料理をはじめる最初のハードルの高さ

一人暮らしをしていた時から何年も僕は自分の夜ご飯は自分で作っているが、料理を最初にはじめる時、ハードルが高くてひるんだ記憶がある。

たとえば何かかんたんなものをつくろうと思ってもけっこういろいろなものが必要になるものだ。片栗粉に薄力粉、小麦粉。醤油、砂糖、塩、こしょう。酒、みりん、コンソメ。にんにくにしょうがも──とあげはじめたらきりがない。しかも、それをただ買ってくればいいだけならまだよくて、あらゆる調味料に種類がたくさんある。何かひとつ作ろうと思っただけでもこの中のものから何を買えばいいかを判断し、実際買ってくる必要がある。

これが、まず最初にハードルが高い。一度すべてが揃ってからなら、後は欠けたものを買ってくればいいだけだ。あ、サラダ油なくなったな。買ってこなくちゃ。酒がないから買ってこないとな、みりんが──。たしかに手間だが、買ってくるのは一つか二つ。そのうえ、料理をするようになっている人間は何を買えばいいのかの知識がある。一方、料理はじめたて人間は用語がわからない。酒って何? ワインでもいいの?? とかそのレベルから始まるので、えーと「料理 酒 何」……とGoogleに聞くのがスタートである。

料理ではよくある「大さじ1、小さじ1」などの概念もまったくわからない。いったい何に対しての大さじなのか? 手元にある適当なスプーンでもいいのか、もしくは何mlみたいな定義が存在するのか? だんだん、そんなことをしてまで料理しなくてもいいかなあ、という気になってくる。だいたい、料理における酒とは何なのかを調べて買ってきても、そのあと料理をしなかったら無駄に部屋の置き場所を奪うだけかもしれないのだ。

まあ、自分はそうしたハードルを乗り越えて自分で作り初めたのである。それができた理由は「かんたんなものからはじめた」からであった。

必要になるのは3つだけで、まず、「350gぐらい野菜が入っている野菜のパック」。そして、最初からなんか切れてる鶏かなんかの肉。ももとむねのなにが違うのか最初はよくわからなかったからむねのがやすいじゃーんと買っていた。そして鍋スープの元。液体のやつで、ただそれをフライパンに入れて、野菜を入れて、肉を入れて、なんか火が通った感じになりそうな時間までぐつぐつ煮込むだけでいいので、調味料は何も必要ない。

次第に、パックの野菜だけじゃ物足りないな、という時にきのこを買ってきたり、ちょっと味付けをかえてみたり、鍋のスープを自分で作ってみたりと少しずつアレンジを加えて覚えていったのだ。

何事もかんたんなことから始めるのがいい、という話だった。

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