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【小説】二度目は気絶です。

「まだやるのか?最後、戸締まり頼むぞ。」
所長は、そう言って出ていった。

俺だってもう帰りたい。
しかし凡ミスから大幅に間違えた書類を作り直さなければ帰るに帰れない。
寒々とした事務所にキーボードの叩く音と時折自分のため息だけが響く。

終わりが見えかけた時だった。
急に冷や汗が止まらない、そして胸が締め付けるような圧迫感もある。
なんだか体も思うように動かない…
それでもどうにか頭を上げるとそこには髪が長く血だらけの女が立っていた。
死ぬほどホラーが嫌いな俺は声も出ないまま椅子から転げ落ち床へ倒れた。


「心筋梗塞ですね。」
医師からそう説明された。
気が付くと病院のベッドで寝ていて、どうやら誰かが救急車を呼んでくれたおかげで、発見が早く後遺症の心配もないらしい。
苦しくなって、とんでもない夢を見ながら倒れてしまったようだ。

「心配したぞ。あと怪我はどうだ?」
と心配してお見舞いに来てくれた所長は言った。
「心筋梗塞で倒れましたが幸い怪我はなかったです。」
所長は腑に落ちないと言った顔をしつつ。
「そうか。お前のデスクと電話にべったり血の手形がついてたのでてっきり。デスクを掃除してくれた・・・・」

所長の話の途中で、俺はベッドに倒れた。

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