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衝撃を受けた脱北者の手記、5選

我が家の本棚にあるかなりの数の北朝鮮関連本から選んでみた。

1.川崎栄子さん著『日本から北に帰った人の物語』と『暗闇のトンネル』

はじめて読んだ日本在住の脱北者の手記が、川崎栄子さんの本でした。
脱北して日本に着いてすぐにパソコンを買って執筆されたという『日本から北に帰った人の物語』は、あとの『暗闇のトンネル』よりかなり前に出版された本です。(現在は中古書籍のみで回っているようです。)

ペンネームでの出版となっていますが、川崎栄子さんの著書ということは既に公開されています。

帰国事業で日本から北へ「帰った」在日コリアンが、北朝鮮の地に足を踏み入れた瞬間からいかに悲惨な人生を送ったのか、生々しく描かれている。

名前や地名以外、すべてほぼ実話という川崎さんの言葉に鳥肌が立った。北朝鮮社会の匂いや灰色の空気感まで伝わってくる内容で、あの国の残酷な現実を類似体験するような感覚で読んだ。

それから電子書籍で出版された『暗闇のトンネル』はあっという間に読んだ。あの国を都合のいいように美化したり、信じたいように空想している人たちに是非、読んでほしい。手を伸ばせば、すぐに現実を確かめられるのに、見ようとしない人たちがまだいる。

2. 斎藤博子さん著『北朝鮮に嫁いで四十年 ‐ある脱北日本人妻の手記‐』

直接お目にかかって取材させて頂いたこともある斎藤博子さんの著書。
在日朝鮮人夫と子供を連れて帰国船に乗られた方。
お気の毒という言葉などでは言い表せない悲惨な現実を静かに記録されている。

帰国事業の熱気の中、どのような状況で船に乗り、言葉も通じない冷たい国に閉じ込められ、途方に暮れて原始時代のような生活に耐えたのか、具体的な描写を通じて一緒にその世界に入り込むことができる。

そして自分は本から目を離せば、そこからすぐに抜け出せるということに、心底感謝する。

川崎栄子さんは高校生の頃、斎藤博子さんは成人してから北朝鮮に渡った方なので、北朝鮮を見つめる視線が分かりやすく共感しやすい。日本で生まれ育った人が、あの国で生き残るには並大抵の精神力では無理だったろう。
お二人が今、日本で暮らしていらっしゃることは奇跡だと思う。どうか、お元気に心穏やかな日々を過ごしてほしいと願う。(残してきた家族を思うとそうはいかない現実だろうが…)

3.パク ヨンミさん著『生きるための選択』

現在アメリカ在住の人権活動家、パク ヨンミさん。
YouTube等でも盛んに発信しており、世界的に有名な方。
彼女が伝統韓服で自らの経験を英語でスピーチした涙の動画は有名です。
ほとんどの脱北者が北朝鮮北部の中国との国境地帯出身だが、彼女もそう。いかに川を越えて中国へ渡り、人身売買の被害に遭い、韓国に辿り着くまでの長く厳しい道のりを経るのか、典型的ともいえる脱北過程が理解できる。
彼女の勇気ある行動を応援し続けたい。

4.金革(キム ヒョク)著、『自由を盗んだ少年』

コッチェビ出身で、韓国で博士課程を修了した方。何度か話す機会があったが、物凄い努力家。

「コッチェビ=子供ホームレス」で、過酷な北朝鮮の孤児院や路上生活の現実が具体的に書かれている。

韓国に無事にたどり着き、大学で学び、博士まで修了した努力に心から拍手を送りたい。きっと彼だけに果たせる使命があるのだろう。

今後も何度かに分けて、北朝鮮・脱北者関連の書籍を紹介していきます。

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