仮面ライダーBLACKSUN 感想

はじめまして。ふたごろと申します。
初投稿です。

先月末、仮面ライダー50周年記念作品の一つとして配信された「仮面ライダーBLACKSUN」を観ましたのでその感想を書いていきたいと思います。
観終わった後の率直な感想といたしましては、

「50周年記念の、しかも過去ライダーのリブートでコレやる必要ある?」

といった感じです。
先に宣言しておきますが、半分以上はネガティブな意見になると思います。
それでは改めまして、よろしくお願いいたします。
(※この感想は仮面ライダーBLACKSUN視聴後でないと分かりづらい場面があります。若干のネタバレを含みのでご了承ください。)

・仮面ライダーとぼく

はい。「感想はどうした?」との意見もあるでしょうが、まずその前に僕と仮面ライダーとの馴れ初めを自己紹介がわりに読んでいただけるとありがたいです。

僕は1992年生まれで、2001年に平成ライダー第一号である仮面ライダークウガが始まるまでの幼少期を仮面ライダーのTV放送がなかった空白期間の中で過ごしました。
そんな中で親が借りてきたビデオの中に、『仮面ライダーBLACK RX』がありました。
もともとヒーロー物が好きな母親の影響もあり、他にも初代ライダーやV3、ゴレンジャー、ウルトラマンやメタルヒーローシリーズなど色々借りては観ていたのですがやはりRXは図抜けてカッコよく、子供の頃の僕は夢中になりました。その頃の影響を今でも引きずり、30歳になった今でも昭和ライダーを見返しては「かっけぇ……」と感動したりしなかったりしております。
そんな僕が一番好きな仮面ライダーは仮面ライダーBLACKで、「コレ子供向けなの!?」と思うほどの設定の重厚さやライダー・怪人のデザイン、南光太郎演じる倉田てつを氏のカッコよさなどなど、仮面ライダーシリーズ最高傑作だと思っています。

仮面ライダーとの馴れ初めはこの辺にして、僕の仮面ライダー遍歴を簡潔にまとめていきます。

・昭和TVシリーズは1号〜RXまですべて視聴
・平成ライダーはクウガ、アギト、龍騎、ダブル、オーズ、ドライブを視聴
・令和ライダーはすべて未視聴
(大体5話くらいで観るのをやめてる)
・仮面ライダーアマゾンズは食わず嫌いで未視聴(「仮面ライダーアマゾンでやる必要ある?」と思っている。観てないけど)

長くなってしまいましたが、まとめると僕は昭和ライダーファン、特に仮面ライダーBLACKが大好きです。そんな仮面ライダーBLACK好きの端くれとして感想書いていきますね。

仮面ライダーBLACKリブート作品としての違和感

まず感想を書くに当たって、配信前のPVや、視聴中、後と僕が感じたのが仮面ライダーBLACKのリブートとして生まれた本作に対する違和感。

まず、仮面ライダー(特に昭和作品)とは、「人間の自由と世界の平和のために、悪と戦うヒーロー」であり、大体の作品はこれに則ってヒーロー像が決まっています。
それを考えたときに、本作は主人公が全然ヒーローじゃない。ホームレスからカツアゲをし、殺しの依頼を受け、謎の薬物を腹に打ち込む危ねえヤツ。それが本作の南光太郎です。
この時点でヒーロー物が観たかった僕としては大マイナスで、正直2話くらいで「あ、これは仮面ライダーじゃないな」と思いながら観ていました。

原作だと重要なキーワードである、世紀王という言葉も出てこないし、創世王も素質があれば誰でもなれる(原作だと特定の条件でないと世紀王は生まれない)感じで結構緩い。
仮面ライダーの相棒であるバイク、バトルホッパーも原作では生体メカでしたが今作はただの改造バイクです。
ガチガチに原作をなぞるのもただの焼き直しになっちゃうので良くないと思いますが、ここまで緩いと「これ仮面ライダーBLACKじゃなくて良くね?」と思ってしまうのも当然かなと。

完全新作であればそんなに文句はないのですが、僕は50周年記念のメモリアル作品でそんな違和感を感じたくはなかった。チャレンジ精神は凄いけど今やるなと言う気持ちでいっぱいです。

取ってつけたような原作リスペクト要素

そんなヒーロー物ではない映像作品に原作要素を入れるもんだから、登場人物のキャラ描写と物語の雰囲気がちょこちょこ壊れます。
配信前のPVでも話題になった「許さん!!」のシーンも全体通して観ると「コイツなんであそこでキレたんだろう?」といった感じです。そもそも葵は殺しの対象だったし、今まで怪人にされてきた人間もいっぱい見てきてそうですしね。
多分アイツが怒るときは貸した金を返さなかったり、いきなり襲い掛かったりされた時くらいでしょう。他人のために立ち上がる人間では確実にない。

また、最終話OPの原作OP再現のシーン。
我々仮面ライダーファンは倉田てつを氏の『仮面ライダーBLACK』を聴くとテンションが上がるように脳改造が施されており、それを利用して視聴者のテンションを爆発的に上げるに至りました。
ただこの仮面ライダーBLACKSUN、仮面ライダーなのにバイクアクションがほぼ皆無。バトルホッパーもフツーのバイクです。その中の再現シーンなので、やはり浮いてるように感じてしまいます。

またこれはイチャモンに近いですが、最終局面のシャドームーンとの対決のシーン。
ライダーキックからパンチは逆やろ!
原作である仮面ライダーBLACKの必殺技はライダーキックで、よく使われるのがライダーパンチ→ライダーキックのコンボです。何故逆にした!?原作リスペクトやるならそのコンボやってほしかったぞ!!と。
「そんなんで怒るなよ…」と思う方は、一度仮面ライダーBLACKをしっかり観てほしいと思うわけであります。(堂波総理風)

ポリティカルとかうるせえよ 黙れよ

もっと言わせてもらうとこの物語、種族差別やら政治家の汚さみたいなのを全面に押し出した話なのでそもそも仮面ライダーと怪人要素が結構ジャマです。
昭和特撮も物語、設定に無理があるものはかなりありますが、ヒーロー周りの設定は意外としっかりしています。
例として、仮面ライダーBLACK RXの「その時、不思議なことが起こった!」は有名ですが、アレも作品中で「光太郎の悲しみにキングストーンが反応して〜」的な描写がありますので、ツッコミはするものの矛盾を抱えるほどではないです。

しかし本作に登場する怪人たちは、
・元々は第二次大戦間の実験により人間から改造されて生まれた
・怪人の子供は怪人として生まれる(怪人2世とでも呼ぶべきか)
という設定があります。
その上で人間と怪人の対立関係(ほとんど人間側の一方的な差別ですが)が描かれていますが、怪人2世以降の怪人たちは自分たちの親が元々人間だったことを知りません。
「なんで!?普通親に教えてもらうだろ!!」
というのが素直な感想ですが、現実問題の民族差別に寄せるためなのか怪人を相当バカに、そして弱く描いています。
怪人も一部を除いた上級怪人を除き、特殊能力があるわけではなく、武装した人間にはまったく勝てません。一般市民からは蔑まされ、大手を振るって道を歩くことを許されない。
それでも人間は被害者面でデモをして、潜在的に怪人を恐れているような心理が作中にチラホラ見られます。
結構矛盾してねえか?せめてどういう経緯で人間社会に怪人が出てきたか、人間が怪人を脅威とみなし、迫害するようになったきっかけの事件とかあれば対立構造として良かったのに…。
なので映像中の人間側の怪人に対する主張は「キモい」「臭い」が主なものとなっています。そんなん10話もやってどうすんだよ。せっかくの怪人っていう存在が弱いのよ。
確かに十分差別にあたる要素ですし、「こういうくだらない事でも大きな問題になるんだよ」とか「マイノリティがマジョリティを迫害するヤバさ」みたいなメッセージなのかもしれませんね。

そもそも今作の悪(ゴルゴム)は政党であるため規模が小さいし、「自分たちのすることが絶大な影響を及ぼす」従来の敵組織と違い、「国民は無知であるほうが良く、水面下で悪事を働く」という地味〜な組織なので必然的にヒーロー要素と怪奇要素が弱いです。その弱さをグロで補填してるため、ほとんど社会派暴力映画の様相です。どうしてこうなった。

「許さん!!」と思ったシーンの話


僕自身政治がよく分からぬ人間なので、差別の歴史とか、全共闘云々の話はよくわからないですし拗れるのであまり書きたくないですけど、一つ許せないことがあります。

それは、最終話にて堂波総理(明らかにモデルがある人)が怪人に殺されるシーンで原作仮面ライダーBLACKのBGMが流れた事。

原作では主人公が変身する時や、追い詰められて逆転する時など、かなりアツい展開で流れるあのBGM。
それをあんなにチャラけた感じで、諸悪の根源とはいえモデルのある政治家を殺すシーンに使ってしまうのには悪意すら感じました。

そしてそのBGMの中で蝙蝠怪人が放つ「コウモリキーック!w」というフザケた攻撃。
作品中で技名を叫びながら攻撃したのはこのシーンだけです。
ヒーロー特撮を馬鹿にしてるのか?
なんだか今まで自分が好きで見てきたものを馬鹿にされて、「大人になれよ」と言われてるようで、切ない気分になりました。

とはいえ良いところもあったんですよ

観終わった後に生まれた感情を順番にして感想を書いては見たものの、文句ばかりになってしまいました。
ですが、あくまで過去作のリブートをこのような形にされたことへの文句であり、完全新作のヒーロー物であれば別にアリだと思います。

というか僕はテレビの前に長く座っていることが苦手で、アニメやドラマの一気見なんてしたことなかったのですが、今作はそんな僕が全10話一気に視聴が出来るくらい面白かったです。そこそこですが。
というわけで、観て良かったなと思った部分をパパっとまとめていきます。


・メインテーマ、BGM

本作のOP、シリアスなシーンに流れるBGMが耳に残ってかなりいいです。使い勝手も良さそうなのであのBGMが流れるボタンみたいな玩具を販売して欲しいです。

・グロ描写、戦闘描写

ヒロイックなものでは決してないですが、グロシーンと戦闘描写は良いなと思いました。
派手な必殺技こそ出てきませんが、それは初手から相手を殺す為。放つ攻撃はすべて的に致命的なダメージを与えるもので、やれ腕やら脚やら切ったりモツ引きずり出したりと敵を確実に倒すことに余念がありません。
それがリアルなのか?という話ではありますが、敵を倒すために改造人間の能力をフルに使っている戦い方は良いなあ、と思いました。

・変身ポーズ、ベルトのギミック

これはもうカッコいいの一言です。
光太郎、信彦、葵の3人ともキレのある変身で、ベルトもどれもデザインがかっこいい。
願わくば、葵(蟷螂怪人)の変身はベルトを足しただけでなく別形態を用意してほしかったところ。
仮面ライダーのデザインについては正直普通だなと思いました。ブラックサン、鯨に蘇らせてもらったときに黄色のラインとか入ってほしかったなぁ。
また、ブラックサンやシャドームーンが2段階変身なのも良かったです。「バッタ男にアーマーが着く」という原作設定が活きてますね。

・創世王とヘブン

創世王の存在に対しては正直微妙ですが(原作ではめっちゃ偉いけど本作はただのエキス係)、作中唯一の怪奇要素です。ヘブンを食べる=人間を食べるということなので、そのエグさも良いですよね。あんまり活かされてなかったけど…。

まとめ

まとめます。(進行下手)
とにかく、本作は話はそこそこ面白かったですが、「仮面ライダーBLACKのリブート」としては正直100店満点中で7点くらいしか無いです。
40分10話のボリュームの割にはヘボいヒーロー描写、ビターかつエンドレスなエンディング、反応に困る政治描写など、50周年記念として両手を上げて喜ぶにはあまりにも重たい。
これを観て「大人向け」というのは無理があるし、社会的描写の批判に向けて「普段からそういう問題に対する理解が浅いんだ!」と言われるのも僕は違う気がします。
この作品を通して現体制の批判をしたところで、その人達の後ろについているのは仮面ライダーでもスーパー戦隊でも何でもなく、もう一人の堂波でしかないと思うので。
仮面ライダーは孤独なヒーローとして生まれてきた存在。自分の信じた正義を他人に強要するショッカーのような存在にはなりたくないもんですね。

仮面ライダーアマゾンズが気になる話

この映画を観終わって、『仮面ライダーアマゾンズ』がとても気になっております。
仮面ライダーアマゾンも大好きで、少し観た段階で「こんなんアマゾンじゃねえよ!」と観るのをやめてしまった数年前。仮面ライダーBLACKSUNを観て、そこそこ面白えなと思った今なら観れるかもしれないので、暇なときにでも観ようかと思います。

おわりに


さて、感想と言いつつダラダラと文句を書き連ねてさせて頂きました。
ここまでこんな駄文を読んで頂きましてありがとうございます。
また何かあればなにか書くかもしれません。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?