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ファストパスはチャプター機能だ


【ATTENTION!!】
今作は、私(ディズニー好き)がとある質問をされた際の脳内を言語化したものだ。良くも悪くも「オタクのほざき」であり、それ以上でもそれ以下でもない。それらのことを理解した上で読み進めてほしい。


■序章

ディズニーパークのことをよく話している私には、嬉しいことに様々な質問や改善方法を聞かれる。答えが一つに絞れないものや、愚問など多種多様だ。

おすすめのパークフードは?
空いてるトイレってどこ?
いい回り方ってどうするの?
なんでディズニーを好きになったの?
ランドとシー、どっち行った方がいい?… etc.

その中でも答えるのに一瞬、躊躇する問いがある。それは "並んでいる時間の過ごし方" 。明確な回答が無いから躊躇するわけではない。本当に私が言いたいことが相手の求めている返答と異なっているからだ。普段では「アトラクションの後の予定とか、食べたいものがどこに売っているか調べたりすれば?それでも暇だったら、人狼とかやればいいし。」のように答えている。
こう言うと必ずそれは分かっているんだよなぁという顔をされる。私もこれでは薄いと感じながらも、仕様事なしだ。だが今回、この場を設けたからには言おうではないか。私がこの質問を投げかけらときに考えている事柄を。


■本題へのステップ

・お話というものは

ストーリーテリング含む「お話」と分類される作品は、受け手を飽きさせないためにも緩急がほとんどの場合必要になってくる。何が前提となっているのか。何が引き起こされるのか。それが作用した後にはどんな現象が待ち受けているのか。そのような物語を作る際の根底となるのが起承転結だ。
物事の背景や事前に伝えておきたい情報である、
話の導入部分や伏線を張る部分にもあたる、
物語が展開して作品の一番の目玉にもなる、
伏線回収や種明かしなどの物語を終結へと導く、

これらがあって、やっと一つの物語と成る。前提が最後まで伝えられなければ解釈不能のまま幕が下り、目的が語られなければ主旨も分からず劇場を後にしなければならない…これらはどれも欠けてはいけないものということをご理解いただけただろうか。

・紛れもなく、作品だ

ディズニーランドは永遠に完成しない。
世界に想像力がある限り、成長し続けるだろう

このウォルト・ディズニーの言葉を知らない人はこの記事を読んでいる人の中にはいないと思われるため、解説は省くこととする。世界のディズニーパークの開発陣は、きっとこの名言を胸に刻みながら日々活動していることだろう。この名言のお陰もあり、ディズニーパークは他の遊園地とも違う確立された存在となった。しかしここで忘れてはならないのが、ディズニーパークは他の遊園地とは違い映画を基にした作品だということ。具体例としてはパークデザインをアニメーターが担当していたりペイントを画家に頼んだり等が挙げられる。なんなら「ディズニーパークにあるアトラクションは手直しできる作品だ」という人もいるくらいだ。
つまりディズニーパークは展覧会で、アトラクションはその展示品だと言って、異を唱える者はいないだろう。

・あなたに質問をしよう

ここではあなたに3つの質問をする。哲学を絡めたりなどの難しい質問はしないため、気張らずに答えを思い浮かべながら読み進めてくれると嬉しい。
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Q. 映画でエンドロールまで観ない人をどう思う?



きっと「人それぞれだし良いんじゃない」と回答する人がほとんどだろう。中には制作陣のことを分かっていないだの、特典映像があるかもしれないだろだの、過激派がいるかもしれない。かといって劇場を後にする人に対して注意する人も咎める人もいないだろう。それが今の世の中の風潮だし、私もそれが悪いとは思わない。
さて、次の質問に移ろう。

Q. 映画上映中、スマホをいじる人をどう思う?



ほとんどの人が「嫌な思いをする」のようなことを答えるだろう。そこには "没入感が薄れるから" や "気が散ってしまう" など、様々な理由が含まれているハズだ。この時代、問いのような行為をしている人がいたら即刻Twitterで総叩きにされるのが容易に想像がつく。それほど世間からはタブー視されているのだ。
それでは、最後の質問へ。

Q. 映画の中盤まで友達と談笑をし、場面が盛り上がってきた頃にやっと集中して観始める人をどう思う?



誰しもが思うだろう。「こいつらは何をしたいんだ」と。友達と話すにも大声が出せないから盛り上がりに欠けるのではないか。映画を堪能するにも登場人物の名前すら知らなきゃ楽しめないじゃないか。どっちつかずになるのなら映画館に来なくて良いのではないか… etc.




■本題

・アトラクションにおいての起承転結とは

ディズニーパークのアトラクションは物語形式になっている(一部アトラクションを除く)。その為、必然的に起承転結を用いて退屈させないような仕組みを取っているのだ。では、アトラクションにおける起承転結とはどの部分にあたるのか考えてみよう。今回は分かりやすく、東京ディズニーランドのビッグサンダーマウンテン(以下BTM)を映画に当てはめて例えていこうと思う。

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ディズニーパークは複数のエリアによって構成されている。それは昭和の人が描く近未来だったり、動物たちの憩いの地であったり。そのエリアというものは、私たちに大まかな役柄を示唆する役目も担っている。BTMがもし映画だったら、冒頭に「アメリカ河の近くからはリボルバーの発砲音が響き…そこにとある男がいた」などと字幕が入るところだ。
アトラクションを取っても大抵は私たちの設定が決まっている。森に来た観光客だったり、冒険者だったりとそれはもう様々。BTMではゲストは「危険な鉱山列車に乗り込む勇敢な開拓者」としてアトラクションに乗り込む。
このに相当する部分は映画の告知で使われる程度の「誰もが知っている前提」を、ゲストに五感を通して伝えているのだ。

ひろむウエスタンランド

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BTMの並び列にいるゲストは、様々な鉱山道具や掘削機、栄えていたであろう西部の街並みなどを目にすることができる。この場面ではかつての金採掘の跡や、なぜ鉱山列車が暴走し始めたのかなどの伏線が読み取ることができるのだ。この伏線をどれだけ読み取れるかが後の物語の面白さを大きく左右する。ヱヴァンゲリヲンがここまで人気である理由の一つに「膨大な数の伏線」が挙げられるほど、伏線を知ることは作品の満足度を上げるのに重要なことだ。

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画像引用:https://ameblo.jp/imagical/entry-12383165721.html

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ここからが皆さんご存知、アトラクションのメインとなるライド乗車後の部分に相当する。「暴走列車に乗り込み、人がいなくなり生き物があちこちにいる鉱山を猛スピードで駆け巡る」という物語は、きっと既知の事柄だろう。なのでここでは特に言及しない。

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東京ディズニーリゾートにあるスポンサーの付いている人気アトラクションには、大抵の場合は「スポンサーメッセージ」というものがあるのは知っているか。アトラクションの高揚感に包まれ、おぼつかない足取りで見る言葉はなんとも胸に刺さるものがある。この感覚やスポンサー名表記というのは、どことなくエンドロールと近しいものがあると思っているのでこの枠に入れさせてもらう。
まぁBTMにはスポンサーメッセージは無いんですけどね。ヘヘッ!


・並んでいるときの過ごし方

〖もしライドに乗るまでスマホを観ていたら?〗
〖もし並んでいる最中、友達とずっと話していたら?〗

これを映画に当てはめてみる。するとどうだろう。

【もし映画の中盤までスマホを観ていたら?】
【もし映画上映中、友達とずっと話していたら?】

映画の序盤を堪能しない不届き者」とは言い表せないだろうか。映画が盛り上がるまでは隣の人と話す蛮族と果たして何が違うのか。確かにそう時間を費やすのが一般とされているが、丹精込めて作られた作品に対してはあまりにも冒涜的な行為ではないか…

んぉっほん。(咳払い
とまぁここまでは言い過ぎだ。反省しよう。しかしこれが今記事の題材なのだから言いたい事は言わせてもらう。

「並んでいる時に何していいか分からない」と脊髄反射で結論を出さずに、もし私がこの世界に住んでいたらを一度考えてみてほしい。そこに〇〇があれば便利なのか。たしかにこういう道具が必要だよな。これは少しおかしいんじゃないか…などの思考を巡らせていれば数時間なんてあっという間に過ぎてしまう。
その考え方が性に合わなければ、もし私がこのアトラクションを作っていたらなどと考えてみるのも良いかもしれない。そうすれば制作陣の根気や手を抜いている箇所というのが見得てくることだろう。


・FPはチャプター機能

やっと本題に入る。お待たせ。

コラム:
アトラクションやショーの際に並ばなくても体験できるという「東京ディズニーリゾート・プライベートVIPツアー」たるものがある。それをディズニーにまともに行ったことの無い私の友人が、これを使う等と言い出した。私はこんなにも浪費なことは無いと常日頃思っているため、どういう人に合っているのか説明をしたのを覚えている。結局彼は金銭的に利用しなかったのだが。

チャプター機能というのは、一度観たシーンを重複させないための機能である。これは "初めて作品に触れる人向けではない機能" とも言い換えられ、ファストパス(以下:FP)もこれと同じなのだ。「お気に入りや観たいシーンまで飛ばす為にチャプター機能を使うように、ライドのみを堪能する為に使うのがFP」と説明すれば分かりやすいだろう。アトラクションをまともに体験したことのない人がFPを使うというのはなんとも勿体無い

総体験時間が短い=体験価値が下がるというわけではない。なんなら10分で終わる濃密な映画があっても面白いし話題にはなるとは思う。ただ超急展開の映画を作る際の一番の難所は、観客を没入させにくいということだ。仮に内容の濃い短編映画が作られれば、飽きやすい人の増えた現代ではウケるだろう。しかし受け手にほぼ全てを伝えなければ、ただのショートフィルムになってしまう。
これはディズニーパークのアトラクションにも適応できる考え方だ。並ぶ時間が短いと世界観に没入し難く、制作陣の拘りを蔑ろにしてしまう。それが上記した「勿体無い」の真意である。実際、センターオブジアースを待ち時間5分で乗車した場合と2時間並んだ場合とでは、体験後の高揚感というのは段違いで後者の方が高いのだ。これは私と友人3人のみのデータであるため研究対象としては極端に少ないが、この説に異を唱える人は会ったことが無い(もしいたらぜひDMなどで教えてほしい)。なのでFPは体験価値を向上させるためにも、遠方のゲストのためにも有料化しても良いとさえ思っている。「好きな人と来ていて、話が続かなさそう」というウブな人にはFPはお勧めだが。

■結論

スマホも開かず、置いてあるものを分析しないのは正しい楽しみ方でない…などと言う気はさらさら無い。それは私と一般ゲストで前提が違うからだ。私は皆さんにパーク楽しんでほしいが、パーク楽しむのが大半のゲスト。要するに「パークのコンテンツを堪能するのではなく、友達や恋人とパークで盛り上がるのが一般的」とされている。つまりどちらかと言うと私の方が異端児というわけだ。なのでどう声を荒げて力説をしようと、今作の冒頭でも述べたように「オタクのほざき」と言われるだけである。ただ『こういうパークの楽しみ方もあるんだな』と思っていただければ、筆者としてもそれに越したことはない。


(※現在ファストパスの発券は行われておりません。ですが読者にも伝わり易いよう、よく知られたファストパスを用いて解説しています。)


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