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オリジナル漫画「scope」原作-45

【入来篇】VS殺人代行組織(藍)第7話


< ズドォッ! ドドドドドドドドドド・ドゴーーーーンッ!!! > パーカーコートに身を包んだ“ここ”を標的に、次から次へと、容赦なく爪弾が被弾する。爆発に加え、被弾する度にあらゆる種類の猛毒や劇薬の異臭が立ち込めて行く。 まともに食らっては一たまりも無い、もはや絶望的状況である。 発砲したBIMAの方も、残りの全ての力を注ぎこんだため、その場に倒れ込み、薄気味悪い笑顔をこぼす限りで身動きが取れない様子。

BIMA 「 < ジジッジ… ジジジ… > あ、アハハハハ まともに食らっちゃたワネ その溶けかかった叫び顔、後で見てあげるわ… クッ 限界ヨ 」

被弾した“ここ”を中心に、激しく巻き上がった爆炎と禍々しい異臭が地下室を覆い尽くす。 虚しくも毒々しい空気がその場に居座り、当面の視界を奪った。木っ端微塵に飛び散った訳では無く、“ここ”が居た場所に黒い塊のような影が見え隠れしている。 しばらくすると、巻き上がった煙幕も収まり視界が戻って来た。

BIMA 「 さ、さてと… そろそろ良いかしら? あぁ、ー歩くのもシンドイわ… ん !? 」

黒い塊のような影は、パーカーコートに包み込まれたままの状態の“ここ”であった。 ピクリとも動かない。 …が、よく見るとコートの隙間から青白い発光とドライアイスの冷気のような白煙が、漏れているように見える。

BIMA 「 < !? > なんだ?? あれは… 」

< バァサッ! > パーカーコートを勢い良く翻し、特殊拳銃をチャージした状態の“ここ”が姿を現した。白熊型拳銃 「SHIROKUUMA-BZ」の目が光っている。

ここ 「 …あぶなっ はぁはぁはぁ ギリギリ一着間に合ったけど、ぶっつけ本番は勘弁だね… 特殊パーカーコート【ラーテル】 」

ある巷では、動物界最強と言われている「ラーテル」の遺伝子を糸状にして直接縫い込んだ、“ここ”オリジナルのパーカーコートだ。 あらゆる打撃を軽減し、毒さえも無効にしてしまう、防護服として最上級の素材だ。 この糸を創り出すのは熟練された科学者でも容易では無く、今回飛山の妹である、舞が成功させた。 3回分しかない素材で、3回目のトライで何とか成功したようだ。

BIMA 「 はぁ? ラーテル?? そんなの聞いた事ないワヨ… ほぼ無傷じゃないノ… あ、あんた何者?? 」

ここ 「 無傷じゃねぇわ、結構危なかったから… まぁいいや。 アタシが何者かって? 未来のスーパーデザイナー 吹星ここ様だよ!! 」

BIMA 「 デザイナー? 小娘のあんたが? じゃ今度わたしの服作ってヨ、ネ…? < ジジッジ… ジジジ… > 」

ここ 「 …F3層は苦手なのよねぇ、残念! 代わりにこれあげるねぇ  いっけー  殴(Beat) ザ・フローズン ジャイアント!!!! 」

< ボガーン!! > 白熊の拳を模したドデカい砲弾が氷を纏い、BIMAへと放たれた。< ゴゴゴゴゴぉ~ ズガーン!!!!!> まともにBIMAに被弾し、吹き飛で行く。 被弾した地点に、勝利を告げるような、ぷくぷくとした肉球型の煙が立ち上った。

BIMA 「 …… 。 < ジジッジ… ジジジ… プスン > 」
壊れた機械のオモチャのように動きを停止させるBIMA。

ここ 「 …ほんとギリギリだったなぁ あぶなっ はぁはぁはぁ 骨何本かいっちゃったみたいだしぃー マジであいつぶっ殺す。 はぁ疲れたぁぁぁああ 」

全ての力を出し切り、その場に座り込む、“ここ”。 あらためて、突如出合わせた女装した駅ビル?に感謝しつつ、しばし休息を取る事に。



< 軽業師 VS もう一人のケツアゴデス / 飛山 × ワザカル サイド >

ワザカル 「 はぁはぁ 仮面を取った途端、急変かよ …何なんだ お前?( モーションの予測が出来ない分、体感速度が尋常じゃないねぇ… )」

飛山 「  …………………………。 」

ワザカル 「 多くを語らない天才肌ですってか?… けっ! 気に入らないねぇ。 オレもスピードには自信がある方なんだけどさぁ、勝負しちゃう? 」

飛山 「  …………………………。 」

ワザカル 「 さっきから延々シカトしやがってー!  テ、テメぇー!! 聞いてんのかよ!! 」( 帽子のつばに手を掛ける )

飛山 「 ふぅ~  念のために聞くけど、アンタは一度でも過去や未来に跳んだ事はあるのか? …その自慢の身軽さでさ。 フフッ 」

ワザカル 「 は? IQがお高いお方のお発言は、良く分かりませんなぁ 何言ってんの? クっソつまらねぇ。 」

飛山 「 …なるほど。 アンタに聞いても、ろくな情報が得られそうも無いな。 …ゲーム感覚で殺し屋なんてやってるガキは、脳みそ腐ってる。 」

ワザカル 「 ふ~ん …口開いたと思ったら、ボロクソ言うじゃん? 何がケツアゴデスだ! PCしか友達がいない、このもやし野郎がぁ けっ! 」

飛山 「 嘴(Beak) 」( 真顔でノーモーションで放つ )

< シュババババ!! > 無表情のまま、いきなり 隼型拳銃 「ペレグリン ファルコン」から嘴弾が放たれた。 不意を突かれたワザカルはかわし切れず、数発の嘴弾が鋭く衣服を貫いた。 衣服だけで無く、皮膚の表面をも軽く切り裂き抜いたため、裂傷を負ったワザカルには、我慢しつつも苦悶の表情が見え隠れする。

ワザカル  「 ツッ …会話の途中に不意打ちかよ!! 卑怯な野郎だな、全く。 ( それにしても速ぇ… ) 」

飛山 「 何故、人を殺すんだ? 」

ワザカル 「 は? 説法か? 何を今さら、そりゃぁ… 」

飛山 「 嘴(Beak) 」( 真顔でノーモーションで放つ ) < シュババババ!! >

ワザカル 「 <!?> クッ だから、… 」

飛山  「 爪(Claw)」( 真顔でノーモーションで放つ ) < タカカカカカカッ!! >

相手の返事を遮るように、特殊拳銃を連射する 飛山。 効率優先モードに入った飛山は、一線を引いた相手に対し、会話をする気など毛頭無い。 正確無比のマシーンのような表情とは裏腹に、トリガーを握る手には、これぞ生きている証のような、生々しい血管がくっきりと浮き出ている。 あまりの速さに反撃する事が出来ない、ワザカル。 被弾した箇所から所々流血が見受けられる。

< ダダダっ ザサッ― > これ以上の会話は無駄だと判断し、物陰に隠れた ワザカル。

ワザカル 「 徹底して、悪党の話は聞く耳持たないってか。  なんだ? あの凍るような視線は…  へへっ オモシれぇじゃん。 」

飛山 「 …………………………。」

ワザカル 「 これ避け切った奴いないんだよねぇ せいぜい逃げ回るといいさ! 」

< ガチャ > アタッシュケースの隠し底蓋を開け、“何か”を取り出した、ワザカル。 目つきが変わり、必殺のタイミングを伺っているようだ。 飛山は警戒はしつつも表情を変えず、終始、凍り付くような目つきで特殊拳銃を構えている。

飛山 「 時間を無駄に使わない主義でね。 やるならさっさとやれよ。 」

特に防御姿勢も取らず、その場に突っ立っている飛山。 物陰に隠れながらワザカルがニヤッと笑う。 帽子型特殊拳銃「 チェイサーズハット 」

ワザカル 「 まるで無防備じゃんか。 せいぜい余裕こいてればいいよ。 …だが、その自信がアダとなるぜ。 」 < スチャッ >

両手に持ったハット型の特殊拳銃を、飛山目掛けて投げつけて来た。 < シュルルルル >UFOのように回転したハット型の特殊拳銃が、左右から時間差で飛山を襲う。 < ウィン! ウィン! > 華麗な体さばきにて2機とも簡単にかわす飛山。 大きく後方へと飛んで行く。

飛山 「 …………………………。」

ワザカル 「 なに!? かわされた!? なんてね。 …ニヤっ 」

大きく後方に逸れて行った2機のハット型の特殊拳銃が弧を描き、再び飛山をターゲットに飛んで来た。

ワザカル 「 くらえ! 360度ハチの巣トリック:スリーシックスティ! ぐぎぎぎぎっ 」 < ガチッ >

ワザカルが力強く奥歯を噛むと、円形のハットのツバ部分から弾丸が発射された。< ズビビビビビッ > 回転しながら広範囲に向けて発砲して来る、2機のハット型特殊拳銃。さらに、1機は横回転、もう1機は縦回転をして前後から迫って来る。 思考で遠隔操作が可能なようだ。

ワザカル 「 さらに上のトリックだぜ! ほらよっ! セブントゥエンティ! ぐぎぎぎぎっ 」< ガチッ >

飛山 「 ふぅ 」

フェンシングの選手が渾身の突きを放つようなフットワークでバックステップをし、ワザカルの弾丸をかわしながら迎撃態勢を取る、飛山。 “スキャナーマガジン”を親指で操作し、特殊弾丸を選択する 【 電撃弾(Blitz)】

飛山 「 嘴(Beak)Blitz Hazard(ブリッツ ハザード) 」< ズバッバッバッバァン!>

電撃を纏った隼の嘴弾を、回転しているハットと逆回転で被弾させる事で、ハット型特殊拳銃1機を撃ち落とした。 感電しているように電気を帯び、爆発する。

< ビリビリビリッ ジジジ…ドガァン! >

< ビリビリッ > 電気が入り混じった粉塵が、ゆっくりと舞い落ちる。 あまりにも分かりやすい 「電光石火」を絵に描いたような瞬撃に、あっけにとられる ワザカル。

ワザカル 「 …オ、オレの大切な商売道具を。 貴様ぁーー! 許さっ 」

飛山 「 嘴(Beak)Blitz Hazard(ブリッツ ハザード) 」 < ズバッバッバッバァン!>

< ビリビリビリッ ジジジ…ドガァン! > 先程同様、もう1機のハット型特殊拳銃も見事に撃墜させる、飛山。

ワザカル  「 …………………………。」( ガクンっと地面に膝をつき、驚愕と絶望感に溢れる表情をしている )

飛山 「 やっと大人しくなったな。 もう終わりでイイだろ? 無駄な殺生ほど、コスパが悪いモノは無いから。 」

膝と両手を地面に付け、焦点が合わないような目つきで地面を眺め動かない、ワザカル。 ヒットマン人生でターゲットに敗北する事自体が初めてだが、ここまで完膚なきまでにやられたのも初めての経験だ。 さらに今回のターゲットを引き当てて喜んでいた分、その自身の過信による凹み具合も半端無い。

ワザカル 「 はぁ はぁ はぁ  無駄な殺生はしないか… 殺し屋に発するとは、最後まで説法かよ。 オレの負けだよ って言うと思ったかー!!くらえ! 最凶のヘッドバッド 鬼嫁の頭突き(オーガズヘッドバッド)!! ぐぎぎぎぎぎぎぃぃいいいいっ 」

帽子型特殊拳銃「ヘルキャップMCG」 を脱ぎ、脇に抱えて構えた。 血が滲むほど奥歯を強く噛む事で、強大なパワーをチャージしているようだ。 ヘルキャップMCG内にエネルギーが蓄積されて行く。

飛山 「  …………………………。」

ワザカル 「 ぐぎぎぎ…  ど、どうした? 観念するのも電光石火で早いってか? けっへへっ ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃいい!!!! 」

飛山 「 …ふぅ 」
あきれた表情で天井を指差す、飛山。< ツンツン >

ワザカル 「 ぐぎぎぎ…  ん? 」

< ピカッ > 一筋の光が落ちて来るや否や、無数の光が降り注ぐ。 < シュバババババババババババ!!!! >

飛山 「 最速の雷雨_エレクトリック ハント 」

予め遥か上空目掛けて連射していた狩(Hunt)が、バリバリと電撃を纏い、ターゲットに向けて猛スピードで急降下して来た。 ワザカルも、とっさに応戦し鬼嫁の頭突きを放つも、チャージ不足により中途半端な威力が出ず、無数の光の線に押し潰されてしまった。

泡を吹き、白目を剥いて倒れるワザカル。 生死が分からないぐらい無数の弾痕が全身を覆っている。ケツアゴデス仮面を被り、倒れているワザカルを目視せず、背を向けたままスタスタとその場を去る飛山であった。 どことなくやるせない気持ちを、また1つ背負ったような寂しげな背中であった。


< 天性の勘 VS 野生の勘 / 条一狼 × 鮫島 サイド >

戦闘を繰り広げる2人はさらに激しさを増し、街の最南端へと辿り着いた。 障害物無く長距離を移動するために、海と海とを繋ぐ長い海底トンネルが掘られている。奇抜な街並みに相応しく、強化ガラス仕様の透明なトンネル内は、海に漂う海洋類を鑑賞する事が出来る。 この海底トンネルは、底面に敷かれた特殊な磁石の上を浮いて滑走する、“シーエクスプレス”専用に作られたトンネルである。 まもなく正式運用スタートで、現在は試運転中である。
“シーエクスプレス”が試運転する中、車外上部にて対峙する両者。

< ヴィーーーーーーー > 

全く騒音を感じさせない稼働音で滑らかに疾走している。

条 「 …はぁ はぁ はぁ 」 ( 片膝をついている )

必要以上に、ボロボロにやられているように見える条。 朝から体調が悪かった事を思い出す。 いつものように、延々と繰り返される悪夢。 しかし、気のせいか途中途中でノイズが入り、僅かながらに“夢”が乱れたように感じた。< ザザッ ザザッ > ノイズの影響で、どことなく歪むダイアナの顔。 画質が悪い古い映画のようなクオリティの夢であったが、内容自体には変更が無かった。 いつもと同様に何度も繰り返しリピートされ、分かってはいるが毎回後味の悪いクソ悪夢。起きた途端、滝のように流れる大粒の汗。今朝は、興奮して上昇する体温が、やけに熱っぽく感じていた。

条 「 ちっ 風邪でも引いたか…?? 何だか身体がだりぃな。 毛穴が痒いぜ。 」

鮫島 「 当たり前だろ? どんだけ鈍感なんだよ、お前は。 刃物には、神経毒にゲロ促進エキスをふんだんに注いだ闇の調合 “汚毒”が塗り込まれてんだぜ。」

条 「 んだよ、そういう事か。 心臓のノック音がやたらとデカくて、絶賛居留守中だったんだが、納得だ。 いやっ 待てよ… 気のせいか。 」

鮫島 「 何だ 何だ? 時間稼ぎかよ、お前らしくねぇな。 開演前の水族館を楽しみに来た訳じゃねぇだろ? おらっ 行くぜ!!! 」

トンネル外を優雅に遊泳する海洋類たち。 熱帯地域のため、魚も非常にカラフルだ。 穏やかな海中とは裏腹に、獰猛な鮫島が烈火の如く仕掛けて来る。
< ズダダダダダダッ > 鮫型特殊拳銃 「メリケンシャーク」 を両手にハメ込み、打撃を交えた“超至近距離での銃撃戦”を繰り広げる。 ボクシングスタイルで、パンチと発砲の連打で条を追いこむ、鮫島。 対する条は、空手スタイルで蹴りを交えつつ、打撃での格闘を主体としながら、負けじと同時に特殊拳銃を放つ。

< ダダッ > < バンバンバンっ!> < ガッ! > < ダッダッダッダッダン > < ガッ!ガッ! > < バンバンっ!> < ダダッダン! > < キュンっ!>

常人では不可能な、0距離での銃撃戦。 1撃1撃が必殺の威力を持つ銃打撃のため、防ぐタイプの防御ではなく、避けるタイプの回避を駆使し、1㎜も気を抜く事が許されない。 並外れた運動神経に加え、“天性の勘”を持つ鮫島と、“野生の勘”を持つ条だからこそ成立する戦闘だ。 究極のスリルを楽しむように薄ら笑いを浮かべる鮫島と、床に撃たれた弾痕を見て冷や汗を掻いている条。 不自然に一瞬だけ後ろを振り向き、何かを確認したように見えた。

鮫島 「 随分と集中力が散漫だなぁ。 戦闘中に後ろなんぞ気にしやがって、スナイパーにでも狙われてんのか? ここ、海中だぞ。 アッハハ 」

条 「 …またかよ <!?> ( 『はっ』 何かに気付いたような表情をする ) …いやっ そんな事はねぇよな。 」

鮫島 「 …ったく、目の前のハンサムな方のサメに集中しろや、コラぁ 」   < ダダッ ダン! > 左拳を突き出し、中距離から発砲して来た。

条 「 危ねぇな! 普通の銃の間合いで撃ってくるんじゃねぇよ! なんかヒットマンみてぇな顔しやがって。 」

鮫島 「 ……… ヒットマンだよ! 」

条 「 お、おう なんかドンマイ 」
< タタタタタタタッ > すべりトラップにハマった鮫島を嘲笑するような顔をして、後方車両へと走って行く。

鮫島 「 テメェェェエエ! 待ちやがれー!! 」
 < タタタタタタタッ >

後方車両へとダッシュする、条。 こバカにされ頭に血が上った鮫島が、猛追する。 そのまま逃げ続けると思った刹那、ジャンプしながらくるっと振り返った条が、特殊拳銃にて狙いを定める。ブラックパンサー961の“スキャナーマガジン”にて特殊弾丸を選択する 【 黒影弾(シャドウ)】

条 「 くらいやがれ! 影走り! 」

< バズーン! > 下方向に放たれた弾丸が、途中から黒豹形の影に形を変え、鮫島の足元に向かって地面の中を潜って行く。

鮫島 「 …あぁ そんな気がしてたよ。 オラッ!! 」< ピョンッ >

天性の勘が働き、条の攻撃を何となく予想していた鮫島。 影走りを食らうタイミングを見越してジャンプをし、シーエクスプレス天井面へと右拳を振り下ろした。< ドドドドガツーン!! > パンチの衝撃と共に撃ち込まれる弾丸。 天井に大きな穴が開いてしまう。 黒豹形の影は、ものの見事に撃ち砕かれ、消滅した。

条 「 チッ 無駄に勘が良いってのは、何ともやりづれぇヤローだよ。 ったく。 牙(Fang)! < バンバン!> 」

鮫島 「 それゃ こっちのセリフだよ! ここまで攻撃をかわし切られてるのは初めてだ。 クソっ 牙(Fang)! < バンバン!> 」

陸の凶器:黒豹の牙弾と、海の狂気:鮫の牙弾が、同タイミングで発射され見事に相殺される。 < バチッ バチッ バチッ!> フィールドを空に変え、互いに自慢の牙で噛み合っているような激しさである。 “シーエクスプレス”の進行方向とは逆向きに立っている条のパーカーコートが、風圧で顔面側を覆ってしまう。一瞬の隙を見逃さない、鮫島が特殊拳銃を強く握りしめる。

条 「 しまった、何も見えん! 」

< バサバサバサ >

 払いのけようとするも、風圧をまとったパーカーが執拗に顔面に纏わり付く。

鮫島 「 何だ、そりゃ? みっともねぇなぁ!アッハハ そのまま1撃で葬ってやるよ!くらえ! 王鮫の捕食_シャークラウンズ・ラッシュ!! 」

メリケンシャークを握り込んだまま、両こぶしの手のひら部分を合わせると、スクリューのように激しい横回転を加えて、条の方に飛び込んで来た。視界を奪われ避ける事が出来ない条の腹部に、メリケンシャークが深々とねじ込まれるようにヒットした。さらにスタッツ型の弾丸が追い打ちで撃ち込まれる。強烈な銃打撃だ。

< ド・ガツガツガツガツ!!!!! > スクリューの回転をもろに受け、自身も回転しながら大きく後方へと吹っ飛んで行った。 顔面から滴る流血で、覆われたパーカーの色が赤黒く染まっている。 後方車両で大の字に倒れたまま、動かない条。 トンネル外の海中では、シーエクスプレスにサメが並走して泳いでいる。


( つづく )


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