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もう事件だから! Harold HALIBUT

日本語字幕完備AVG。そしてXboxはゲーパス対応。

確か2月のNext Fesだったかで見て、なあにこれえ!!!!ってなったやつ。何が事件ってビジュアルが事件。これ書いてる今はまだクリアしてないからストーリーはわかってないけど映像表現が事件。幼少のみぎりから話の話とかAEIOUとかニャッキ!とかナイトメアビフォアクリスマスとかヴィンセントとかmoonとかJam the HousnailとかこまねことかJUNKHEADとかHIDARIとかストップモーションが好きで仕方ないおれがハマらないわけないだろ!!!!すき!!!!!
多分厳密には100%ストップモーションではなく、3Dやその他のデジタル技術をうまいこと混ぜ合わせて作ってはんねやろなと思うのですが、ドールもセットも手作りなのは確か。いや手作りが3Dより尊いとか言っているのではありません。でも3Dでこの質感を出す方がめんどくさいから適材適所かどうかっちゅー話で、これは超適材超適所。しゅーごい。すき。


Harold Halibutはこんなゲーム

遠い昔、絶望的な惑星環境の地球から、移住可能な新天地を探すために1機の宇宙船が飛び立ちました。それから250年後、その宇宙船は遠く離れた銀河の中の水で包まれた惑星に墜落し、乗組員ともども海底の小さな町となって生き延びていました。主人公のハロルド・ハリバットさんは研究者のマロー博士のアシスタント。陸地のある惑星を探すため、この惑星の海底から脱出する方法を研究しています。諸条件を勘案すると、90日の間に打ち上げを成功させなければなりません。
インフラを担って船内を取り仕切る企業オールウォーターと、アクの強い住人たち、そしてなんとなく日々を過ごす夢見がちなハロルドさん。様々な人の人生模様と思惑が入り混じるこの船が、無事に再び宇宙へ飛び立てる日は来るのでしょうか…

こちらがハロルドさん。こういう面長ぽっかり目も私に刺さる。ヴィンセントとか。

全然内容は違うんだけど、Disco Elysiumの匂いがする。いや似てないしたぶん誰も殺されないし犯人もいないしあんなにややこしい話は出てこない。でも無性にDisco Elysiumを思い出すの。多分このおそらく中盤に来てるはずなのにものすごくふんわりしててどこに着地するかわからない、パターンが見えない感じが似ているのかもしれない。つまり斬新ってこと。

Harold Halibut、ここがいい

・ビジュアル
キャラクターの動きが何かストップモーションとは思えない滑らかさと柔らかさでありつつストップモーションらしさもしっかりあって、何だこれ見たことねえという映像になっています。そして人形のお芝居がとてもとてもこまやか。目線の動き、顔の角度、手の動き、あらゆるものが細心の心配りで作られている感じがすごい。
そして照明もナンカスゴイ(語彙力。現実の重みがあるというか、ミニチュアをアナログで撮ったから出る独特の味わいと空気感がある。なにこれ。
そして手書きの絵具感満載のいろいろなアイテムがたまらん味わいを醸し出しており、とにかく何これこんなゲーム見たことないという映像表現です。そして何よりそれがものすごく自然に見えること。一つ一つにかかってる労力半端ねえはずだけどすごくサラリとしている。あるいは、アーティスティックな我々の感性を見てこのアート性エキセントリックでしょほらほらほら的なドヤさ感が全然ないの。ビジュアルからは逸れる話になるけど、いろんなところにちりばめられたメッセージ性も、とても普遍的で穏やかで青臭くなくてそうなるといいよねって自然に思える感じ。全体的に実に抑制が利いていて、お出しされるものを見て脳みそが喜ぶ一方なのです。すごい。忍耐と情熱と知性しか感じない。

ミニチュアだからこそのディテール感
この70年代感あふれるポップでアナログなロゴ
ハロルドさんの味わい100%絵日記
エモ照明エモアングル
静止画では伝わりにくいが目線の先に誰かがいるのがわかるこの感じと間の取り方

・日本語以上にローカライズがいい
まずタイトル画像を見てくれ。それからSteamリンクのサムネと比較してほしい。完全にナラティブ準拠している。

タブレットの16ビット感
多分共通の数字とここまで合わせてくるナラティブ準拠感。タイトルと同じ書体かな
こんなとこ↑↓までいい感じに日本語にしてくれてるゲーム初めて見た。
ポスターとかはさすがにそうなってないけど別にいい。
ネズミ映画とか気持ちはありがたいがその仕上がりは…ってなるし。
クソフォント選定にクソ文字組みされると余計軽んじられている気がしてしまう。

翻訳自体も実によいです。初回英語のままでやることが多いんですが、これはわりと冒頭から馴染みのないアカデミック用語いっぱい出てくるんで日本語めちゃくちゃ助かるし、このローカライズっぷりだからなんもイライラせん。ローカライズオブザイヤー。本当に超ありがたい。多様性ってこういうことだよ。女キャラをぶさいくまな板にすることじゃないよ。
小さいスタジオの初めてのゲームなのに、字幕とはいえ多言語展開してパブリッシャーも自前でやってはる(のもすごい)のに、こんだけできるのすごない?AAAスタジオも見習え。
・ナラティブ
宇宙船の中もなんですが、3章で行くことになる場所とそこに暮らす人々の哲学とかスタイルとかがもうなんか心が洗われるように美しいの、シンプルで。ネタバレになりそうなんで画像は控えますけどもね。気になる人は買っていただいてこれ。
・ストーリー
とにかくすべてがほんのり温かくて美しかった。素晴らしい。GOTY。
でね、そもそもの目的の惑星脱出っていうストーリーもさることながら、その間に丁寧に織り込まれた物語の調和が美しい。突然発生する未知との遭遇とか、思わず声出して笑っちゃうどこか間の抜けた牧歌的なユーモアとか、小さな行き違いのせいでできた綻びがほんわか修復されたりとか、なんか全部美しい。なんかすごい(語彙力。
私が普段うすぼんやり考えているいろんなことと方向性が似ているからかもしれないけど、ああ、そうよね。そうなの。そうなのよ。そうだといいわよねってずっと思いながらプレイしてました。大好きこれ。
・音楽
ほどよくわたくしのツボにぶっ刺さる70年代的サイケロックやミニムーグ楽しかったよね的シンセが実に心地よい。世界観にがっちり合致していてここでも仕事がこまやか。とにかく調和が取れている。

Harold Halibut、ここが残念

あんまりないですね。おつかい多いのは確か。でもハロルドさんは基本エランドボーイ的お仕事であるし、船内そんなに広くないし、ハロルドさん歩いたり走ったり水エレベーターで移動したりしてるの見るの楽しいから苦にならなかった。その合間になんかヌクモリティある感じのイベントが挟まったりするし。反復作業も最小限にする工夫されてたし、全体的にすごくよく考えて作ってあると思いました。
あとは、ちょっとのんびりしてるのと、着地点が見えないのでこれは何のために走り回ってんだっけ…ってなって眠気を誘うのはあるかな。
それと、マウス不要なので右手が手持無沙汰。それぐらい。

まとめ

・目と耳が幸せだから買うといい
・まだこんな見たことない世界あるんだ!!って感動するし
・こんなに情熱と愛情と根気をつぎ込んだの見せてくれてありがとうだし
・なんかわからんけど「おれは今心がしあわせだ」ってなるし
・まあちょっとのんびりペースだから眠たくなることもあるけど
・こういうローカライズ含めた野心的で丁寧なお仕事を
・開発からパブリッシュまで全部自前でやった
・小さなスタジオのデビュー作だから
・買って応援して差し上げてほしい
・ので買うべきである

水も漏らさないような完璧なゲームではないんです。でも科学的要素をうまく取り入れて、めちゃくちゃふんわりしすぎてツッコミどころ満載だけどそれを感じさせないとことか、ここがもうちょっと…と思ってもそれを欠点に感じさせない小さな工夫がある。本当に本当にすべてが丁寧に作られていて、現時点で私にとってGOTY。分岐があったのでもしかしたら途中の展開が少し変わったりはするかもしれない。味わいながらゆっくりゆっくり2周目行きたいと思います。本当にいいゲーム。ありがとうSlow Bros.さん、プレイしてる間ずっとしあわせだったです。

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