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熊に触れる展示会を開いた。in阿仁。

熊の革製品の展示販売会、熊に触れる展in阿仁、無事終了しました。書いているのは8月14日。会期は8月1日〜4日までだったので、ずいぶん時間が経ってしまった。展示会が終わったあと、山形へボランティアに行ったり、マタギの取材で落合陽一さん御一行が阿仁に来て、若手マタギ一同との座談会のようなことをやらせてもらったりした。そのせいか、1日のインプットが多すぎて、脳が休まらない日々が続いて今に至っている。今日、やっと心に余裕ができたので書くことができた。

展示会には4日間で、約180人のお客さんに来ていただいた。秋田市のときの約半分。どれくらいの人が来るのか全く予想が立たなかったから、体感的には、こんなにもたくさんの人がここに来てくれるのかという印象。地元の方ももちろんきてくれたけれど、わざわざ遠いところから車でお越しいただいた方がほとんどだと思う。たぶん行き帰りで2時間以上かかるのが当たり前なこの場所に来てくれてほんとうにありがたい。くる前ときた後で、その人の中で何かが変わっているならば、ほんとうにやった甲斐があると思えるし、きてよかったと思っていただけるのであればなおのこと嬉しい。

秋田市の展示では、まず何も考えずに熊に触れてもらう、そして触れた熊がどんな風に鞣されているのかについて知ってもらう。そして僕がどんな風なことを考えて事業を回そうと思っているのか、それについても少しだけアピールする。そんな構成で望んだ。

今回阿仁の展示では、前回の構成とは違って「活動報告」をテーマに展示を構成した。具体的には、自著である「授かりものでできている」をベースに、マタギの方々との猟で得た熊の皮1枚を革にし、その1枚から今に至るまでの話を6枚のパネルでまとめた。また、パネルだけではなく、これまで自分が描いた全ての絵を展示したり、書いたはいいけれど埋もれてしまっている文章を印刷して机の上にただ並べたりと、熊の革のことだけでなく、今までやってきたものを全て出し切るというのもテーマの一つにしていた。

アイコの糸を説明している様子
絵。80枚ほど。下にあるのは文章。

お世話になったマタギの方々にも見にきていただいて、こんなにかいてたのか、と驚かれた。自分でもほんと、よく描いたな、書いたな、と驚く。僕はみんなに何か強い影響を与えられるほどの文才も画才もない。そんな凡人な自分でも、なにか人の心を動かせるものがあるとすれば、全体的な何かなんだと思う。そもそもこの土地に来てしまうこと、熊を集めちゃうこと、展示会をやってしまうこと、本を書いてしまうこと、そんな一つ一つのやっちゃうことの積み重なりを見てもらって、ほ〜〜〜〜ってなってもらうしかない。

でも、ほ〜〜〜〜〜〜〜でおわりじゃあ、だめだ。暇な時間、今回の展示中、自分の絵をずっと見ていたけれど、よく描いたなあと思う反面、これがもうひとつ先にいくには何が必要なんだろうか、と考えていた。とにかく描く、みたいなフェーズに戻ることはもうできない。だとしたら、次は何のために描く?でもその「目的」もできれば身体が勝手に動くくらい自然なものでありたい。こうやって考えているうちは少なくとも嘘っぽい目的にしかならないだろうな。そんなことを考えながら僕自身もほ〜〜〜〜〜と思っていた。絵ってなんなんだろうか。

ただ、これも僕がやってきたことの一つ。絵を描いて売る、ということが僕のマルシェ出店の原点だし、一番最初にお金をいただいた原点でもある。あのときの自分がいなかったら僕は今、こんなことやれていない訳だし、絵と革製品は僕の人生的には太い線で繋がっている。だからこそ、絵、どうしようかなと考えるんだろう。絵で有名になったり、何かを伝える手段として使ったり、そういうことにはもうほとんど興味がない。そこはうまく諦められている。でも、きっとなんかあるんだろうなと思う。毎日描くみたいなところから抜けて、どこに自分のスタンスを置くか。何を描くかは僕の場合あんまり重要じゃなくて、描くことをどう捉えるかだったり、自分の人生にどう組み込むかみたいなところが、重要な気がする。洞窟の中で人間が描いてきた絵だとか、白い紙が前にあると落書きをはじめちゃうこととか、そのあたりのことをもっと言語化できたらいいなあと思う。

ずっと絵を見ていた。
本棚。最近読んでよかったと思う本と友達の本。
熊カレーお昼ご飯。ローガンさんありがと😭

活動報告というテーマだったから、熊の革のことについてというよりも、これまで自分が考えてきたことみたいな展示になってしまっていて、ああ、ちょっと自分に寄せすぎたなあと反省している。もっと熊の皮や革のことについて知りたい人が多かったはずだよなあ、自分のことばかり喋ってしまったなあ。
実際、展示を見てくれている人と、そうじゃない人の差が激しいような気がしてて。感覚的にわかる感じではなくて、ちゃんと読まないといけない展示になってしまってたので、読むことが苦じゃない人だったらいいけど、文字量が多くて最初から「もういいよ」ってなってた人もいただろうなあ。そのへんの調整は次に活かす。

となると、毎回テーマを変えたり、展示物の内容を変えたりするのもあんまりやらないほうがいいのかもな、とも思ったんだけど、変える。大事なことは抑えつつ、毎回変化させて、それこそいい感じに収束できたらいいなと思ってます。

ていうことで、今回のパネルも一挙公開。

前回の展示のことをちょっと紹介
白紙スペースに熊の胆も展示。
白紙スペースに最初に作った熊革チャームを展示


と、こんな感じのパネルでした。次はもっといいものになる。頑張る。

ということで、きてくれた方々ほんとうにありがとうございました。やろうと言ってくれたみなこさんにもほんとに感謝しかない、ありがとうございました。次は宮城での展示会。今までよりも小さな会場なので、より濃縮したものを提供したい。ことば、なくてもいいかもしれない。
ということで、次、いきましょう。頑張る!

Instagramアカウント @itaz_leather
で発信しています(あまり熱心ではないですが)。見ていってください〜。

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