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元自衛官が林業は国防だと思っている話

こんにちは。株式会社百森の齋藤です。

林業関係者って意外と元自(元自衛官)が多くないですか?

林業大学校生の時には一学年上に元空自の人がいましたし、林業関係者の知人にも元陸自と元海自の知人が数名います。皆さんの周りではどうでしょうか?僕も元自なんですが、国防の経験から日本の林業に思うことがあるので、それについて少しだけ書かせてもらいます。

その前に、あなたは国防と聞いて何をイメージしますか?
おそらく自衛隊ではないでしょうか。

でも僕は、林業もまた国防を担う重要な仕事だと思っています。

林業白書を見てみると、2015年時点で日本の林業従事者の数は4万5千人と表記されています。仮に4万5千人として、年間の林業で死んでいる数が30~50人ぐらいで推移していることをふまえると、3週間に2人が死んでいる計算になります。

正直、自衛隊なんかよりよっぽど危険な仕事です。

ちなみに私が以前、フランス外人部隊に所属していた折に派遣された軍事作戦と比べてみても死亡率で見れば同レベルです。

自衛官が小銃を扱うのと同じように、木こりもチェーンソーを扱いますよね。どちらも個人で保有する道具としては全職種中トップクラスの殺傷能力を有します。

小銃とチェーンソーは扱い方の面でも似ています。自衛隊ではとにかく銃口管理を徹底します。チェーンソーも同様に高速で走行回転するソーチェン(刃)の管理には常に気を配らなければなりません。

どちらも高い技能と練度を必要とし、林業の労働災害の半数はチェーンソーで立木を伐倒する際に起きています。個人的には、立木を狙った位置に倒すのは小銃で300m先の的を当てるよりも難しいです。

こんなにも危険な道具を生身で携行し、日常的に扱う業種は林業ぐらいのものではないでしょうか?

国防の定義として、国内外問わず国家の安全に対する脅威に対し国の総力をあげて国を防衛する事とあります。

国土の7割が山で、わずかな平地に人々が密集して住んでいるのが日本という国です。戦後に造成された1000万ヘクタールに及ぶ広大な人工林は人が管理しないとたちまち荒廃し、土砂災害といった猛威を振るいます。

日本の林業者たちはそれらの脅威から危険の最前線で国民の生活を守り、健全な国土の維持に努めているんです。

これってもう立派な国防だと言えるのではないでしょうか。

(齋藤明斗)


この記事は、百森 Advent Calendar 2021の4日目です。

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