見出し画像

木に登るということ

私は木登りがとても好きです。物心ついたころから、木に限らず塀や柵やブランコの支柱や様々なものに登ろうと試みてきました。

その結果、木がどんなものより登りやすく、滑り落ちず、怖くないことが分かりました。木にもよりますが乾いていれば基本的に滑らないし、体のあちこちを支点として使えるので、いかに体を木の形に合わせて登るかというのが楽しいです。

この趣味は中学生、高校生の時は生活の都合上自然と鳴りを潜めていましたが、大学生になると似た趣味の人が集まり、実習中にはこぞって木に登る風景がみられました。

現代社会において大の大人が都市部で木に登るというのは大変勇気がいりますが、西粟倉村に移住してきてからは気軽に登れる機会が増えて嬉しい限りです。

今日は、登る木と登らない木の判断基準、木の登り方、登って考えていること、そもそも人にとっての木登りとは、などをつらつらと書いていきたいと思います。

登る木の決め方

登りたいと思う木には、以下のような特徴があります

① 枝の分かれ目に座れそうなところがある
② 足をかける位置に無理がない
③ 一定の間隔で枝が展開している
④ 景色がきれいそう
⑤ 登るルートにツルや隣の木が必要など、アスレチック性が高い

西粟倉村内でいうと、大茅スキー場のクリの大木などは①③④を満たしており、最初の足場こそちょっと難しいもののとても登りがいがある木ですが、実は登って達成感のある木というのは森の中ではあまりお目にかかれません(特に人工林が優占している西粟倉村においては)。

まっすぐ伸びるスギヒノキの登りにくさは一度置いておいて、広葉樹林では基本的に森林では左の図のように周辺の樹木全体で林冠を形成するので、枝を上に上に伸ばして、水平に伸びる枝は、地面に近いところで分かれている枝は少ないです。一方で周囲に同じようなサイズの木がない木では一番大きな幹を包むように葉を展開するので、下の方から一定の間隔で枝を広げる傾向があります。

先ほど述べたスキー場の木はまさにそういう形ですね。一番最初のとっかかりさえつかめればどんどん高く登っていけます。

したがって森の中で木に登るときは枝を楽しそうに広げていることは少ないので、登りやすさや木の上での滞在より、いかに攻略するかという点を重視しています。そうなると俄然楽しくなるのは⑤アスレチック性を兼ね備えたものです。

出典:松匠創美(https://hayama-ie.jp/36375)

ここまで網目状になっているものはあまりないですが、つるが巻き付いている木は西粟倉村では特に川沿いで多く見られる印象です。私はつるが1本の木にギュッと巻き付いたものより、どっちに行こうか迷っている間にいろんな木や枝に引っかかった宙ぶらりんなつるを、「ちぎれないかな」「絡まっている木は枯れていないかな」とちょっとずつ力をかけながら木とつるを行き来して上を目指していくのが大変好きです。

また細い木でも、スリムな500mlの水筒くらいの直径があれば木の種類によっては意外と登れます。1本の枝に全体重をかけるとさすがに危ないですが、体重を四肢のうち3点に分散させながら残り1つの手や足で次の枝に移っていくとそれなりに高いところまで登れます。結構揺れますが…。

木の登り方

正しい木登りの方法はありませんが、疲れない木の登り方、より安全な木の登り方はあります。全部我流ですが、木に登っているとき気を付けていることを挙げてみました。

木や枝が枯れていないか

見た目には普通の枝でも、枝や幹が枯れている時があります。登る前に木全体を見渡し、葉がついていない枝や樹皮が脱落している枝がどこにあるのか見て、そこはルートとして除外します。

取り除けるようならルートの途中で枯れ枝を折って、その跡を足場とすることもあります。

出典:小川原湖自然楽校だより
(https://blog.goo.ne.jp/ogawarako/e/19e433bbad242b578a101bd7701c5e3d)

また幹をたたいて詰まった感じがなく、振動が響いているような感覚があれば枯れている可能性があるので登るのは断念しましょう。

つるを使って登ろうとする場合は、つるを何度か引っ張って、しっかり枝に絡まっているか、つるや絡まっている枝が枯れていないかを確かめます。

3点で支持する

4本の手足のうち、1本の足または手で次の足場を探し、残りの3本は木に接しているようにします。また接点が多いほど安定するので、体も幹に沿わせるようにして上を目指します。

筋肉があるとつい手に力を入れて懸垂の要領で上へ上へと登りがちですが、手は体を木に沿わせるときにだけ折りたたんで、上方向を目指すときは基本的に重力に任せて伸ばしている方が疲れにくいです。

ボルダリングも同じ要領で登っていくみたいですね。

手先足先以外の膝や足首を支点として、体を固定して休憩することも、てこの原理で筋力をあまり使わず登ることもできます。

引き返すことを常に想定しておく

無理に枝を近くに引き寄せて登ったり、折れそうな枝を無理やり登ったりして、帰るルートを確保できなくなる可能性があるところには行かないようにしましょう。登ることより下りることの方が怖いです。

木に登ることは恥ずかしいことではありません

人目が気になるのなら、人目のつかないところに行きましょう。
気を許せる友人がいれば、ついてきてもらって一緒に楽しんでもらいましょう。

木に登りましょう。

(清水美波)


この記事は、百森 Advent Calendar 2021の2日目です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?