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臆病

イヤホンの充電が溜まるまで。
少しだけ言葉を。

なんだ今日みたいにうまくいった日の夜は、
やけに不安が窓から見てくる。
昼間との格差みたいなもので僕は落ちぶる。

この年になってもうお化けは怖くなくなって
それよりも漠然とした不安とか孤独感とかが、
夜寝るときに怖くなる。

怖いといってもお化けのそれとは違う。
なんだか純粋な怖さじゃなくって
もはや怖さという輪郭さえあやふやになっている。

今ある女の子と仲良くしてる。
そんで多分その子と付き合う気がする。

これでいいのだろうか。
いつもとおんなじだ。

好意を向けられたから、好意を向け返す。
病気なんだろう。
その病気はどこから来たものだろうか。
私の19年間、ほとんどそんな恋愛だった気がする。
恋愛というには烏滸がましいとも思う。

・・・

高校のころ、多分
いや、もうごまかすのは止そう。
高校のころ、好きだった女の子がいた。

とても素敵な子だった。

背は150センチくらいだろうか。目が細く、少し丸い(高校生活で瘦せていってた)、肌に浮かぶ血管が目立つほど真っっ白な子。
髪型はボブ、名前には月という言葉が入っており、銀色フレームで顔の半分を覆う(多分顔が小さかった)丸眼鏡をかけていて、猫背だった。

好奇心が旺盛で、16歳ながらうどんを食べたいからと一人で香川に行こうとすることもあった。好きなバンドは銀杏boysとマキシマムザホルモン。
授業中もよく寝ていてそれを見るのが好きだった。

性格は良い方ではなかったと思う。なんとなくだけど。
分かんない。最後のほうは好きすぎてどうにか嫌いになろうと思い性格が良くないと思い込もうとしてたのかもしれない。

一年生のころから惚れていた。
その子は音楽が好きな子で自分もギターを弾いていたからそれきっかけで話せた。(その子が英語の時間、好きなアーティストを発表したとき、マキシマムザホルモンって言ったのでわかった。びびったよね。)
お出かけもして、好きなことを伝えて、ちゃんと敗退していった。
そこから話すことがなくなった。話せなくなった。

それでもあの子の気を引こうと文化祭でギターを弾いた。ドラムをたたいた。これが精いっぱいのアプローチだった。
舞台から降りた後、ギターを担いで教室に戻るとき、放課後の教室。
すべてに期待した。

在学中、彼女は何人かいた。好意を向けられたから好きだった。
でも、学校じゃ好意を向けられてもないのにその子のことが大好きだった。

卒業式の日、その最後まで大好きだった。
考えてたのは、
「高校からの解放、夢のキャンパスライフ!」
そしてあの子だった。
ついにだめだった。話すことさえままならなかった。
後悔はできなかった。感情に資格はいらないのに、持つ資格は無いように思えた。

多分私の病はここから来たのだと思う。
いや、もともと病自体はあったんだ。それがこれで悪化した。
恋愛に正しいも間違ってるもないと思う。人によって定義は変わるから。
でもどうしてか。今の自分は間違っているような気がしてままならない。

・・・

なんだか潔癖な男の諄いお話でしたね。
おやすみなさい。

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