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旅館くらしき

美術館の学芸員ながら、場所が場所なだけに、周辺にいらっしゃる飲食、宿泊などの観光業関連の方とも、だいたい顔がつながっている。

デスクワークに着かれると、周辺をぶらっと歩いて、旅行客の出足や、どちらの国の方が目につくかを見ているが、周辺の観光関連業の方とすりあわせてみると、だいたい同じような観察をしている。

もちろん、そうした分析は、MUSEUM運営にも重要だと思っての事。


宿泊業といっても、自分が出張の際に泊まる、いわゆるビジネスホテルもあれば、倉敷国際ホテルさんのように、少しグレードの高いところもあり。
それから、倉敷美観地区では一棟貸しの宿泊施設(だいたい和建築ながらベットあり)がこのところだいぶ増えてきている。
そして、そこに日本人の若者が意外と宿泊するようだ。

そうした中、海外、特に欧米からの富裕層(私の中では、直島に泊まるような外国の方というイメージ)をしっかりと受け止められるのが、旅館くらしき。


しばらく、大規模改装をしていたが、ようやく再開のお披露目があったので、先日、なかに入らせていただいた。
素直な感想が、「泊まってみたい。呑み食いしてみたい」

でも、グレード云々以前に、倉敷に泊まるのは、他のどの町に泊まるよりかもハードルが高い(笑)


内部の調度品のセレクションのみならず、旅館くらしき さんで目についたのが地場の工芸品の使用。
いわゆる「民藝」にゆかりの深い地域だが、湯呑や小皿はもちろん、イグサの脱衣籠(これは別注だな、と睨んだ)と、倉敷生まれの品々がふんだんに使われている。
こうした姿勢がほんとうに素晴らしい。

そして、倉敷民藝館館長補佐でもある私は、この空間に宿泊した海外富裕層に、倉敷民藝館はどう見えるのだろう?と考える。

通常の展示も、もっとブラッシュアップできないか?
そうした方に向けて、もっと倉敷を日本を民藝を知っていただくにはどんなプログラムが考えられるのだろう。

と宿題をもらった感じ。

ちなみに写真は、内覧会参加者へのお接待。

飲み物の、お茶や珈琲から、スパークリングワインまで。

民藝館の展示場で、これが出てくるだけで、私なら舞い上がるが、海外富裕層にはどうだろう。

反省と発想のうねりに満ちた訪問でした。

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