昔通っていた本屋の跡地をみながら思い出を語る

いろいろな事情で本屋がなくなりつつある昨今である。これから先も本屋はその数を減らし、思い出も消えていくだろう。だから、思い出せる限り僕が通っていた本屋の思い出を語ろう──そんな記事を書いたのだが、個人的な話が多すぎて「他人に知られたくないな……」と思い6000文字あまり書いた文章は破棄してしまった。それだともったいないので、個人的な思い出は少なめにして昔通っていた本屋の跡地をストリートビューでみてみよう。

成瀬篇

僕が幼少期から23歳ぐらいまで過ごしていたのが東京都町田市にある成瀬という駅の街。町田駅の隣町で特に何かがあるわけではないが飲み屋も何件かはあるし、うまいラーメン屋もいっぱいあった。本屋も三軒ぐらいある、こじんまりとした良い街だった。下記はその一例。ここにはでかいロイヤルブックスという本屋があって2015年までは写っているがその後は星乃珈琲店になってしまっている。雑誌とか立ち読みに行っていたけど残念だな。

上記の場所にも個人でやっているような本屋があったような気がするのだけど今はケバブ屋? だかなんだかになってしまっているな。あと接骨院。

ここは成瀬駅の裏側で塾がいっぱいあって僕は通わされていたから、よくこの本屋は利用していたのだけど……。新選組関連の時代小説(沖田総司とか近藤勇とか特定の人物にフォーカスしたシリーズがなんかあったんだよね)をこの名前も忘れてしまった本屋でいっぱい買ったな。

成瀬駅だとこのローゼンの中にも小さな本屋があった。今もまだあるみたいだ。品揃えがいいわけではないから特に何か買った記憶はないけど、学生時代の知り合いがバイトしていたりと思い出深い場所ではある。

町田篇

町田で一番思い出深いのはこの久美堂本店だ。地域密着型の本屋で町田に通っていれば知っているとおもう。僕はここで大学の4年間アルバイトとして勤務し、ひたすら返品作業をしていた。本屋は止まっているように見えるが、毎日大量の本が運ばれ、そして出ていく、川のような場所だと思った。

毎日店長が前年の同じ日と売上を比較していたけど、それをみて本屋というのは儲からんなあと実感した記憶がある。バイトや社員もみんな本が好きな人で毎日楽しかったな(同僚と仲が良かった記憶もないけど)。

町田のこの西友(これ西友だよな?)にはリブロという書店が入っていたのだけどとてもでかくて、バイト先で本を買うのは恥ずかしいので必要な時はここで買っていた。フーコーとかアーレントとかを買っていた記憶がある。ここは理工学書の品揃えも素晴らしくて、町田では一番好きな本屋だった。リブロが入っていた場所には今は個別指導塾が入っていたみたいですね。

町田には昔(2000年代から10年代初頭)は本当にたくさんの本屋があって、漫画専門のジュンク堂もあったし(オープンして2年ぐらいであっというまになくなった)、巨大な丸善の本屋もあったけど今はすべて閉店済みだ。

上記の場所のB1階はたしか丸善があった場所で、オープン直後にいったことがある。しかし広大な場所に客は僕含めて2人ぐらいで店員は8人ぐらい。圧倒的に店員の方が多くてその状況をみた瞬間に「あーこりゃあかん」と思ったものだった。実際、一年持たずに数ヶ月で閉店してしまった。

町田は今挙げた以外にもたくさんの個性豊かな本屋があった。三省堂、福家書店、あおい書店、ソリッド・アンド・リキッド、有隣堂(有隣堂は24年の4月1日に閉店)、古書店だが高原書店。一時期町田は本の街といっても過言ではないほど本屋がある街だったが、今では見る影もない。

二子玉川篇

個人的に思い出深いのが二子玉川の高島屋だかなんだかの中に入っていた紀伊國屋書店。二子玉川は当時通っていた高校からの帰り道にあり、かつ僕は自由が丘の塾に通っていたのだけどたいていサボっていたので、時間をこの紀伊國屋書店で潰していた。毎日何時間も本を立ち読みしていたので相当迷惑だったと思うが僕にとっては命の恩人ともいえる書店である。

ここで西尾維新を立ち読みして発見した時の衝撃は忘れがたい。当時かなり戯言シリーズがすでに刊行されていたから、足が疲れるのもいとわずに読み続けた記憶がある。せめてもの擁護をしておくと、毎日もらっていた夜ご飯代を切り詰めて(当時はハンバーガーが60円か80円だかと安く、ハンバーガーとバナナで飢えをしのいだ)文庫一冊であっても買って帰るようにしていた。

新宿時代

その後就職して働くようになると僕は客先で常駐するタイプのプログラマー、SEになって主に新宿に勤務するようになる。新宿は東口と西口が大きく離れているのでどっち側勤務かで行く本屋が変わるのだけど、東口に通っている時はこの紀伊國屋書店本店に毎日行っていた。

ここは一階に新刊の話題所がいつも入れ替えられながら置かれているのでまず会社に出社する前にここをチェックして、帰宅時にもう一回チェックするのが日課だった。帰り際はそのまま二階にいって文芸棚を一通りチェックして、最後に五階に行って科学書をチェックする。品揃えは言わずもがな、圧倒的なのでとにかくこの店をチェックしていれば読みたい新刊を見逃すことはないという安心感がある、心強い味方だ。

西口に行っていた時はブックファースト新宿店に通っていた。ここは新聞書評に載った本やランキングの陳列がみやすく、地下であることも手伝ってか環境的にも居心地がよかったな。

本郷時代

その後いくつか引っ越しするのだけど東大の目の前に住んでいた時は東大書籍部によくいっていた。さすがの品揃えだけどそれ以上に棚の出来が圧巻。たぶん良い出版営業の人が棚をよくみてるんだろうね。

本郷に住んでいた時は古書&新刊書店だがよくこのBOOKS青いカバにも行っていた。買うというよりは本を売っていたというのが正しいけれど。小さいけれどとっても良い店です。駒込駅から近いからよかったら行ってみてね。

渋谷時代

その後また転職して渋谷に住むことになるのだけど、徒歩圏内に渋谷のMARUZEN&ジュンク堂があったのでずっとそこに通っていた。レジ前の注目の新刊書コーナーが素晴らしい出来で、そこを二週間に一回ぐらい訪れたらすごい勢いで買ってしまう。フェアとかもよくやっていてみてまわるのも楽しい。惜しくも2023年1月31日で閉店。これはなかなか衝撃だったな。

おわりに

今はまた渋谷からも引っ越しているのだけど現住所は別に公開したくないので、それはまた別の機会に。今住んでいるところにも小さいけれどとても良い本屋があるから、またいつか紹介できるといいな。

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