日系投資銀行の就職② <業界のプレイヤー編>

こんにちは。今回は日本の投資銀行業界にはどういうプレーヤーがいるのかというところについてお伝えしようと思います。
とはいえ実は仰々しく説明しなくともリフィニティブやブルームバーグでリーグテーブルについて調べれば簡単に分かるのですが、取り敢えず書いてみます。

○外資系投資銀行と日系投資銀行

まず日本で活動している投資銀行のくくりとしてあるのは外資か日系かです。外資というのは文字通り外国の資本、外国に本社がある投資銀行の日本法人です。一方日系とは日本に本社を置く証券会社の投資銀行部門を指します。

・外資系投資銀行

外資系投資銀行は主に米系、欧州系があります。
米系はアメリカに本社を置く投資銀行のことで、大まかに独立系とバルジブラケットに分かれます。バルジブラケットは皆さんご存知ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、J.P.モルガン、バンクオブアメリカ(メリルリンチ)、シティといった超巨大投資銀行で世界を席巻するようなすごい金融機関のことを指します(バルジブラケットに何を含めるかはとても議論の余地があります)。また社債の引き受けなどをやらず、M&A一本で食べている独立系の投資銀行もあります。日本で活動している独立系投資銀行は、ラザードフレール、エバコア、グリーンヒルなどがあります。ラザードなどは最近新卒採用を大きく増やしています。米系は日本でも存在感の強い企業が多く、特にクロスボーダーのM&Aは日系の追随を許さない状況だと思います(多分)。
続いて欧州系投資銀行は、バークレイズ、ドイチェ、BNPパリバ、クレディアグリコル、ソシエテジェネラル、UBS、クレディスイスなどがあげられます。ただ最近は欧州の景気が悪いことで本社の業績が良くないことなど諸々があるせいか、日本での存在感は正直薄くなってきています。ゆえにECMやDCMがなかったり、そもそも投資銀行部門がなかったりもします。

一般的に外資系投資銀行は少数精鋭で大きな案件を狙いに行ってドカンと稼ぐというやり方が共通しているようです。ですから案件規模はめちゃんこでかいですが、案件数はそこまでという場合が多いそうです。また激務によって、アソシエイトになるとき(職階はアナリスト→アソシエイト→バイスプレジデント→ディレクター→マネージングディレクターが一般的?)には同期が3割しか残っておらず、5年もすると同期が殆どいないなんてこともハウスによってはあるそうです。


労働環境などミクロ的な違いで言うと、米系が給料が断然良く、比較的案件数も多いので経験も積みやすい傾向にあるそうです。またネームバリューもあってトラックレコード(どんな案件に携わってきたか。大きな案件が望ましい。)も稼ぎやすいので起業やファンドへの転職ではとても良い効果があるようです。
欧州系の投資銀行は日系よりお給料が良いそうですが米系ほどではなく、またあまり案件数は多くない模様です。しかしハウスごとに状況は異なるためよく注意してみる必要があるそうです。
ここら辺の情報はワ○キャリアとか外就とかそういうサイトの方が信用性高いのでそちらを参考にしてください。


・日系投資銀行

日本の投資銀行は大部分が証券会社の投資銀行部門のことを指します。外資系との違いで言うと、外資系がホールセール(法人向け)専業であるのに対し、日本の投資銀行は個人投資家向けの部門を持っているため総合証券会社とされることが多いです。
主なプレーヤーとしては、三菱UFJモルガンスタンレー証券・SMBC日興証券・みずほ証券の銀行系3社と、野村證券・大和証券の独立系2社があげられます。他にM&Aアドバイザリー専業の独立系投資銀行としてGCAサヴィアンがあります。
日系投資銀行というとなんだかちょっとという人がいますが、案件数から言えば日系投資銀行の方がだいぶ多いですし、特に日本市場におけるキャピマなどは日系に軍配が上がります。
ただ案件の規模でスクリーニングしないので、M&Aではミッドキャップが多くなります。また国際的な存在感というとやはり外資系には見劣りするものはあります。もちろん野村證券はGFCの時にリーマンブラザーズの欧州・中東部門とアジア部門を買ったことで国際的な投資銀行になっているはずですし、三菱UFJフィナンシャルグループはこれまたGFCの時にモルスタへ巨額の出資をしたことで国際的な足掛かりを得ることになりました。SMBC日興証券もモーリスと、みずほ証券もペレラワインバーグとそれぞれ海外の独立系投資銀行と組んでいるので各社海外に対して手は打っているものの、どうしても商慣行やリレーションがある分地元の投資銀行が強くなるらしいです(多分)。
勢力図としては野村がトップ、あとは団子みたいなところはあります。ただどうしてもメガバンク系はM&Aのつなぎ融資を銀行から取り付けやすかったり、融資関係で企業とのつながりが強かったりするので様々なプロダクトでの引き受けで優位に立ちやすく、その点規模が劣後する大和証券にとって苦しい展開は続いています。加えて中期経営計画でホールセールの注力分野とされていたIPOがコロナ危機でだいぶ厳しく、その点リソースをだいぶ割いているらしい大和証券はこれから一層難しい状況に直面するかもしれません。

小ネタですがよくモルガンスタンレー、三菱UFJモルガンスタンレー証券、モルガンスタンレー三菱UFJ証券の違いがわかりにくいという問題がありますが、モルガンスタンレー三菱UFJ証券はモルガンスタンレーのマーケット部門と資本市場部(キャピマ)が入っていて三菱UFJモルガンスタンレー証券は投資銀行部門が入っているはずです。投資銀行部門は第1部と第2部があり、前者がモルガンスタンレー採用(給料めっちゃ良い、但し激務)で第2部がMUMSS採用(三菱採用)です。


ここまで超ざっくりとどんなプレイヤーがいるのかについて説明してきました。次回は日系投資銀行について深く書いていきたいと思います。
それではまた来週!

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