題名 案内するおっさん

おっさんはガイドをやってから言い慣れた山の案内をする。
「この山は鬼ヶ山と言う。名前の通り鬼はいるし色んな妖怪もいて昔から山頂から湧いて出てくるんだ。
だが、幕府と陰陽師たちが手を組んで封印をして妖怪の噴出は収まった。その後、外に出ていた妖怪も次次に退治され絶滅した」
おっさんが山頂を指す先には山頂に巨大な栓が見える。
「あの栓なに?すごいダサいだけど」
「あれは山頂に突き刺し封印するための栓だ。たしかにダサいが効果はテキメン」
「そうなんだ。そもそもなんでこっちの世界に妖怪は来るの?」
「あの山頂の火口と妖怪がいる世界は繋がっていて、来る妖怪はあっちの世界じゃ生きていけない弱いからこっちに逃げてきたんだ。
あっちにいった陰陽師や武士いわくこっちの世界で稀に現れる強い妖怪が普通にいてさらに強い見たこともない化けもんまで居たって話だからな」
「それうそじゃないの?よくある武勇伝で誇張して言ってそう」
「俺は今は山を案内するおっさんだが、祖先は陰陽師だったんだ。
この話はくたばったひい爺さんから聞いたんだから本当さ」
そんな話を聞きつつ山頂を見ていると巨大なシルエットが見えてくる。
「じゃあ山から這い出てくるあれは妖怪なんだね。でっかーい」
「マジで。ホントマジだわ。じゃあ危ないから坊主さっさと家に帰えんな。
おっさんは今から陰陽師の時間だから」
「でも、あれすっごい強そうだよ。大丈夫?」
「俺はこのために今まで修行してきたんだ。あんなデカブツなんてけちょんけちょんにしてやるさ」
「じゃあねおじさん頑張って。死なないでね」
「任せろ。坊主も生き残れ」
そういうとおじさんは空を駆け、デカブツに向かっていった。
「おじさんはおおげさだなぁ」
山頂に現れた見たこともない巨大な妖怪を見て死を予期する。
「ひい爺さん言って化けもんだな。一生に一度のおっさんの晴れ舞台を楽しむか」
辺りを見回すと鬼ヶ山を囲むようにある町や村から同業の陰陽師たちが空を駆けている姿が見える。
その日は山の封印が破壊され最上位級の妖怪「がしゃどくろ」が現れた。
駆け付けた陰陽師が命を賭して時間を稼ぎ、その隙を長年存在意義を疑問視されていた税金貪り超兵器によって撃退された。

事件が終わって数日後の事
僕は病院におじさんが入院していることを聞いて再び鬼ヶ山町に来た。
おじさんは隻腕になっていたが生きていた。
「おっさんも名誉の負傷を負ってかっこよくなっただろう」
「うん。かっこいいヒーローみたい」
そうだろうそうだろうとおじさんは頭を撫でた
終わり

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