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八月盆がきました

あれ? 先月もお墓参りしてませんでしたか? と聞かれそうだが、私が住んでいる地域は、七月盆と八月盆が混在しているので、ややこしいのだ。

我が家を例に出すと、ダンナの実家は、父方・母方ともに七月。私の実家は、父方・八月、母方・七月という具合。……そこに近所や血縁が近い親戚が入ってきたりすると、わりとカオスだったりする。

ダンナの実家も、私の実家も、父母ともに墓守りをする組み合わせなので、仕方がない。そして、私とダンナも、長男&長女の組み合わせなのである。私には妹しかいないので、男兄弟に墓守りをしてもらう可能性自体がない。

今回は八月盆なので、父の実家だけだ。ここ数年は、お盆にアルバイトが入っていて遠方のお墓参りは出来なかったのだけれど、今年はシフトが入らなかったので、久しぶりにお墓参りが出来た。

今回は、13日は混むことを想定して、今日お墓参りに出かけた。

八月盆がこれほどまでに寒いのは、記憶にない。今日一日、気温はほぼ16度。足が冷えてたまらないので、レッグウォーマーを着用し、パーカーを羽織った。

一日ずらしたのが良かったのか、天候が良くないせいか、新型コロナウイルスの感染対策のために外出を控えているのか、見事にお寺の墓地は貸切状態だった。

寒いし小雨は降るしで、お墓参りとしては好条件ではなかったけれど、お盆にお参りできたのは数年ぶりだったので、良しとしよう。

そして、今日のお墓参りにはミッションがあった。

昨夜、実家の母から慌てた様子で電話があった。

「アンタたち、明日お墓参り行くって言ってたよね?」

「うん。ただ、お墓参りは不要不急ではないかと思っておる」

天気もあまりよくなさそうだし、感染状況が少しおさまってからでも良いのではないかとも思うのだ。

「私たち、お墓にお賽銭供えるの忘れちゃって。アンタ行くなら、忘れずに置いてきて欲しいんだけど」

「……わかったー」

呼ばれてるな、これは。仕方ない。行こう。

お墓にお賽銭。

お賽銭というのは、正しい言葉ではないのかもしれないが、私たちはそう呼んでいる。

お盆のお墓参りで、お墓にお賽銭を供えるというのは他に聞いたことがないので、あのあたりだけの風習なのではないかと思う。

私が小学生の頃のことだ。

お盆のお墓参り前に、父かその姉弟が、亡くなった祖母のお友達から「お墓にお賽銭を置いてきているか?」と訊かれたのだという。

それまで、お墓にお賽銭をあげるということを誰もしたことがなかった。(亡くなった祖母もしていなかったから、誰も知らなくて不思議はない)

そのお友達が言うには、「お墓には、お賽銭を供えるものだ」と。それで、少し前に祖母が夢に出てきて「あの世も金次第だ」みたいなことを言ったらしい。

それで、私たち一族は、お墓にお賽銭を供えてないから祖母が不自由をしているのではないか……と心配して教えにきてくれたのだった。

以来、「おばあちゃんに不自由させてはいけない」と、我々はお賽銭を供え続けている。それを忘れた母が、気になるので電話をしてきて、私たちは本日ミッションをクリアしてきたのである。

以前、そういう方面に詳しい知人にこの話をしたところ、「おばあちゃん、あんまりいいところにいねーなー……」と言われた。

「地獄の沙汰も金次第って言うっしょ」とのことである。

そう。多分あの世では、お金は必要ないはずなのだ。三途の河を渡るときの六文銭くらいであろう。

……祖母のお友達が見た夢が、ただの夢であって欲しいなあと思う。それ以来、あの世で祖母がお金に困っているという話は聞かない。

ただの夢でなかったのなら、今は少しでもいいところにいて欲しいな。

いずれにしても知りようがないので、お賽銭を供え続けている。気は心。

そんな、お盆の話。

……今回の大雨で、全国各地、お盆どころではなくなっている方がたくさんいらっしゃるのに、この前線が、まだ一週間も日本に居座るという天気予報に、気持ちが沈みます。

何も出来ずに歯痒いですが、少しでも被害が小さくすみ、早く天候が回復するように祈っています。


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