしれない。
・地図ほしい
多分地図を作らないことがポリシーではないかと思うので、ないならないでがんばるのですけれども、私天才的な方向音痴なのでせめてコンパスだけでもほしい。
・お天気が悪い
7割雨降ってて気分的にどんよりするし、やたらリアルな雷効果音がうるさい。今のところ雨降ったら足跡が消えるとかにおいを追われなくなるとかいうメリットもないそうなのでもう少し晴れ間を増やしてほしい。
・当たり判定の謎さ
この辺のガバさにベセスダみを感じるので信者的には面白いのだが、敵に攻撃されるとそれはそれは景気よく吹っ飛ぶため、もう少し当たり判定がわかりやすいと嬉しい。足が見えるともう少しいいのかな。
後半3件は普通にフィードバックを投げろ案件。お天気はとりあえず要望してみた。気が滅入るんじゃ。とはいえそれぐらいです。グラフィックはそりゃあもっと敵がモフモフせんかなとか何かで磨いたようなピカピカじゃない白骨転がしてくれないかなとか岩壁的なのがもっと風情があるといいよなとかは思いますけど、そこはなんか別にゲームの本質にはあんま関係ねえしなって感じです。
まとめ
・SkyrimとかOblivionでステルス弓ぴちゅプレイが楽しい人向き
・真正面ド近接でもいいけど弓に力入ってる
・規模的に今風の派手さはないが
・ぐっと引き込む吸引力を持ってるよい作品
・今後世界を充実させる予定があるそうなので
・買って応援ダ!
人を選ぶのは選びます。だがプロフにゲームセレクトは偏っているってあらかじめ書いてあるし、記事一覧を見れば私があんまメジャーどころをやらんやつであることはわかるから大丈夫のはずだ。
でかいところが色々な思惑で身動き取れなくなりがちな現在、こういうゲームとこういうゲームを作る人たちを応援したい。がんばれ洋ゲー業界。