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#1 そもそも寝坊がいけなかった、、、

 俺は、とある学校に隣接する飲食店「蒼」の店長。名前の由来は、このお店の屋根が青いからって安直な理由だ。まあ、みんな別の名前で呼ぶのでそっちの方が定着してしまっている始末なんだが、、、。

 元気いっぱいな男の子、おしゃべりに夢中の女の子、小難しい顔をしている大学生、眠たそうに歩いて電柱にぶつかりそうな高校生、そんな学生たちを横目に俺は店先の花に水をかけている。はたから見れば「こんな景色を毎日見れて元気もらえるじゃん!」とか「女子高生盗み見てるんだろ?羨ましい」とか、ポジティブな事(二つ目はポジティブか分からないが)を言われるのだけれど、実際はそんな事はない。
光を見るということはそれに伴って影も見るという、、、どういう事かと言うと、学生たちの未来という「光」をガンガン当てられて自分の過去という「影」を再認識させられ焦燥感を感じたり、失敗や後悔を思い出して悩み始めたりと良い事や元気をもらえる事なんて実際はない。本当にない。
 ではなぜこの時間に水やりをしているのかというと、精神的にドM癖があるというわけではなくて、普通に寝坊して学生たちとバッティングしてしまったというわけだ。さっさと終わらせて店の中入ろう。そう思い焦ってシャワーの勢いをあげたその時、「きゃっ!」と女の子の悲鳴が聞こえた。
きゃっ!なんて実際に叫ぶ女の子実在したのか、、、ってやばい早く謝らないと!
「すいません!大丈夫でしょうか?」
恐る恐る声の主に視線をおくると、そこには足元がびしょびしょの女子高生が立っていた。どうしようとりあえずお店に入ってもらって、いやこんな登校行列の真っ只中、店の中に連れ入れるのはヤバいか?考えが二進も三進もいかなくなってる俺に一言、
「椅子とタオル、サンダルのような履物はございませんか?」
と女子高生は落ち着いた声をかけてくれた。
「あ、はい今すぐに!」俺は店の中に飛んで行った。

 帰りに取りに行くのでと言い、女子高生は水浸しのローファーと靴下を置いていった。ローファーの中をタオルでぬぐい水気をふき取り、日の当たるところを探す。さすがに店先には置いておけないので店側面にあるテラスの片隅に置いておいた。そして靴下は、悩みに悩んだ結果、洗濯機で洗っているところだ。いつもはぎゅうぎゅうで、動くのがダルそうな洗濯機なんだが、今は軽快な音で回っている。蓋をしようと覗いたら、靴下二枚だけが中で自由に泳いでいた。

文章力ない駄文で申し訳ないです。
覚書のようなものなので悪しからず。

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