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オリジナル漫画「scope」原作-55

【暗堂篇】VS武器密輸組織(紫)第8話


バーヘッド 「 どうした? 鋼鉄の身体には効かねぇんじゃねぇのか? カーッハハハ 」

暗堂 「 …チッ この外道めが。クソゥ!足が抜けてねぇ 」

条 「 あらら… こりゃマズイな。おーい 代わってやろうかー? 」
あぐらをかき、すり鉢状の観覧席から戦闘を眺めている。

暗堂 「 あ? ジャンケンもろくに出来ねぇヤツは、すっこん出ろ! こんなものピンチでも何でも無いわ! 」

条 「 んだと! 今がチャンスのようだなぁ、何ならオレがトドメさしてやろうか?( ってか、まだそんだけ憎まれ口叩けるなら心配ねぇか。 ) 」

バーヘッド 「 カーッハハハ! 何とも頼もしいお仲間だなぁ。 お前、ウチに入るか? 」

条 「 ヘドロは口を開けんじゃねぇよ。お前には聞きてぇ事がある。おーい 変質者!とっとと終わらせろよー! 」

暗堂 「 口悪いなぁ、お前。 デヒャッ ヒャッ ヒャッ  ちょっと待っとけ!楽しみはこれからだっ… 」

バーヘッド 「 まだ 状況が分かってねぇようだな! 牙(Fang)ー 連牙!< ドドドドドドドドスッ!! > 」

暗堂  「 ぐはっ ぐはっ ぐはっ ぐはっ ぐはっ!! …くっぅ はぁ はぁ はぁ 」 
バラクーダの牙弾をまともに食らっている。

条 「 ホントに大丈夫かよ、あいつ… 」


<  場面転換して、以臓サイド  >

オークション会場を出て行った以臓が、ゲリーポスターと対峙している。 賑わっていた黄泉の市は、暗堂の騒動によってすっかり人影が消え、ゴーストタウン化している。 ところどころ、ブースが爆破されたような痕跡が見受けられる。 オークション会場に撃って入る前に、暗堂が暴れていたのだろうか?

以臓 「 先程までの賑わいがウソのようだな。 代わりにパンケーキ屋でも開業するなら色々と紹介するぞ。 」

ゲリーポスター 「 パンケーキ? い、意味が分からんな。 …ここまでやられちまったら、トンずらしか無いのだ。 お前には憂さ晴らしに付き合ってもらうぞ。 」

以臓 「 トンずらか、誰から逃げるのだ? やはりお前ら闇企業の裏には、黒幕が存在しそうだな? …例の研究所なのか? 」

ゲリーポスター 「 …研究所とは、とんだ的外れだな。 あそこはただの取引先、それ以上は何も知らん。ウチよりもむしろ他の闇企業の方が関わり合いが 深いはずだが。金払いも悪いし、全く興味が無いな。 」

以臓 「 とぼけるな、何か知っているはずだ。 …UMA研究所について! 」

ゲリーポスター 「 UMA研究所だと? 何だ、それ? 聞いた事もねぇな。まぁ、知ってても貴様に教える義理はねぇがな! 調子に乗るなよ! 」

以臓  「 闇企業経由でも情報がまるでシャットアウトされているな… 深すぎる闇、本当にたどり着けるのだろうか? では、黒幕を教えろ 」

ゲリーポスター 「 単刀直入か! …まぁいい、こうなってはお終いだからなぁ。 やけくそだぁ、教えてやろう。 ズバリ… 全く知らんな。 唯一言える事は、オレたちとは比較にならない程の大悪党って事だけだな。 」

以臓 「 …論外だな。 “レモンはすっぱい” ぐらい当たり前の情報しか知らんとは。これ以上は、時間の無駄だ。 始めようか? 」

ゲリーポスター 「 人に聞いておいて、何だ?その態度は。 …こちとらムシャクシャしてんだ、肉片も残ると思うなよ! 」

以臓 「 フッ 威勢だけは1人前のようだな。 先程は邪魔が入って不発に終わったのでな… こちらも試させてもらうぞ、修行の成果を。 」


<  場面転換して、鬼島サイド  >

暗堂騒動からの危機回避のため、早々に会場を後にした鬼島たち。 全身を真っ黒に塗りたくったプライベートジェット機にて、人工島上空を飛行中だ。ファーストクラス以上の雲のような座席にゆったりと腰を掛け、高級ワインを片手に鬼島がしゃべり出す。

鬼島 「 もう少し場の雰囲気を堪能したかったが… ハプニングってのも、中々面白かったなぁ! バッハハハ 」

側近A 「 あまり無いからなぁ、あの手のハプニングってのは。主催者の仕切りの甘さが露呈したんじゃないです? 」

側近B 「 そうだな、色々と気になるヤツらが多かった印象だ。 」

鬼島 「 お前らが通路で対峙したあいつらは、どうだった? 2人とも、スカウトしても良さそうな顔付きしてたが。 」

側近B 「 ウチに所属したら、かなり上のランクなんじゃないか? 強さとは別に、秘めたる何かを感じたが… 気のせいかもな。 」

側近A 「 もう少し時間あれば、色々と遊べたんですけどねぇ。上手く言えないけど、近寄り難いヤバさみたいなのは、ピカイチでしたね。 」

鬼島 「 お前らがそこまで認めるとは、随分と有望な人材だったようだな? せめて名刺だけでも渡しておくべきだったか? バッハハハ 」

側近A 「 え? 名刺なんて持ち歩いてるんです? フハッハハハ 」

側近B 「  ………………………。」


<  場面転換して、暗堂サイド  >

依然、足を沼でロックされた状態で抜け出す事が出来ない、暗堂。放たれる弾丸を腕をクロスさせた状態で全弾受けている。防戦一方で、かなり息を
切らせている。

バーヘッド 「 何だか、拍子抜けだなぁ。当初の威勢はどこに行った? このままやっててもつまらん、ぼちぼち フィニッシュと行くか? 」

暗堂 「はぁ はぁ はぁ …クソっ まるでコンクリートで固められたように足が抜けねぇ。どうなってんだ、この沼もどきは。しかも劇臭とはな… 」

バーヘッド 「 ロック解除と共に、お仲間を招待してやるよ! 行けぃ! 底なし沼からの勧誘_ボトムレスパーティー!! 」

再び 【 汚沼弾(ボッグ)】にて、噛(Bite)を床に向けて放ったバーヘッド。 ガチっと固まっていた沼が流動的になり、何やら怪しい魚影が蠢いている。

暗堂 「 おっ! やっと動くようになったぜ。 …なんだ? こりゃ!? 」

放たれた噛(Bite)が、厳つい歯を剥き出しにしたバラクーダと化し、猛スピードにて跳ねては飛び、次々と沼の内外から暗堂を襲撃する。< ヌーっ バュッ!バシュッ! > 不揃いの鋭い歯で容赦無く噛み付かれ、致命傷では無いものの、大きなダメージを受けている様子だ。

バーヘッド 「 さぁ、ロックは解除してやったぞ。 …そのまま襲撃されながら、ゆっくりと沈みやがれ。 あるはずの無い底の底まで、永遠にな。 カーッハハハ!」

暗堂  「 ブグッ! ブグッ! ブグッ! …ぜぇぜぇぜぇ 」

 腰付近まで沼に埋まった状態で、バラクーダ弾の噛み付き攻撃を受けている。

条 「 こりゃ、いよいよ選手交代だな? さぁて… 」

攻撃を受けながらも鋭い目つきで条を睨みつける暗堂。手助けは無用と訴えているようだ。明らかに防戦一方で苦戦中の暗堂だが、何か起死回生の秘策でもあるのだろうか? それを見た条が動きを止めた。

バーヘッド 「 カーッハハハ! どうした? もう首まで埋まっちまったじゃねぇか。 ではでは、漆黒の旅へ行ってらっしゃい! 噛(Bite)! 」

同時に十数匹、円形状に飛び出したバラクーダ弾が、アゴまで沼に浸かってしまった暗堂を中心に、歯を剥き出しにして、一斉に襲い掛かって来た。

<グボボボボボボボボボォォォオオボォン!!!! > 

被弾した衝撃で沼が大きくゆれ、中心にいた暗堂はゆっくりと沈んで行った。姿がまるで見えない。


バーヘッド 「 …何だ、何だ? 散々偉そうな事言って、てんで大した事ねぇじゃねぇかよー! 前世はサンドバッグだったの、君? カーッハハハ! 」

条 「   ………………………。 」

< ボグ ボグ ボグッ… > 沼の表面に、いくつかの波紋が描かれている。 荒れ狂って蠢いていた魚群も静まり、不気味に鎮座する沼だけが残った。沼の奥にて、ゆっくりゆっくり底へと沈んで行く暗堂の姿、目を瞑り、腕を組んだポーズにて沈んで行く。

バーヘッド 「 どうする? お前もついでに殺ってやろうか? 何だか手応えが無さ過ぎて、消化不良な気分だからなぁ。 」コキコキと首を鳴らしている。

条 「   ………………………。 」

バーヘッド 「 どうした? 恐怖で身体が動かんか? やる気が無いならとっとと失せろ!こっちは逃亡の準備で暇はねぇんだ! 」

条  んじゃ、そうするわ。 …相手を横取りする訳に行かねぇしな。 勘だが、お前ここで終わるぜ。 」

バーヘッド 「 捨て台詞にしては締まらねぇなぁー!! 消えろやぁ… 」

< バシューン! ボゴゴゴゴン!!! >

完全に静まっていた沼から、勢い良く暗堂が飛び出して来た。両方のカカトからジェットを噴射させ、空中に浮いている。 < シュゴゴゴゴゴォオオ!!! >

バーヘッド 「 イッ !? 」

暗堂 「 攻撃の仕方が分からなくてねぇ。 体内のチュートリアルシステムに辿り着くまでに時間が掛かっちまったぜ。 」

条 「 事前に説明書を良く読めってか? ニヤっ 」

バーヘッド 「 …またサンドバッグになりにでも来たのか?死ね!  牙(Fang)! 」

< ドスッ ドスッ!>  バラクーダの牙弾が、暗堂に襲い掛かる。

暗堂 「 えぇーと、こうだな? 指(finger)! 」

< ダンダンッ!> 指鉄砲の構えで、人差し指の先端から弾丸が発砲された。

< ダガンッ ダガンッ!> バーヘッドが放った弾丸を、全弾見事に相殺した、暗堂。

バーヘッド 「 何だと!? 攻撃してきやがった… 」

暗堂 「 おーっほう!! 出た出たー!…随分とやりたい放題やってくれたな? 今度はお前が受ける番だ。 」
指先から出た煙をフッと吹き消す。

条 「 ヒュー お前、ロボだったのか? …あっ ロボに改造されたのか? 違法手術が何とかって言ってたもんな。 」

暗堂 「 ロボ? 違うなぁ これが武器に特化した、究極の超人類。人型拳銃 「ヴォルグ198」 だ!!!! 」

バーヘッド 「 ち、超人類!? …何だ、そりゃ? 」

条 「 …思ったよりダセぇな。 ププッ 」

暗堂 「 何だ、貴様ら!! バカにしやがって… くらえっ! 腕(arm)! 」

< ガポッ …ドシューンッ!! ドシューンッ!! >

手のひらを直角に上に折り曲げ、掌底を繰り出す仕草で、手首から砲弾が発射された。 もくもくと煙を上げて、らせん状にターゲットに飛んで行く。
< ドゴーン! ドゴーン! > バーヘッドと条の付近に被弾した。

条 「 バカ野郎! テメェ!!こっちに撃ってくんじゃねぇーよ!! 」

バーヘッド 「 はぁ はぁ はぁ 何だ、こいつ… 」
爆発の衝撃で怪我を負ったようだ。

暗堂 「 チッ 外したか? 正確に命中させるには、慣れが必要だな。デヒャッ ヒャッ ヒャッ 」

< シュゴゴゴゴゴオォォォ > 上空から降りて来た暗堂は、沼の直前10㎝のところで浮遊している。

条 「 おまっ 空も飛べんのか?メチャクチャだなぁ。 何故に手術が成功したんだろうな? 変態じゃないと成功しねぇとかなんだろ、どうせ。ニヤっ …牙(Fang)! のやろう! お返しだ! 」

<ドゴンッ!> 条が放った黒豹の牙弾が不意を突いて暗堂に命中した。

暗堂 「 !? 痛ぇぇええええ!!!! やりやがったなぁー!! テメぇ 敵なのかー!! 」

バーヘッド 「  ………………………。」

しばし、撃ち合いをしている、条と暗堂。 互いに本気では無いにしろ、“特拳”を使用した実弾での撃ち合いだ。 常人では冗談では済まない行為である。そんな中、虎視眈々と反撃のタイミングを伺っているバーヘッド。 不敵な笑みがこぼれる。

条 「 この変態ヤローめ! 相手が違うだろが!! 」

暗堂  「 究極の超人類に挑んで来るとは良い度胸だ!」

バーヘッド 「 カーッハハハ! そこまでだ!アホが!! くらえっ! 底なし沼からの勧誘_ボトムレスパーティー!! 」

【 汚沼弾(ボッグ)】にて、噛(Bite)を床に向けて放ったバーヘッド。 沼ギリギリで浮遊していた暗堂に標的に、歯を剥き出しにした複数のバラクーダ弾が一斉に噛み付いてくる。 < ドドドドドドドドドドッ!!!!>

暗堂  「 クッ グロイ魚は嫌いだぜ!! 指(finger) ー octuple !! 」

< ダンダンダンダンダンダンダンダンッ!>

両手の親指以外の8本の指先から、同時に弾丸が発砲された。 弧を描き、見事にバラクーダ弾を撃ち落とす。

バーヘッド 「 何を!? 」

暗堂 「 この究極の超人類に、うす汚ぇ不意打ちなど通用するとでも思ったのか? 舐められたもんだぜ。 」

バーヘッド 「 クソっ  < ピピッ > …おい!ゲリー! 何してる、早く 助っ人に来ねぇか! おい! 」

ゲリーポスター 「    ………………………。」

以臓と共にオークション会場を出て行ったゲリーポスターに電話を掛けるが、出る気配が無い。戦闘中なのか音信不通状態のようだ。

暗堂 「 頼もしいお仲間も来ねぇみたいだなぁ。 あっちはあっちでやられてんじゃねぇの? なんせ相手は忍者なんだぜー! 勝ち目0だ、ボケ! 」

バーヘッド 「 ……ちょっと待て! な、何が望みだ? ウチは武器売買系闇企業(紫)、 闇の武器なら、まだストックもあるぞ。 」

暗堂 「 急にどうした!? もはや武器はいらんな。 …強いて言えば特殊弾丸には興味があるが。 」

バーヘッド 「 特殊弾丸か。 も、もちろんあるぞ! 」

条 「 …そんなもんあっても、既にあっちで全部回収してんぞ? 」 
舞と瞬斗が物色している、中央舞台下を指差す。

バーヘッド 「 バカな!? まだ仲間がいたのか…?  …ならば、これならどうだ? 牙(Fang)ー 連牙!」

< ドドドドドドドドドドスッ!! >

暗堂 「 何度やっても無駄だ! 指(finger) ー octuple !!」

< ダンダンダンダンダンダンダンダンッ!>


バーヘッドが発砲したバラクーダの牙弾を、当たり前のように見事に相殺する、暗堂。 間髪れず、発砲と同時に逃げ出していた、バーヘッド。 < タッタタタタ >


( つづく )


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