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事件です!×日向坂探偵局 EP4「闇を照らす大捜査線」

◯◯が休憩室に戻って来ると、小池たちが落ち込んでいた。

小池:どうしましょ土田さん

土田:どうしましょったって、証拠持っていかれちゃあ手も足も…

菜緒:ご安心下さい

菜緒が若干のドヤ顔で、

菜緒:こんなこともあろうかと手帳の写真撮っといて良かったです

ポケットからスティック型の小型カメラを取り出した。

土田:いつの間に…

菜緒:さっきは古野管理官の手前落胆したフリしましたけど、関係ありそうなページはここにバッチリ記録してあります

◯◯:菜緒、ナイス!

菜緒:これくらい探偵として当然やわ♪

小池:これで引き続き捜査出来る。ありがとう菜緒ちゃん

菜緒:どういたしまして♪

ニッコリ微笑む。

カメラをパソコンに繋ぎ、画像データを取り込む。

小池:どれどれ…

小池がマウスを操作し、写真を開いていく。

一同、モニターに顔を寄せ合う。

土田:なになに…「横領の裏、警視庁幹部関与?」か…

菜緒:これ、気になります。「4/2 幹部ほにゃらら直当り」。昨日の日付です

小池:ほんとだ

◯◯:横領に係っている人物に直接取材しようとしてたってことかな?

菜緒:六本木でその人物と待ち合わせしてた可能性あるな

◯◯:なるほど

小池:イニシャルだろうけど読みづらいな…

◯◯:W?M…いやHでしょうか?

土田:仮にXとして、◯◯くんたちが見失った後に被害者はXと会ったのかもね

小池:そして、殺された…?

菜緒:あの時見失ってさえおらんかったら…

菜緒が悔しさに歯噛みする。

小池:起きてしまったことは仕方無い。これからどうするかだよ

菜緒:はい!

◯◯:屋上にいた男がX?

菜緒:まず間違い無いやろ

土田:周辺の防犯カメラ片っ端からチェックして回るしかないな

小池:小林さんにも手伝ってもらいましょ

小林:誰に手伝ってもらうって?

小林刑事がコーヒーを入れるため休憩室にやって来た。

小池:ちょうど良かった。お願いします

小林:こっちはさっき捕まった下着泥の取調べで手一杯よ

小池:じゃあそれが終わってからでいいので…お願いします!

深々と頭を下げる小池。

小林:しょうがないなぁ…今度奢ってよ?

小池:分かりました

小林:評判のフレンチ予約しとくから

小池:そこって安いですか?

小林:高いに決まってんじゃん

小池:ですよね…

小池は肩を落とした。

小林:張り切って取調べすっかな

小林が休憩室を出ていく。

菜緒:小林さんと仲ええですね

小池:そう?

菜緒:付き合ったりしないんですか?

小池:大人をからかうんじゃありません!

小池の顔は真っ赤だ。

菜緒:はーい

菜緒はいたずらっぽく笑った。

◯◯:急がないと、防犯カメラ映像も古野管理官たちに押さえられるかもしれません

土田:そうだな。行くぞ!

一同:はい!

4人は櫻坂署を飛び出した。

 ※

取調べを秒で終わらせた小林も合流し、事件現場周辺に設置されている防犯カメラ映像を集めて回ろうとしたが、

小池:渡した!?

コンビニ店員:はい。2時間ほど前に来た刑事さんに全部…

土田が入ったカフェでも、

カフェ店員:刑事さんに全部お渡ししました

土田:ここもか…

菜緒と◯◯が訪ねたマンションでも、

大家:入口の防犯カメラ?それなら全部警察に渡したわよ

菜緒・◯◯:やっぱり…

路上の防犯カメラ映像も、

自治体職員:SDカード?渡しましたよ刑事さんに

小林:そうですか…

事件現場近くに集合した。

奇しくも事件が起きた時間帯である。

一同:はぁ…

小池:全然ダメでしたね

菜緒:先手を打たれてしまいました

◯◯:どうします?

土田:Xの顔が分かんねぇからどうしようもない

小林:徒労に終わっても奢ってもらうからね

小池:分かってますよ…

小池がふと視線を向けた先に、

小池:あれは…

見覚えのあるミニパトが止まっていた。

菜緒:そう言えば昨日も同じとこにいました

小池:ほんと?じゃあ…!

何か思いついた小池が駆け寄ると、車内の松田巡査と田村巡査が肉まんを慌てて隠す。

小池:こら。何サボってんの

里奈:サボってないですよぉ

保乃:交通違反の監視してるんですぅ

小池:肉まん食べながら?

里奈・保乃:食べてません!

小池:ふたりとも口元についてるよ

里奈・保乃:え!

咄嗟に拭う。

小池:食ってんじゃん

里奈:むぅ

保乃:もしかして記者殺しの捜査ですか?

小池:まぁね

里奈:管理官に手出し無用って言われたんでしょ?

小池:内緒だぜ?

保乃:勝手にやって、いーけねんだーいけねんだー

小池:小学生かよ

菜緒たちもやって来る。

◯◯:あ!今朝のミニスカポリス!でも背の低くてかわいらしい人はいないな…

菜緒:キモ…マジで引くわ

◯◯:冗談だって…

小池:そんなことよりさ、昨日も同じ時間帯にここ止まってたんだって?

里奈:そうですけど…

小池:こいつの映像、ある?

小池はドライブレコーダーを指差した。

保乃:署のパソコンに保存してあります

小池:やった

土田:なるほどな

納得した土田が頷く。

小池:もしかしたらXが映ってるかもしれません

菜緒:さすがです小池さん!

◯◯:あれにも何か映ってませんかね?

◯◯は信号待ちしているデリバリーサービスのバイクを指差した。

ヘルメットにカメラが装着されている。

◯◯:この地区を担当している人なら、昨日もここら辺を通っている可能性あるんじゃ?

ちょうど信号が青に変わる。

小林:そこのバイク待ってー!

小林が警察手帳を掲げながら走る。

菜緒:ええ着眼点やん!◯◯にしては上出来やな

◯◯:ありがと

バイクの運転手を伴って小林が戻って来る。

バイク運転手:俺なんかしましたか?

小林:そうじゃなくて。昨日も配達してました?

バイク運転手:ええ…

小林:この地区を?

バイク運転手:はい。担当なんで…

小林:カメラの映像、見れますかね?

バイク運転手:営業所に行けば…

小林:分かりました。ご協力ありがとうございます

手分けをすることになった。

小林と土田が各種デリバリーサービスの営業所を回り、映像を掻き集める。

今話を聞いた会社以外にもデリバリーサービスはあるため、それらを片っ端から当たるのだ。

土田:澤部課長には俺から言っとくから、お前らも手伝え

里奈・保乃:え~!

小林:え~じゃねぇよ

里奈・保乃:はーい…

◯◯:あのぉ、僕もお供しても…?

菜緒:あんたはこっち。手帳に手がかり無いかもういっぺん調べるんや

◯◯:マジか

菜緒:ミニスカポリスと一緒に行こうって魂胆見え透いてるで!

◯◯:すみません…

菜緒:ほんま猿やな

◯◯:健全な思春期男子です

菜緒:あほか

小池の役目は交通課が保存しているドライブレコーダーの映像の確認だ。

土田:集めた映像から手がかり得られなかったら万事休すだな

小林:調べる前からそんなこと言わないで下さいよ

小池:そうなったら最後の手段があります

菜緒:なんですか?

小池:手帳の内容をマスコミにリークするんだ

菜緒:それええですね!

土田:あてあんのか?

小池:妹に流します

小林:そっか。その手があったか!

◯◯:妹さんがマスコミ関係なんですか?

小池:雑誌の記者をしているんだ

菜緒:切り札としてとっときましょ♪

菜緒がポケットにある小型カメラを叩いた。

小池:身内を探るのは気が重いですが、闇に光、当てましょう。では皆さん。所轄…

菜緒:…と、探偵!

小池:…の意地、見せてやりましょう

一同:おー!

 ※

署に戻った小池がドライブレコーダーの映像を確認していると、

小林:ただいま~

土田と小林が戻って来た。

小池:ずいぶん早かったですね!

土田:交通課のあほコンビが飛ばしてくれたからな。おかげで腰痛ぇよ

小池:あはは

小林:収穫は?

小池:まだ何も…

土田:古野が邪魔しに来る前になんとかしよう

小池・小林:はい!

3人は目を皿のようにして映像を見始める。

小池:くそ。映ってないか…

ドライブレコーダーの映像に黒のスプリングコートを着た人物はいなかった。

小林たちが集めて来た映像のひとつを再生する。

時計の針の音だけが響く。

小池:ん?

小池は気になるものを見つけ、カーソルを巻き戻す。

小池:こいつは…

 ※

菜緒:もう手帳の方には手がかりなさそうやな

◯◯:だね…

時計を見ると午後9時を回っている。

菜緒:小池さん手伝いに行こか?

◯◯:おう

立ち上がりかけた◯◯のスマホが震える。

◯◯:お。愛萌さんからだ。もしもし

愛萌📱:お疲れ様です。例の件、上手くいきましたよ❤️

◯◯:ほんとですか!

スピーカーに切り替える。

愛萌📱:はい。その人、警務部長さんなんですけど、しこたま酔わせて聞き出しましたよ~❤️お酒だけじゃなく、あたしの魅力にも酔ってしまわれてましたけどね❤️

菜緒:さすが愛萌や。ほんでどやったん?

愛萌📱:坂道県警本部長の横領事件だけど、それは氷山の一角でしかないの。実は坂道県警、警視庁、警察庁の一部の偉い人たちが画策した多額の横領の仕組みの一端で、坂道県警本部長はトカゲの尻尾切りにされちゃったらしいわ

菜緒:そういうことやったんか…

菜緒が顎に手を当てる。

◯◯:自分たちも関わっているから、躍起になって隠そうとしているわけだね

菜緒:人の命まで奪ってな…

菜緒の瞳が怒りに揺れる。

愛萌📱:警視庁にいる仲間の名前、聞き出しましたよ

菜緒:誰!?

愛萌📱:その人の名前は…

 ※

小池:分かりましたよ、犯人 

土田:なんだって!

土田と小林がモニターを覗く。

小池:これ…

小池が指差した人物が事件現場となったビルへ向かい、横断歩道を渡っていく姿が映っている。

土田:マジか…

小林:許せない

小池:行きましょう!

小池たちが部屋を出ると菜緒たちも隣の部屋から出て来たところだった。

菜緒:小池さん!

小池:菜緒ちゃんたちも分かったんだね、犯人が

菜緒:じゃあ小池さんも?

小池は頷いた。

 ※

古野:捜査会議を終了する。一同、解散

三々五々、会議室から捜査員が出ていく。

その流れに逆らうように、小池たちが歩いていく。

帰り支度を始めた古野に、

小池:古野管理官

古野:所轄捜査員は立入禁止と言ったはずだが?

小池:この事件の犯人は、古野管理官、あなたです

古野:何を言い出すのかと思えば…証拠はあるのか?

菜緒:あります

小池:現場近くで配達していたデリバリーサービスのカメラに、あなたが現場に向かう様子がばっちり映ってました

菜緒:あなたが持ち去った手帳の中身も、このカメラの中に入ってます

菜緒はポケットを軽く叩いた。

◯◯:「証拠はあるのか?」って訊く人はだいたい犯人です

古野:なんだ君たちは?

菜緒:小坂菜緒。探偵です

◯◯:佐々木◯◯。探偵助手です

菜緒:助手ってのはあんまりキマらんな

◯◯:うっさい

小池:組織ぐるみの横領事件を嗅ぎつけられ記事にされる前に始末した。違いますか?

古野:だったらどうするんだ?

土田:逮捕するに決まってるだろ

小林:もう逃げられないわ

古野:どうかな?

素早く動いた古野。

小池:あ!

咄嗟に反応出来ず、

菜緒:きゃあっ!

羽交い絞めにされた菜緒のこめかみに銃口が向けられる。

古野:証拠を全て消去しろ。でないとこの娘の命は無い!

◯◯:菜緒!

駆け寄ろうとする◯◯の足元に古野が発砲する。

銃声が会議室に響き渡った。

 to be continued…

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