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ふきのとう

ふきのとう

マタギに憧れて秋田県の「阿仁」という場所に来たのですが、本当に心惹かれていたのは熊を撃つことよりも、山菜を採ることのほうでした。正直熊って僕のこれまでの人生の中で、ほとんど登場シーンがなかったのでピンときてなかったんですよね。マタギの人たちはいつどんなときも遠くの山を見て「あれ熊でねえか?」としょっちゅう言ってるんですが、それも移住したての頃は「???」って感じでした。「山に入る。熊を撃つ。だから熊を探す」ならわかるんだけど、車の運転中とか、農作業をしているときに、ふと遠くの山を見て、黒い物体を探して、熊を見つけたから何が嬉しいんだろう?てな感じで、あの人達のことがぜんっぜん理解できなかったんですよね。ちょっと、危ないから山なんて見ずに前見て運転してよって思うくらいでした。そんなだから、いざ鉄砲を持って山に入れるようになっても、「はて、おれは何で熊を撃たないといけないのか?」と考えちゃうことも多々ありました。そんなやつがマタギやるなよ、って思われるかもしれないですが、僕はいちいち立ち止まりたいし、自分がほんとうにやりたいことをしっかり把握したいので、自分の感情をずっと観察してました。鉄砲持たないでもいいかもって思ってた時期もふつうにあります。

今はどうなんだろう。熊についての考え方は少しずつ変わっていきました。マタギの人たちがいつも山を見ていることに、今では全く疑問はないし、僕も遠くの山を見るようになりました。熊を狙って山に入ることも、自分のライフスタイルの一つになりつつあります。でもそれが本当にしたいことかどうかはまだわかりません。でもきっと秋になったらひとり山に入るだろうなと思います。今はたぶんマタギの人たちにもっと近づきたいし、もっと知りたい、という思いが強くなってるんだと思います。それくらい近くにいればいるほど、めっちゃかっこいいなこの人たち、って思っちゃうんですよね。なんかこんなこと書けるのほんと嬉しいな。うん、めちゃかっこいいんですわ。

話が脱線しまくってますが、そう、絵はふきのとうです。雪がとけてきた春先に、ちらちら出てくるふきのとう。今年は自分の事業の初年度だったこともあって、山菜センサーをビンビンにしながら山を歩いていたことを思い出します。この絵に描いたふきのとうは緑色ですが、地元の人は「黄色」っぽいふきのとうを狙っています。春先にピョンピョン出るものは放っておいて、山の雪でじわーーっとゆっくり顔を出してきたものを採っていくんだそうです。僕もそれにならってちょこちょこと採りましたが、ぜんぜん採れませんでした。でもふきのとうみたいにいろんなところでいっぱい生えてる山菜は特に「おいしいものだけを採る」って決めると、ゲームの難易度が上がるみたいな感じで、一気に採るのが楽しくなります。見つけた時の嬉しさが倍増します。ぜひお近くでふきのとうがでる人たちは黄色っぽい、見るからにおいしそうなものを採ってくださいね。僕も負けじと採ります。

はい、ということで今日はおしまいです。読んでいただいた方、絵を見ていただいた方、ありがとうございました。また明日もやってます。

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秋田県の阿仁という地域の絵を「狩猟採集民の絵」として載せています。 さっと見ていってください。 6月16日〜7月15日まで、毎日朝7時更新…

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