見出し画像

ファゴットパートより「あと13日!」

皆さんはじめまして。
北大オケ・ファゴットパートです。
100周年演奏会まであと13日です。

音楽に詳しくなければ「ファゴットという楽器、初めて名前を聞いた」という方もいるでしょう。
ですがオーケストラのファゴットはカレーで言えばジャガイモ、主役の花形楽器ではないけど、全体の響きをゆたかにするのはもちろん、その個性によってふとソロを目立つ動きをしては聞く人の心を掴むこともできる、そんな楽器といえばなんとなく伝わるのではないでしょうか。

「ファゴットの音をとりあえず知りたい!」という奇特な方には、筆者はまずは「東京藝大ファゴット集団」のYouTubeコンサート視聴をお勧めしています。楽器の特性が分かりやすい。

ファゴットパートはどんなパート?

一年生から四年生まで10人がいます。
基本的に人手不足に悩まされるパートで、中心年目となる三年生は一人もいません…。
突然変異で二年目が5人もいることを除けば、常に猫の手も借りたい空気を出しています。

仲が良いのは勿論なのですが、それ以上にそれぞれなりの芯を持ってファゴットを吹いている人が多いパートのように思います。授業や実習で忙しい中、それぞれが工夫しながら練習しているからこそ生まれてくる雰囲気なのかもしれません。

定期演奏会での一枚

今回の演奏会、100周年ということで滅多にない歴史的な演奏会に演奏側で立ち会えることに気合が入っています。各曲について、その見どころ・聴きどころをまとめてみました。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より前奏曲

最初に演奏される『「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より前奏曲』は出だしを飾るにふさわしい華やかな曲。そんな「ワーグナー・サウンド」に圧倒されてほしいのですが、同時に木管楽器にも注目をしてほしいです。ところどころに木管の響きをフルに活かした場面があります。ちなみにファゴットの1stは一年目が務めています。

「祝いのために」

その次に演奏されるのは当団の永久名誉指揮者・川越守先生の「祝いのために」。川越先生の曲は演奏者泣かせの難易度のものが多いですが、それは変拍子などの技術的な難しさにあわせていわゆる「場面」が映像的に移り変わっていくという表現面での繊細さを持っているからだと思っています。しかしだからこそ、演奏者はひとりひとりが場面を丁寧に描き、そして楽団全体で統一しながら展開させていきます。

「交響曲第9番」

さて、今回の演奏会のメイン・ベートーヴェン「交響曲第9番」についてです。ファゴットは今回この曲を2年生5人で吹きます。筆者もこの曲に乗っているのですが、パートの同期全員と一緒に吹く、実現するとは思っていなかったシートで曲乗りできていることが嬉しいです。

そもそもベートーヴェンはファゴット奏者にかなり「美味しい」場面を与えてくれる作曲家だと思っています。第一楽章から第四楽章まで、楽譜上思わずファゴットに耳を傾けたくなるような場面が比較的多く登場します(聞いて損をさせない演奏目指して練習中です!)。

例えば、第三楽章はベートーヴェンの作品中最も美しい音楽と言われていますが、その冒頭はファゴットから始まります。ファゴットの音がどれほど繊細かにこの楽章が美しく奏でられるかの成否はかかっている、と感じてしまうほどの重圧があります。冒頭部以外にも音が薄い部分でファゴットが目立つ箇所が多く、いかに美しく吹けるかを未だに試行錯誤中です。

そして最後は「歓喜の歌」で有名な第四楽章。「第一楽章のフレーズでもない、第二楽章のでもない、第三楽章のものも違う!」と三つの楽章のフレーズが回想される後にはじめて「あのメロディー」が登場する、その場面にもファゴットがいます。そして何より、続く場面ではヴィオラの対旋律という重要な役割を任されています。また、マーチの部分の出だしなど、合唱が入ってからも他の曲以上に気の抜けない箇所が連続し、ベートーヴェンのファゴットへの愛すら感じてしまうレベルです(笑)

その他、第一楽章や第二楽章にもファゴットから見て「ここが見どころだ!」と大声で主張したい場面が多々あります。フルートの裏で吹いているような対旋律だったり、八分音符による伴奏だったり、細かいところでちらりちらりとファゴットの純朴な音をのぞかせています。

第九という歴史的で、かつファゴットの見せ場を数多くつくってくれるベートーヴェンの傑作を、北大オケ100周年の記念演奏会で吹けるという、とてつもない奇跡に感謝しながら、残り13日を邁進します。
一か月間アーカイブが残るオンラインチケットもあるので、ぜひ私たちに興味を持たれた方に、美しく喜びにあふれた演奏をお届けしたいです!

大部屋にてあと13日!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?