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奇祭「裸参り」に参加した話。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

五穀豊穣、ということばが好きです。
ごこくほうじょう、音のリズムも好きだし「五穀豊穣」という漢字のワサワサ実っている感じも好きです。でも恥ずかしながら僕は秋田に来てからこのことばを知りました。一番最初に聞いたのは、妻の地元で年始に行われる「裸参り」という行事。その説明を受けたときに、五穀豊穣ということばを初めて見たと思います。それからいろんな祭りに参加するうちに「五穀豊穣」ってどんな祭事でも祈られているんだなあと知りました。「家内安全」や「学業成就」ももちろん一緒に祈られるべきことなのかもしれないですが「五穀豊穣」にはなにか特別なものを感じてしまいます。町や村全体で行う行事だからこそ、個人的な「家内安全」や「学業成就」とは違った、大きな祈りのように思うんですよね。個人が「五穀豊穣」を祈ることってあんまりないような気がします。そして、それを祈るというのは、やっぱり人間がいくら手を尽くして作物を育てようとも、自然がちょこっと本気を出すだけで、収量が大きく変わってしまう。その、どうしようもなさ、というか諦めのようなものが、祈りになっているんだろうなあ、と思うと、この祭りたちをはじめた人たちの気持ちに近づけるような気がして嬉しくなります。と、同時にことばだけではなく心からお祈りしたい、という気持ちにもなってきます。

コロナウイルスが収束し始めた2022年の年始に、はじめて「裸参り」をみました。裸参りというのは妻の地元、秋田県八郎潟で年始に行われている行事で、家内安全、学業成就、交通安全、国家安泰、町内安全、そして五穀豊穣を祈る祭り(お参り)です。裸と名の付く通り、短パンに上半身ほぼ裸のような出立ちで、20数名の男たちが集合します。走る前に水垢離をしてほぼ氷同然の水をかぶり、1月1日の0時になると、ジョヤッサーと掛け声をしながら男たちが町内の神社を回っていきます。すごい祭りなんです。妻が興奮している訳がわかりました。妻曰く、これをやらないとはじまらない、と。それくらい町の人たちにとって大切な行事なのだということらしいです。諸事情でその男たちについて回ることはできなかったのですが、最初の数分だけでも過酷で大変なことをやっているんだ、ということはわかりましたし、参加している人たちのワクワク感みたいなものも伝わってきました。死ぬじゃんこれ、怖い!と思ったけど、自分も参加できるのなら参加してみたい、と思っちゃいました。

で、今年。参加しました。とりあえず、写真をあげていきます。伝わるかどうかわからないけど、とりあえずみてください。

集う男たち。
来て早々御神酒をみんなでいただく。酒のまねばやってられねえべ、とのこと。
そしてパンイチになり水をかけられる。水垢離。
水垢離2。普段なら叫び騒ぎするくらい冷たかったけど、余裕そうなフリを頑張った。
そしてまた会場に戻り正装に着替える。
着替えた男たち。草鞋を履いて走る。
何かしらの役職を言い渡された。
口上任された男。この口上がまたかっこいい。
自分は御神酒を持って走る男に任命された。
周りの人たちの体格が羨ましかった。
御神酒をかかえて走る男。
後ろには神輿を担いで走る男たち。
奉納する。

こんな感じで裸参りに参加してきました。
昨年の裸参りがあまりにきつかったせいで、ルートが短縮されていて、いつもなら1時間かけて全てを回り切るところを、約半分くらいのルートになってしまったらしいです。それでも30分くらいは裸で走り続けるわけだし、やっぱり風も吹いてそれなりに寒かったりもしました。でも、ありえないくらいみんな気合いを入れているし、ずっとジョヤッサージョヤッサーと声を出しながら走るので、全然大丈夫でした。みんなもう一周余裕でできるくらい余力を残して、今年の裸参りは終わりました。ちょっと消化不良感はあったものの、とりあえず無事終わってよかったし、ものすごく気持ちよかったです。初参加の僕にもみなさん超優しくしてくれてめちゃくちゃいい町だなあ、と思いました。来年もまたいきたい。

おでん。うますぎ。
「練習」という文化。
ごはんをよそいでいる妻。

そしてその後、着替えて飲み会。最高の1月1日すぎる。
街の居酒屋さんが用意してくれた豚汁やおでん、そして女性陣が作ってくれた麻婆豆腐やナムル、そして酒。最高においしかったです。ありがとうございます。女性陣もきっと走りたいだろうなあ、と思いながらもありがたくいただきました。
でも、正直ビビりすぎて御神酒を4、5杯のんで裸参りに臨んでいたのと、若干調子が悪かったのもあって、缶ビールを1本のんで、目の前がまっくらになりました。気づいたら終わってました。もっと楽しみたかった。笑

というかんじでした。裸参り最高でした。1月1日にこんな特別な行事がある町、最高ですよね。

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