リアル

昼の12時過ぎだっただろうか。

日差しが私の目を刺激し、否が応でも目を覚ました。

いつも通り携帯を空な目でチェックをする。

「今日は年商10億の起業家の方に話を伺いました。思考マインドが違い、私もその思考マインドを実践していきます。」

大学の友人が二人で撮った写真と共に、威風堂々とした文章をストーリに載せていた。

「何が思考マインドだよ。慣れない横文字で意識高いフリをするなよ。」

私は卑下するようにボソッと呟き、次のストーリーに飛んだ。

「マジでこのバイト最高!先輩飲み過ぎで潰れました。」

男女8人が肩を組歌いながら、お酒を飲ませ合うストーリに吐き気がした。

「こんなバイト先最悪だろ。誰が入りたいと思うんだろう。」

私は見下すようにボソッと呟き、次のストーリーへ飛んだ。

「優勝まであと一歩!この仲間と一緒にできて最高でした。」

泣いて肩を寄せ合う野球部ののストーリに苛立ちを感じた反面、自分の中に違和感も感じた。

「どいつもこいつも意識が高くて、さぞかしご立派なんだな」

私の心にはぽっかりと穴が開いていた。

ここで私はある事に気づいた。

私は毎日学校には登校しているが、色恋沙汰もなく、夢中になれるものもない。しかし別に不登校でもないし、学校に行けば親友とまではいかないが数人は友達は居る。

けどこの心の穴は何なのだろうか。

あ。そうか。一番惨めで寂しい奴は僕だったんだ。人を卑下してしか生きられない僕がこの世界のリアルなんだ。

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