日系投資銀行の就職③ <日系投資銀行の特色編>

こんにちは。また来週と言いつつ深夜に3連投稿しております。
今回は各社特色のある日系投資銀行について社風などのあれこれを詳しく説明したいと思います。
今回もお付き合いいただければ幸いです!

○日系投資銀行各社の特色

・野村證券

日本証券界の王者、世界最後の投資銀行とも言われています。日本においてM&Aアドバイザリー、転換社債、普通社債、株式どれもまじで強いです。リーグテーブル見ると2019年は不祥事のせいで少し落ちているものもありますが、それでもM&Aアドバイザリーなどではトップに立っています。
またリーマンショック後に破綻したリーマンブラザーズの欧州・中東部門とアジア部門を買収したことで、グローバルリーチを強化してきた背景があります。そのおかげでM&Aなどでは、日本の関連するクロスボーダー案件のみならず海外で完結する案件(out-out案件)でも日系投資銀行の中では断トツです。
競争力の源泉としては優秀な人が多いことによるプロダクトの質の安定性、徹底的な顧客本位による提案などがあげられます。特に後者に関しては社員の方々が常々「お客様の考えを一歩先行く提案」という言葉を仰っていました。それだけお客さんに対して真摯に向き合う姿勢はすごいものだと思います。一方で社風が軍隊的だと言われることもありますが、そんな事はないと思います(多分)。社員の方同士の関係がドライであることは間違いないと思います。社風に関してはどの社員の方とお話ししたかで変わると思います。そんな評判もあってか、残業時間について不安を持たれる方も多いと思いますが、働き方改革の余波で徹底的な残業管理がなされているようです。お給料も日系投資銀行随一のようで、野村證券内定者の方々の中では話題になっているようです。

・SMBC日興証券

三井住友フィナンシャルグループ傘下の証券会社です。
シティの傘下でもあった歴史的経緯から、シティ出身者、中途入社組、新卒採用組、銀行出向者、日興証券出身者など多様なバックグラウンドの方々がいらっしゃるようで、それが顧客に対する多様なアプローチという形で強みになっているようです。どのプロダクトもバランス良く強いですが、特にREITに関しては日本のトップランナーであり、またM&Aでも案件数がとても多いハウスです。しかしM&Aに関しては中規模のミッドキャップが大半を占めているため、金額では他のハウスに劣後する形になっています。
最近では新卒採用者の離職が多いため、教育制度をとても充実させているようです。手厚い研修のほか、優秀な若手には提携しているモーリスのNY研修?に派遣してもらえるとのこと。また3年目から特定専門職という年俸制のコースに移行できれば、非常に高い給与を得ることが可能になります。ただ倍率はあるようですが…。
社風に関しては外資的な雰囲気という話もありますがよくわかりません。ただ総じてドライで個人主義な雰囲気を感じます。色々な人がいるようです。それゆえに合わない上司が一人いても、気の合う他の上司の方とつるんでいればよいので気楽だと仰っている方もいました。
なお家賃補助が別途支給されますが、日興証券内定者の方々の中ではどれくらい支給されるかが話題になっているようです。

・三菱UFJモルガンスタンレー証券

三菱UFJフィナンシャルグループ系の証券会社です。
リーマンショックの際に三菱UFJ銀行がモルガンスタンレーを救済出資したことで、証券においてジョイントベンチャーを組みました。そこで誕生した会社です。略称はMUMSS(Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities)です。モルガン・スタンレーのリーチをばちこり活かせるためM&Aのグローバル案件やグローバルオファリングなどの勢いでは右に出るものはなく、規模の大きい案件がメインになることも特徴です。
人事制度でもモルガンスタンレー側に出向できるチャンスがあるなどジョイントベンチャーならではの利点が多々あるようです(前の記事でも言いましたが、IBD採用ならモルスタ採用でも勤めるのは三菱UFJモルガンスタンレー証券です。内部では採用ルートの違いでアドバイザリー第一部と第二部に分かれています。)。
社風としては三菱系とあって「ノーブルな雰囲気で東大生に人気が出そう」とのこと。それとは別に社員の方々の人柄の良さが日系IB就活生の評判となっています。
これまた日興証券と同様戦略職という専門職があるそうで、それに転向できるとお給料がボンと跳ね上がるそうです。ただとても優秀でないといけないようですが…。MUMSS内定者の方たちの間では、社宅の遠さが話題に上っていらっしゃいました。


・みずほ証券

みずほフィナンシャルグループ傘下の証券会社です。
日本興業銀行の流れを汲んでか、債券の引き受けは日本のトップを走っています。また2015年にRBS(Royal Bank of Scotland)の米資産を買い上げたことで、アメリカの投資適格社債でもリーグテーブルTOP10に食い込んできました。他にもABS(Asset Backed Securies)では日本で首位など、証券化を始めとするIBプロダクツにも強みがあります。そして上場企業の7割と取引があるみずほフィナンシャルグループの一員だけあり、そのカバー力が競争力の一因になっているようです。
社風としてはよく「日系らしい」と言いますがそんなことはないと思います(多分)。社員の方同士の関係もそこまでウェットではなく、上下関係がきついわけでもないそうでむしろ風通しは良好とのことです。穏やかな方が多いですが、物事をストレートにスパッと判断する方も多い印象です。
野村證券以外の他社と同様、入社後数年は総合職オープン採用とお給料が一緒のようですが、何年目かに全員特別給がつくことでボンと上がるようです。ただ能力に応じたものであるのと、他社の特定専門・戦略職よりは若干見劣りするとの噂があります。一方で最近は日系投資銀行の中だとだいぶよくなってきているという話もあり、情報が錯綜しています。お給料が重要な方は要確認の事項と思われます。
またみずほ証券内定者の方々の中では好立地の社宅が話題になっているようです。

・大和証券

私は正直大和証券の情報をあまり持っていません。すみません…
強いプロダクトはIPOです。中期経営計画にもあるように利益率の高く市場が伸びていくであろうIPOに注力しているようです。ただ債券などのプロダクトも強いです。大和証券の強みとして非常に強固なリテール網があります。販売先があれば仕入れをガンガン入れることが出来るので、リテールに回す伝統的金融資産の株式や債券引き受けは強いと思います。
また頑張ることを「ハッスル」と言ったりだとか独特の文化があるようです。
大和証券はコース別採用で理系しか採らないという噂もあり、往年の大和証券SMBCとは違って日系投資銀行就活者の中で受ける人はやや少ない印象があります。ただやはり旧4大証券の一角だけあり、存在感のある企業であることは間違いないと思います。


・GCA

日本M&A界のレジェンドとも呼ぶべき佐山展生さんが共同創業者である独立系投資銀行です。買収・合併を繰り返し、アメリカやイスラエルにも拠点を置くグローバルファームになっています。プロダクツをM&Aに絞っていることから、資金調達のインセンティブがない(資金調達もできる投資銀行だと理論的には企業買収に伴う資金調達の手数料を稼ぐ目的から、買収を急いだりするという批判がある)ことや独立系であること(例えば銀行系だと買う側の貸し手になっている場合、理論的には成長に大きく資するものでも財務悪化を懸念して巨額のディールを進めないという批判がある→債権者利益と株主利益のコンフリクトに対する批判)による利点があるそうです。一定の案件数が獲得できていることから、独立系かつ歴史も短いながら利点を生かして一定のポジションを確立しているのではないでしょうか。案件としては総じてミッドキャップが多いというお話はあります。
社風としてはこれまたドライな感じだそうですが、人の良い方が多い印象もあります。
お給料は良いそうですが家賃補助などの福利厚生はないそうです。

以上各社特色の説明でした。やはりそれぞれ得意なプロダクトが異なるのは面白いですし、それぞれ社風に違いがあるのも面白いですね。
今回もお付き合いいただいてありがとうございます。次に書くことはだいぶ悩んでいるのですが、他に何かお役に立てそうな情報があればコンプラの反しない限りお手伝いしたいと思います。それではまた来週!


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