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日向探スピンオフ おひさまにほえろ!~としひな刑事~ 第2話「巫女」

夜の日向市を金のレパードが走る。

坂道県警日向警察署刑事課捜査一係の加藤史帆巡査部長と河田陽菜巡査長はパトロールの真っ最中であった。

史帆:パトロトロ~ルパトロ~ル~♪

陽菜:ヘンな歌ですね

史帆:しし作詞作曲、パトロールの歌~。陽菜も一緒に歌お~

陽菜:え、は、はい…

史帆・陽菜:パトロトロ~ル~♪

史帆:どぉ~?

陽菜:なんか楽しくなってきました!

史帆:でしょ~?パトパトロ~ル~♪

ピピピッと無線機が鳴った。

史帆:は~い。こちら日向303~

通信員:至急至急。日向会(ひなあい)町2丁目路上で頭から血を流し倒れている男性がいるとの通報あり。現場に急行して下さい

史帆:りょ~か~い。陽菜行くよ~

陽菜:がってんです

陽菜がアクセルを踏む。

史帆は天井にパトライトを置き、サイレンを鳴らした。

 ※

史帆:お疲れ様で~す

陽菜:お疲れ様ですっ

史帆と陽菜は機捜隊員に声を掛けながら規制テープを潜った。

史帆:ありゃ~。こりゃひどいね~

被害者の額はざっくり割れ、顔面にも殴られたようなアザが出来ていた。

鑑識係の渡邉美穂巡査長が遺体の側に屈む。

美穂:死因はご覧の通り、頭部を殴られたことによる脳挫傷。死亡推定時刻は午後7時から8時の間ってとこですかね。身元を示すものは持っていませんでした

陽菜:今9時だから…殺されてからまだそんなに経ってませんね

史帆:充分逃げる時間はあったと思う~

機捜隊員が事件の目撃者を連れて来た。

目撃者:あたし…犯人の顔見たんです

男同士の揉み合う声や物音が聞こえたのでアパートの窓から様子を伺ったと言う。

史帆:似顔絵作成にご協力下さ~い

陽菜:署までお願いします

美穂が似顔絵を書き上げたのは午後11時を回る頃だった。

史帆:明らかに悪そうな顔~

陽菜:顔面凶器ですね

美穂:確かにVシネ顔だ

久美:どう?似顔絵の出来は?

刑事課長の佐々木久美警部が顔を出した。

史帆:あ、久美~

久美:ボス、でしょ

史帆:はいは~い

久美は似顔絵を手に取り、

久美:こいつは…

陽菜:お知り合いですか?

久美:大沢仁一。拳銃の売人よ。あたしが刑事になりたての頃に取り逃がしたホシだわ

史帆:そうなの~?

 ※

翌日。

美穂:ガイシャの指紋が前科者リストにヒットしました。白木竜太。31歳。拳銃密売の罪で服役し1年前に出所したみたいです

史帆:大沢の仲間だったんじゃな~い?

久美:可能性あるわね

陽菜:仲間割れ殺人でしょうか?

史帆:その線が濃いね~。えらいよ陽菜~

陽菜:えへへ

美穂:ガイシャの胃の中からこんなものが

美穂が証拠品袋を取り出した。

紙切れが入っている。

史帆:なんかのメモ~?

美穂:おそらく

陽菜:なんて書いてあるの?

美穂:胃液のせいで少し掠れてたけど、なんとか判別出来る文字を拾ってみた

<…女フェ… 0…04 …M……30>

久美:これは…日付と時間かしら?

史帆:女フェ…分かった~!熟女フェチ!

美穂:文字数的には合ってますけど…

陽菜:違うと思いますぅ

史帆:え~

陽菜:取引場所と日時かな?

美穂:もしも取引だとしたら…

史帆:普通に考えて拳銃だよね~

久美:女とフェが示すもの…

久美はブラインドを指で押し下げ、

久美:いったい何かしら…

鋭い眼差しを窓外に向けた。

史帆:普通に言いなよ~😗

男がふらっと入って来た。

?:刑事課はこちらかな?

陽菜:そうですけど…?

史帆:どなたですか~?

?:失敬失敬。申し遅れました

男は警察バッジを取り出し、

宮本:県警銃器対策課の宮本です

久美:課長の佐々木です。銃器対策課の方がどうして?

宮本:昨夜殺害された白木竜太ですが、実は私のSだったんです

史帆:え~っ

陽菜:ガイシャが警察のスパイ…?

宮本:白木はうちの課が追っていた銃器密売事件の情報提供者でした。それがバレて殺害された可能性があります。胃の中から発見されたメモを見せてもらえませんか?

美穂:どうぞ!

宮本:なるほど。やはりこれは拳銃取引の場所と時間を私に知らせるメモですな

宮本は証拠品保管袋を手に取った。

宮本:白木が殺害された責任はこちらにあります。合同捜査させてもらえませんか?

久美:人手は多いほど助かります。よろしくお願いします

 ※

翌日。

陽菜は非番だった。

土曜日ということもあって、日向坂探偵局の小坂菜緒と遊ぶ約束をしていた。

菜緒:陽菜ー!おまたせ!

陽菜:やっほー

菜緒:行こか♪

陽菜:うん!

史帆たちは今日も売人殺しの捜査に走り回っていることだろう。

自分だけ休んでていいのかなと今朝はちょっと気になっていたけれど、菜緒と遊んでいる内に忘れてしまった。

ヒナタモールで買い物し、カフェに入った。

陽菜:たくさん買ったねー

菜緒:荷物持ちで◯◯連れて来たかったわ

菜緒はクリームソーダを飲んだ。

陽菜:◯◯くん何してるの?

菜緒:宿題。数学の問題集が終わらんらしくてな。ウチなんか一瞬で終わらせたのに

陽菜:あたしも数学苦手だったなぁ。数学得意なら教えてあげればいいのに

菜緒:あかんあかん。ちゃんと自力でやらな意味ないからこーゆーのは

陽菜:キビシーなぁ

菜緒:助手は甘やかしたらロクなこと無いさかいな。あ、そうそう…

菜緒はポシェットからチラシを取り出した。

菜緒:今度これ行かへん?

陽菜:巫女フェス?

菜緒:巫女のコスプレイベントでな、「退魔巫女まかり通るっ」のブースもあんねん!

「退魔巫女まかり通るっ」は、菜緒と陽菜がハマっているテレビアニメである。

陽菜:へー!面白そー!

菜緒:退魔巫女のコスプレしていこーや!

陽菜:えー。恥ずかしいよぉ///

菜緒:陽菜なら絶対似合うって。衣装はウチが用意するし!

陽菜:んー…いいよ♪

菜緒:やった!確かこの日非番やんな?

陽菜:5月4日…うん。非番だよ…あれ?

陽菜の頭を何かが過ぎる。

陽菜:チラシ見せて?

菜緒:ええで♪

陽菜は目を皿にしてチラシを見た。

この文字の並び、最近見た気が…

陽菜:あー!

菜緒:どしたん陽菜!?

陽菜:菜緒!これは大発見!

菜緒:へ?

 ※

さらに翌日。

久美:メモの意味が分かった?

陽菜:5月4日に日向市立文化ホールで開催される巫女フェスのことだったんです!

史帆:巫女フェス~?

陽菜:はい!

宮本:つまりヤツは、そこの人混みに紛れて取引をするつもりなんですね

久美:時間は午前なのか午後なのか分からないわね。そのイベントは何時から何時まで開催されているの?

陽菜:午前10時から午後7時までです

久美:そう…ならこの手しかないわね…

史帆:どんな手~?

久美:コスプレして潜入し大沢を捕まえる

史帆:やだ~。恥ずかし~

久美:文句言わないの

史帆:ぶ~!

陽菜:その日非番で菜緒とこのイベントに参加することになってたんですけど…

久美:ならちょうどいいじゃない

陽菜:ふぇぇ…お休み無くなりましたぁ…

史帆:巫女の衣装はどうすんの~?

陽菜:それは菜緒にお願いしてみます

陽菜は菜緒が衣装を用意してくれることになっていることを話した。

久美:ますますちょうどいい。筋トレの分も頼んでおいて。経費はこっち持ちで構わない

陽菜:ボス、太っ腹です!

宮本:私も巫女のコスプレするんですか!?

久美:そんなわけないじゃないですか。宮本さんは巫女好きのオタクに変装お願いします

宮本:分かりました

 ※

5月4日。

世間はゴールデンウィーク真っ盛り。

日向市立文化ホールの前に長い長い行列が出来ていた。

巫女のコスプレをした女の子や、一眼レフカメラを首から下げた男たちがわくわくした表情で並んでいる。

その列には宮本刑事をはじめ、何人かの捜査員の姿があった。

オタク風の扮装をして溶け込んでいるが、その目は油断無く周囲に向けられている。

大沢がいるかもしれないからだ。

文化ホールの防災センターには史帆、陽菜、久美が待機していた。

会場内は防災センターでモニター出来る。

史帆:なんでとしちゃんがこんなカッコしなきゃいけないの~

久美:文句言わない

陽菜:めっちゃ似合っててかわいいです

史帆:そ~お?ならいいけどさ~

史帆と陽菜は菜緒が用意してくれた巫女衣装を身に着けている。

史帆は普通の巫女姿だが、陽菜は「退魔巫女まかり通るっ」仕様のため、二の腕や太ももなどが露出していて少少際どい。

久美はいつものスーツ姿だ。

陽菜:ボスも着れば良かったのに

久美:ここから指揮するから必要無いわ

史帆:さすがに巫女コスは久美には年齢的にキツいよね~

久美:そうそう…って失礼ね!

史帆:すんまそ~ん

館内アナウンスが流れ、入場が始まった。

久美:来場者数約7000人か…

陽菜:めっちゃ多いですね

史帆:この中から大沢見つけなきゃいけないのか~。骨折れそ~

久美:張り切っていくわよ!

史帆・陽菜:お~!

史帆と陽菜は会場に繰り出した。

 ※

溢れる人・人・人!

巫女フェスは大盛況である。

張り込みをしようとしたふたりだが、

オタク1:かわいい!ポーズお願いします!

オタク2:退魔巫女さん!目線下さい!

オタクたちに取り囲まれてしまった。

パシャパシャッ📸

史帆:かわいいって罪ね~

陽菜:き、際どいポーズはNGですぅ///

パシャパシャッ📸

史帆:なんか楽しくなって来た~

陽菜:た、谷間見えちゃいますぅ///

ふたりは求められるままノリノリでポーズをキメている。

菜緒:陽菜ー!かわいいでー!

パシャパシャッ📸

陽菜:菜緒も撮るのぉ?

菜緒:せっかくやからな!

菜緒には事前に今日の目的を伝えていたが、

菜緒:探偵はそんなことでビビらへん!むしろ危険へ飛び込んでいくもんや!

と言って結局会場に来てしまっていた。

陽菜:◯◯くんは?

菜緒:仕事押しつけて置いて来た♪

陽菜:ヒドい局長さんだなぁ

菜緒:こーゆー時に局長権限使わなな♪

陽菜:(小声)銃撃戦になるかもしれないから気をつけてね

菜緒:そーゆー時は逃げるから安心して♪

久美🎙:何やってんのよアンタたち!

史帆:ししの魅力がオタクを引き寄せてしまったみたい~

久美🎙:さっきまでコスプレ嫌がってたヤツの言葉とは思えないわね…

陽菜:周りはちゃんと見てますので!

久美🎙:しっかり頼むわよ

カメ小の群れの中にいた宮本が目線で合図を送っていることに気づいたふたりは、ポーズを取りつつ目線の先を追いかける。

この場には似つかわしくない強面の男。

陽菜:大沢ですぅ

史帆:早速現れたね~

史帆は時計を見た。

午前11時30分。

陽菜:メモはこの時間を示したんですね

大沢はアタッシェケースを持っている。

久美🎙:こちらも確認した。追って

史帆:あいあいさ~

宮本が頷き、カメ小の群れをそっと離れる。

史帆:はいは~い。もぉおしまいで~す

カメ小たち:えーっ

陽菜:言うこと聞かない人は…あたしが全力で退魔しちゃうかんなー///

カメ小たち:はーい!

カメ小の群れから離れる。

史帆:今の何~?

陽菜:「退魔巫女まかり通るっ」の主人公の決めゼリフなんですぅ///

史帆:振り切っててえらいよ陽菜~。かわいかったしね~

陽菜:えへへ

ふたりは大沢を尾行し始める。

10メートルほど離れたところから近づいて来るスキンヘッドの、これまたこの場に似つかわしくない鋭い目つきの男。

陽菜:(小声)取引相手ですかね?

史帆:(小声)源じゃ~ん

陽菜:(小声)源?

史帆:(小声)金星会の若頭補佐~

金星会とは日向市に拠点を置く暴力団で、史帆はその壊滅に執念を燃やしているのだ。

史帆:(小声)金星会が絡んでたとは~

史帆の目が真剣味を帯びる。

陽菜:(小声)史帆さん。ここは冷静に…

宮本🎙:金星会が密輸した拳銃を大沢が捌いていたという構図がしっくり来ますな

久美🎙:ふたりが取引した瞬間を押さえて

陽菜:了解です

隣の史帆を伺うと源を睨みつけている。

史帆:じ~…

陽菜:口から効果音出てます

史帆:じ~…

陽菜:全然聞いてないですぅ…

金星会が絡むと史帆は途端に暴走する。

大丈夫かなと陽菜は内心ヒヤヒヤした。

大沢と源が接触し、共に歩き出す。

史帆、陽菜、宮本が追い始めたその時…

パンッ!

会場に突如響き渡った破裂音。

史帆と陽菜は咄嗟に拳銃を抜き、音のした方向へ銃口を向けた。

巫女カフェのブースでクラッカーが鳴らされただけのようだった。

史帆:な~んだ~

陽菜:驚かさないで下さいよぉ

ふたりは大沢と源に目を向けた。

史帆・陽菜:あ…

彼らも音のした方へ銃を抜いていた。

両者、気を張っていたからだろう。

視線がかち合う。

彼らは彼女らの持つ拳銃に驚いていた。

彼女らは彼らの持つ拳銃に驚いていた。

宮本が額に手を当て、あちゃーと項垂れる。

一瞬の間が空いた後、彼らは走り出した。

史帆・陽菜:やばっ

ふたりも走って追う。

銃を持つ4人を見て周囲から悲鳴が上がる。

史帆:警察だ~!止まりなさ~い!

大沢たちは逆に速度を上げた。

史帆:これで止まりゃ世話無いか~

オタク3:巫女と銃…萌えーオメガ萌えー!

オタク4:退魔巫女しゃんエロかわちぃ!

史帆:どいたどいた~

陽菜:退魔しちゃうかんなーっ///

オタクたち:萌え~!!!

オタクの群れを掻い潜り、

陽菜:史帆さん!裏回ります!

史帆:頼んだ~!

宮本もニューナンブ・サクラモデルを抜いて大沢たちを追い掛け始めた。

防災センターの久美は机をドンッと叩き、

久美:まったくもぉ!何やってんの!

マイクに向かって吠えるとイヤホンを外し、防災センターを飛び出して行った。

久美:大沢め…今度こそ逃さないんだから!

 ※

搬入口から外へ飛び出そうとした大沢と源だったが、先回りしていた陽菜がコルト・パイソンを構えて立ち塞がった。

威嚇射撃すると、大沢と源が拳銃を取り出し発砲する。

陽菜:ひぇっ

避けながら撃ち返す。

史帆:この~っ

史帆も物陰からS&W・44マグナム・ししカスタムを撃ちまくる。

宮本:はぁはぁ…運動不足だな…はぁはぁ…

膝に手をつき息を整えていると、

宮本:うわっと!

近くに着弾し慌てて隠れ、サクラを撃つ。

搬入口で激しい銃撃戦が始まった。

大沢や源の弾丸がパレットの山を抉る。

史帆、陽菜、宮本も負けじと撃ちまくる。

史帆:ちきしょ~!

史帆が撃ちながら距離を詰めていく。

史帆:源~!

源:お前加藤か!殺してやるぜ!

源がトカレフを連射する。

史帆:くぅ~!

物陰に隠れて弾を込める。

史帆:ししもオートマチックに変えよかな~

陽菜:史帆さん!援護します!

陽菜がパイソンで大沢たちを牽制する。

史帆:陽菜~ナイスアシスト~

史帆が引き金を引く。

源:うわっ

怯んだ源の拳銃を撃ち飛ばした。

その隙に大沢がアタッシェケースを持って逃げ出す。

陽菜:あ!

史帆:追って~!

陽菜:ガッテンです!

宮本:私も!

陽菜と宮本が走り出す。

史帆が源を取り押さえた。

史帆:午後0時17分、確保~!

源:イテーよ、くそっ!

史帆:静かにしなベイビ~!

地面に押さえつけた源の頭部に44マグナムを突きつけて撃鉄を下ろした。

源:は、はい…

源の顔が恐怖に引き攣る。

 ※

大沢がアタッシェケースを抱えて走る。

陽菜:逃げ足早いよ~

宮本:はぁ…はぁ…待てぇ…はぁ…はぁ…

宮本はバテバテだ。

これなら逃げ切れる。

大沢がそう思った時、

久美:待ちなさい!

立ちはだかった久美がS&W・M36・チーフスペシャルを発砲した。

大沢:イテッ!

弾丸が太ももをかすり、盛大に転ぶ。

久美がのたうち回る大沢に手錠を掛けた。

大沢:ちくしょう!ってかお前は…!

久美:ゴニョゴニョ年ぶりね大沢

大沢:捕まっちまうなんて…くそ!

陽菜:何年ぶりか聞き取れなかったですぅ

久美:それ言うと年齢バレちゃうでしょ!

陽菜:ごめんなさーい

宮本:大沢ぁ!

宮本が大沢の胸倉を掴む。

宮本:よくも白木をぉ!

陽菜:ひぇぇ…宮本さん!?

久美:普段温厚な人がキレるとあぶないのよ

大沢:白木が俺を裏切ったのがいけねぇ!そそのかしたお前のせいなんだよ!

宮本:貴様ぁっ!

陽菜:宮本さん落ち着いて下さい!

大沢:こいつ止めてくれよ刑事さん!

久美:宮本さん!

宮本:一発殴らんと気が済まんのです!

久美:まぁ一発だけなら…

大沢:いやだめだろ!

ドガッ!

大沢:うごっ!

宮本:すっきりしました

宮本は爽快な笑顔を浮かべた。

陽菜:今のコンプラ的にやばいんじゃ?

久美:別に大丈夫でしょ

宮本:ところで佐々木課長。威嚇射撃無しで撃つのは規定に違反しているのでは?

陽菜:自分のこと棚に上げてません?

久美が天井に向けて1発発砲。

陽菜:わっ!

久美:これで弾の勘定は合うでしょ?

陽菜:そんな無茶な…

宮本:それで大丈夫ですな。あはははっ

久美:そうですよ。あはははっ

陽菜:ふたりがいちばんあぶないんじゃ…

陽菜は高笑いするふたりを見比べて引き攣った笑みを浮かべたのだった。

 ※

翌日。

大沢と源の取り調べが行われていた。

大沢の取り調べは陽菜と宮本が、源は史帆がひとりで担当している。

大沢は観念したのか素直に自供しているが源はどうかと言うと…

史帆:吐きやがれこんちくしょ~!

源:お、落ち着けよ!

ドンガラガッシャーン!

史帆:ナマ言ってんじゃねぇよ~!

ドンガラガラガラガッシャーンッ!

源:ひぇぇぇっ!

源は史帆の強引な取り調べですっかり怯えてしまい、金星会が絡んだ拳銃売買のルートを洗いざらい白状したのだった。

陽菜:コンプラ的にやばいですよ史帆さん

史帆:あれくらいだいじょぶだいじょぶ~

久美:あんたは金星会絡むと熱くなり過ぎるからほどほどにしなさいよね

史帆:だって久美~

久美:ボスと呼びなさいって

史帆:ほいほ~い

宮本が県警に戻ることになり挨拶に来た。

宮本:今回はありがとうございました。白木もあの世でよろこんでると思います

久美:宮本さんのご協力があったからこそふたりを逮捕出来ました。こちらこそ、ありがとうございました

宮本が去った後、

史帆:じゃあ金星会の拳銃密売ルート摘発しにいくぜベイビ~!

陽菜:全員逮捕しちゃうかんなー!

 ※

金星会の密売ルートを摘発した数日後。

刑事課に陽菜を訪ねて来たのは…

陽菜:「退魔巫女まかり通るっ」のプロデューサーさんとキャラデザさんですか!?

プロデューサー:この度「退魔巫女まかり通るっ」のシーズン2への更新が決まったのですが、巫女フェスでの河田刑事のご活躍を拝見しシーズン2は「退魔巫女 刑事編」としてやっていくことになりました

陽菜:えー!!!

巫女フェスでの銃撃戦は、カメ小によって撮影された映像がネットにアップされ、世間で話題となっていた。

特に退魔巫女オタク界隈では、「爆乳退魔巫女刑事」として陽菜が話題になっており、陽菜としては嬉し恥ずかしであった。

キャラデザ:つきましては主人公のデザインに河田刑事の要素を取り入れさせて頂きたくご相談に伺いました

陽菜:ほほほんとですかぁ!?!?!?

ファンとして、なんて光栄なことか。

陽菜:で、でもあたし…恥ずかしいですぅ

久美:いいじゃないの!やらせてもらいなよコソ泥!タイトルも「熱中時代 刑事編」みたいだしさ!警察の広報にもなるし!

一緒に話を聞いていた久美が陽菜の背中をドンと叩く。

プロデューサー:もちろんです!

ニヤニヤ顔のプロデューサー。

陽菜:わ、分かりました…お願いしますぅ

こうして陽菜をモデルした「退魔巫女」の新シリーズが始まることになった。

 to be continued…

 ※

~次回予告~

美穂:お・ひ・さ・ま・に・ほ・え・ろ・!

陽菜:今回も大活躍だったねぇ

史帆:次は陽菜が大変な目に遭っちゃうよ~

陽菜:ふぇぇ…やですぅぅ

美穂:次はもっと出番あるといいなぁ…

陽菜:陽菜の心配してよぉ

史帆:次回、おひさまにほえろ!

陽菜:「運勢」🥺

美穂:お楽しみにー!

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