木曽義仲と巴御前

イラストができあがるまで。


とある地域のリブランディング用イラストを制作しました。
今回はそのイラストができあがるまでを語っていきたいと思います。

イメージを具現化

イラストのテーマは木曽義仲(源義仲)と巴御前。つまり平安時代です。まずはイラストの完成イメージを作っていきます。ここは紙と鉛筆でガサガサと作業。

イメージ


このイメージを作りあげていく中で、疑問がいくつかあがってきました。それは大きく分けて3つ。
・木曽義仲の甲冑について
・巴御前の装いについて
・馬について
まずはこの疑問を解決していきます。

木曽義仲の甲冑について

まずは、平安時代の甲冑について調べてみます。甲冑といわれるとどうしても安土桃山時代に用いられた「当世具足」を思い浮かべてしまいましたが、平安時代の甲冑はどのようなものだったのか。

十二世紀中頃より、平氏、源氏を中心に武士が力を持ち、甲冑にも華麗さが増す。鎌倉時代にかけて大鎧が最盛期を迎える。
『すぐわかる日本の甲冑・武具改訂版』笹間良彦監修 H16.7 東京美術発行

つまり、平安時代の甲冑は大鎧とよばれるものが用いられており、木曽義仲はこれを装着していたと考えられます。
こちらは大鎧のメモ。

大鎧


これを参考にキャラクターデザインをしていきます。初めは赤色を置いてみましたが、源氏の武将なのでイメージカラーを白に。使用する色を白黒藍金としました。

キャラデザ 木曽


巴御前の装いについて

絵を探してみても、江戸時代に描かれたであろうものが多く、あまり参考になりませんでした。そこで参考にしたのが時代祭です。これは京都市の平安神宮の祭りです。

”衣裳や祭具の一つ一つが、厳密な時代考証をもとに作製された"本物"であるところにその特徴があります。” 
 [公式]平安神宮|京都三大祭 時代祭より

武器である薙刀ですが、”巴型薙刀”としました。これは巴御前が使用していたわけではありませんが、その名を使われているということで採用しました。

キャラデザ 巴

馬について

まずは、馬の種類についての疑問。思わず競馬のサラブレッドを想像してラフを描いてしまいましたが、当時の馬は当然日本の在来種。調べてみると平安時代~江戸時代、木曽馬が武士の馬として使用されていたようです。木曽馬は馬高は130㎝程度の中型馬、短足胴長で、体幅が広いという特徴を持っています。首がふといからか短く見えて、顔も大きく見えて…短足。ちょっと可愛いかも。
次に馬装。調べてみると資料はそこそこあるけれど………なるほどよくわからん。ということで、動画を見ながら紐で結んでみました。そうしてできあがったのがこちら。

画像5

……とりあえず、自分ではどうなっているのか分かるので良し。


イラスト制作

以上の事を参考に、イメージ画を固めていきます。ここからの制作はCLIP STUDIO PAINTです。
筆っぽいタッチの線画を描き、色を塗り、背景をドーン。
ここで、下級武士って馬にのってないですよね…ということで、調べてみたら、草履を履いていないどころか、下は褌のみだったりしたようです。
他にも、草原がさわやかすぎて平安時代の日本っぽくないので、ヨモギやオオバコを追加。雲が入道雲なので、時期は夏にあわせて、少しモサモサなヨモギさんを書き込みます。後でボカすことは前提ですが、とりあえずモサモサと下書きを描き込みました。

イラスト製作

このような修正を重ね、でき上がったイラストがこちら。

木曽義仲と巴御前

 制作ソフト/CLIP STUDIO PAINT


背景を写真を加工したものに変えてみました。今後ポスターなどで使うシミュレーションのつもりです。これもなかなか…時空間を飛び越えてきた感じですね。

画像8

以上、イラストができあがるまでの流れでした。



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