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【ほとんどの動物を見られない獣医さん】

どういうこと!?


僕は獣医師ですが、ほとんどの動物のことが診療できません。

こういう言い方をするとギョッとされてしまうかも知れませんね。

ただ、獣医師が動物に関しては何でも詳しいと思ったら大違いです。獣医療の領域は大変に広く、内科、外科、眼科、泌尿器科、精神科、耳鼻科、、、等々の全てを、あらゆる動物種に対し、たった一人の獣医師が行うなんて当然無茶なわけで、獣医学科の6年間は全ての基礎となる考え方等を学ぶ場にしか過ぎません。
そして、それぞれの卒業生が各々の道に進み、専門性を身に付けるわけです。僕は牛の獣医さんという道を選びました。だから牛は見られますが、その他はさっぱりです。教科書的な薄い知識しかありません。これはどの獣医さんでもたいていそうだと思います。

獣医の就職先

ちなみに獣医学生の就職先ですが、私立大学は50~70%が小動物臨床(いわゆる町の獣医さん)で残りの1/3程度が公務員獣医師。国立大学は小動物臨床の割合がやや低く、公務員や企業(製薬系など)に勤める割合が比較的高いという感じです。もちろん年度によって変わりますが。
詳しくは各大学のHP等をご覧ください。
いずれにせよ、”犬猫のお医者さん”になる獣医学生は意外とこんなもんなんだなぁ、という感想を持ちました。


動物を見る事さえしない獣医師だって山ほどいて、彼らはその専門性で別の角度から動物と人間社会に寄与してくれています。

ペットフードに詳しい獣医さんはどこ?

さてそんな僕ら獣医師の中でも、ペットフードに精通している獣医師が何割いるでしょうか?
僕は、ほとんどいないと思っています。総合栄養食の基準を知っている獣医師もほぼいないと思います。

それは、知る必要が無いからです。

前述の通り、獣医師の活躍の場は多岐に渡っており、大手ペットフードメーカーには大抵獣医師が在籍しています。または獣医師監修のもとでペットフードを研究して製品を作っています。ここにペットフードに詳しい獣医さんがいます。
そうなれば、動物病院の先生は、そういったメーカー獣医師の力を信じ頼ればよいのです。なにせフードのプロですから。
実際のペットオーナーとお話しする臨床獣医師はペットフードの成分や原材料を把握することも大事ですが、そのフードを与えてどんな具合か?等の評判をお伝えする方が重要なのかも知れません。
そこで獣医師は、多くペットオーナーが与えており、今のところ問題は聞こえてこない評判のいい大手ブランドをオススメすることになるのでしょう。そしてそれが臨床獣医師の取れる最善の選択だとも思います。

一番詳しいのは?

結局、以前の記事にも通ずることなのですが、ペットフードの評価は長期間投与して実際どうなったかと言う事こそが重要です。
あなたのワンちゃんと、あげているペットフードの組み合わせという点で言うと、最もそれに詳しいのは獣医師でもフード会社でもなく、オーナーのあなたなのです。
何か調子が悪いかも?と一番に気付くのはあなたなのです。
是非そういう目でよく動物を観察してあげて下さい。

Hunting Villageの専門領域

では今の僕は何の獣医さんなのでしょう?

先述の通り、僕は小動物の診療はしていません。

ただし、恐らくほとんど全ての犬猫の獣医さんより、フードの素材となる動物達を見ています。
特に鹿を獣医学的な目線で見られるハンターで、それを製品化までしている事業者はほとんどいないはずです。
このような超マニアックな専門領域に踏み込んだからには、これからもたくさん勉強して、皆さんに”鹿の獣医さん”として情報をお伝え出来るように頑張りますね!

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