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水溶スペシャル 齋藤飛鳥探検隊~恐怖!アフリカの奥地に謎の怪巨獣モケーレ・ムベンベは実在した!~

アフリカの奥地。

熱帯雨林が生い茂るその地に古より言い伝えられている巨獣の伝説がある。

巨獣の名はモケーレ・ムベンベ。

その姿は絶滅したはずの恐竜、ブラキオサウルスなどの竜脚類そっくりであると目撃者は口を揃えて言う。

果たしてモケーレ・ムベンベは太古の生物の生き残りなのか?

そんな巨獣が現代に存在するのか?

古くから原住民の間に伝わる伝説の正体を探るため、3人の探検隊が人跡未踏のジャングルへ足を踏み入れた。

隊長、齋藤飛鳥。

隊員、梅澤美波。

同じく隊員、山下美月。

皆は彼女たちをこう呼ぶ。

齋藤飛鳥探検隊、と…

 ※

熱帯のジリジリした陽が照りつける中、3人のうら若き乙女たちが伝説の正体を求めてジャングルに分け入って行く。

その行く手を阻むように生い茂った草木。

大自然が人類の侵入を拒んでいるようにさえ思えてくる。

飛鳥:全然手入れ行き届いてねぇじゃん

隊長の飛鳥が鉈で邪魔な葉や枝を切り落としていく。

梅澤:手入れされてるわけないでしょ、誰かん家の庭じゃないんですから

山下:きゃぁっ!虫っ虫っ!

山下の頭上を飛び交う幾匹もの小さな虫!

その先へは行くなという警告なのか?

飛鳥:単なる羽虫じゃねーか。リアクション大袈裟すぎ

山下:だって虫苦手なんですもーん

梅澤:虫除け吹っときな

山下:ありがとう梅ぇ

飛鳥:ほら、さっさと進むぞ…きゃぁぁ!

梅澤:あっ、ヘビだ!

突如、コブラが樹上より3人を襲撃した。

大自然の猛威に戦慄を禁じえない!

飛鳥:ヘビっヘビっ!

梅澤:こりゃヘビーだ

飛鳥:言ってる場合か!なんとかしろ!

梅澤:そんなこと言ったって!

山下:なーんだコブラか

山下は容易くコブラの尻尾を掴むとぽーんと向こうの草むらへ投げてしまった。

梅澤:美月すごい!

梅澤が拍手した。

山下:尻尾から落ちて来るなんてやる気の無いコブラだね

飛鳥:羽虫にびびってたやつが毒ヘビはへーきなのかよ

山下:リアクション大袈裟すぎです飛鳥さん

飛鳥:お前がリアクションしなさすぎだ!

山下:だって平気なんですもーん。飛鳥さんって結構怖がりですか?

飛鳥:むむぅ…ほらさっさと行くぞ!

梅澤:誤魔化した

 ※

飛鳥:うぉぉ…

3人の目の前にそそり立つ岩場が現れた。

自然の創り出した見事な造形だが、それはまさしく壁そのものであった。

だかしかし、ここを越えなければ目的地に辿り着くことは出来ない。

この探検第一の難所である。

3人は岩場を登り始めた。

山下:ちょっと飛鳥さん待って下さいよぉ~

飛鳥:早くしないと置いてくぞ。ってか隊長って呼べ

梅澤:美月大丈夫?

梅澤は山下に手を差し伸べた。

なんとか3人は無事に岩場を登りきった。

岩場の頂上からはどこまでも果てしなく続くジャングルを見渡すことが出来た。

この先に待ち構えるものは何か?

一行の胸に期待と不安が広がる。

山下:ふぅ~。ありがと。優しいね梅は

飛鳥:あたしも優しいだろ!

飛鳥はぷんすか怒った。

山下:何怒ってるんですか。飛鳥さんが優しくないなんてこれっぽっちも言ってませんよ

梅澤:自意識過剰ですよ。ほら、これ持って下さい

飛鳥:あ、うん…って、あたしは隊長だぞ!荷物なんか持たすな!

梅澤:今の御時世、隊員にばかり荷物持たせて良いと?

飛鳥:むむぅ…

山下:飛鳥さんは優しいんですもんね?

飛鳥:むむむぅ…

隊員の舌鋒が隊長を襲う。

これはもしや世代交代の始まりなのか!?

飛鳥:そんなナレーションいらん!

飛鳥隊長よ永遠なれ!

飛鳥:それでよし。飛鳥ちゃんは隊長だから荷物なんて持たないのだ!

山下:語尾がバカボンのパパになってますよ

梅澤:持ってくれたらいちごミルク味のアメあげます

飛鳥:そ、そんなんでつられないからな!

 ※

岩場を下りた一行は尚も進む。

天宙にあった陽が傾き始めた。

今夜の宿営ポイントはまだ先。

3人の足は早まった。

飛鳥:待てよお前ら~

飛鳥はいちごミルク味のアメを舐めながら背中の荷物を背負い直し、よたよたと歩みを進めている。

山下:しっかり歩いて下さい飛鳥さん

飛鳥:荷物持ってんだこっちは~。ってか隊長と呼べって何回言わせんだよ

山下:あたしらだって荷物持ってますもーん

梅澤:ほら、頑張って下さい。いちごミルクのアメあげたでしょ?

飛鳥:アメと荷物じゃ釣り合ってねーよ

山下:あーっ!

山下が大声を上げて立ち止まった。

飛鳥:どうした?また羽虫か?

山下:違いますよ、足跡です足跡!

飛鳥:なんだって!

飛鳥は今までの足取りが嘘のように軽やかなステップで山下に近づいた。

山下:これ!

山下が指さした辺りの泥が抉れている。

飛鳥:モケーレ・ムベンベの足跡だ!

梅澤:象とかでは?

飛鳥:いーや、モケーレ・ムベンベだ!象の3倍くらいあるぞ

山下:この足跡、まだ新しいですね

足跡がある辺りはぬかるみになっており、よく見るとあと2、3個は足跡が残っていた。

梅澤:まだこの辺にいるのかも…

飛鳥:こりゃ面白くなってきゃがった

飛鳥は顎を撫でた。

一行はついにモケーレ・ムベンベの存在を確信するに至った。

伝説の巨獣は彼女たちのすぐ近くにいる…!

その正体や如何に!?

 ※

次週!

モケーレ・ムベンベを追う一行の前に立ちはだかる危機また危機!

荒れ狂うマントヒヒの群れ!

洞穴に待つサソリ!サソリ!サソリ!

迷い込んだ洞窟にオオコウモリの王国!

足を踏み入れた阿鼻叫喚の泥沼地獄!

そして、ついに…

梅澤:ま、まさか!

山下:飛鳥さん、あれ!

飛鳥:だから隊長と呼べって…ぬあーっ!

乞うご期待!

注:この予告はフェイクです。

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