「うたのなか」 はじめに〜第1日

はじめに

わたしのZoom使用環境

接続端末:MacBook Pro
マイク:MXL550(ラージダイアフラム・コンデンサマイク)
ピアノ:カワイES110
オーディオインターフェイス:ZOOM R16
ヘッドフォン:AKG K72

音取り、発声などでピアノの音を参加者に音割れなく届けるには、電子機器をオーディオインターフェイスで接続するのが吉。
同時ににはっきりとした音質で発言を拾えるマイクがあればストレスなく平時のように練習ができると思う。

必要性がないので細かく確認してないが、MacBook本体でもZoom側でも、音声入力はパソコン本体もしくはオーディオインターフェイスのどちらかしか選べないので、電子ピアノを使用する場合にはマイクを用意しておくか、別途指示用のスマホなどでZoomに入る必要があるだろう。
もちろん複数端末で同室に入る場合はハウリング問題が起きるので注意。

※Zoom上では問題なかったが、LINE通話で試した際、トラック1に接続している電子ピアノの音声のみしか流れず、マイクからの音声は聞こえない不具合があった。友人の環境ではLINEでも複数のトラックがきちんと流れるということで、原因は不明。逆に言うとZoomでも同様の事故が起きる可能性もゼロではない。各自の環境で試してみてほしい。

初演団体について

今回初演をしたLux Voluntatis(通称:LV)は、森山至貴と音楽をすることを目的とした企画団体。『さよなら、ロレンス』を演奏することを目標に結成し、「旗」「見えてくる」「この世界のぜんぶ」をその時々の共演団体と合同初演。合唱とピアノ、群読のための『さよなら、ロレンス』を888企劃と共同制作するなど、意欲的に活動を重ね、森山至貴の音楽に多く触れてきた結果、”好きな音程は?”の問いに即答で”増4度”と答える猛者の集まりだ。
これを書きながら気づいたのだが活動5年目にして、初の単独初演であった。

初めてのWEB練習

LVとしてWEBを通じて練習などをするのは初めてだったため、まずは参加者がZoomに接続するところからスタート。
経験者が音声やチャット、LINEを駆使しながら初めての人を導く。
慣れてしまえばなんてことない接続も、初めは高いハードルになりうる
企画団体だから「参加したい、参加できる」人が参加をすればいいのだけれど、だからこそ参加する意識(Voluntatis)のある人をこういうところでとりこぼしたくない。

また今回の楽曲では、

・プロフィール画像を設定し、カメラのオンオフを切り替えること
・カメラを指で塞ぐこと
・そのままバーチャル背景をオンにすること
・演奏終了後各々退出をすること

などが指示されており、それらを実施するスキルの習得も必要となる。

デバイス毎にことなる操作法や、マシンパワーによる差異などを乗り越える必要があり、機械慣れしてる人が導くことになるのだが、そこで起きるのがクロストークによる音声の混乱だ。
平時のオフライン練習とWEB練習で一番異なるのが距離の有無である。オフラインでは当たり前に存在する距離の差異がWEBでは等距離になる。
平時であれば「わからない人は近くの人に聞いて」で済むことが、全員で一人ずつの問題を潰していくために時間がかかる。
(もちろんブレイクアウトルームなど小部屋に分ける方法もあるが、手間だけでなくある程度知見のあるものが分散することで対応できないケースが発生するリスクもあるため、よほどの大人数でない限りは得策ではないだろう)

第1日:使用システムの検討(5/22)

複数のWEB会議システムを比較検討し、本当にZoomが最適解なのかを探るというのも初会合での重要な使命だった。
遅延を織り込んだ楽曲とはいえ、ハモるためには同時に複数の音が鳴らせるシステムでないといけない。

・Zoomでは3人の同時発音が限界っぽいという前情報があったが、本当にそうなのか
・その際どのように3人が選ばれるのか
・選ばれなかった人の音はどう処理されるのか
・そもそもの音質は

などを確認していった。

結果的にZoomで実施したことからもわかるように、試したシステムの中ではZoomが最適であった。
システムによっては全員のユーザー登録が必要だったり、発言が重なった場合の処理としてそれぞれの時間を圧縮して再生されたり、他のシステムでは目的に合致しなかった。
また、当初はいつものように新規メンバーの募集をかける予定があったこともあり、LINE通話のような個人連絡先を知ることの出来る手段はとりづらかったため、それらはテストを実施しなかった。
さらに、楽曲に指示があるため、仮想背景が使用可能なシステムである必要もあった。

森山さんがZoomを念頭に置いて書いたのだから当然だが、必要な機能はすべてZoomに揃っていたのである。

テストをする中でZoomの特性も見えてきた。

・前情報通り同時発音数はおそらく3音
・予想された通り、音声的に動きのある人や音量の大きな人が優先されやすい
・ロングトーンでの三和音は時間はかかるものの結構楽しむことが出来る
・声が大きすぎると上手く3つ分を拾ってもらえないが、小さすぎても同様にひとつしか鳴らない

今回の作品の冒頭にあるようなドローンの上のソロは、ソリストが優先的に拾われるため聞き取りやすく、中ほどにあるようなばらばらのタイミングでそれぞれが歌う時には、優先される人が次々と変わるため、聞きなれたみんなの声と時間を共有している喜びが味わえる。

森山さんの予測に基づく作曲がきちんとシステムと合致していた。さすがである。

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